それは、突然の出来事だった。
ドアを激しく叩く音が家中に響いた。
思わず俺と家族はその場に合った武器になりそうなものを手に取り、ソイツに備える。
ドンドン、ドンドンと押したり引いたりしている。扉は鉄鋼でできているはずなのに、ヒビが入り、ミシミシと言っている。
唾を飲み込み、ソイツが入ってくるのを待つ。
そして次の瞬間――――扉は無残な姿となり、ひっぺり剥がされた。
「リュウ・タカザキはいるか」
熊のような声が家中に響く。
すると、母と父は諦め、弟―――リュウの名を呼ぶ。
俺は、改めて熊のようなソイツの胸元を見た。「地球保護軍」ただ一言、そう書かれている。
つまりそういうことか―――ヤツラは、ついに平和な我が家まで来てしまったのか。
そんな事を考えていると、弟が上から下りてきた。まだ10歳にもならない子供だ。体が弱く、あまり外に出ないせいで肌は男子に見合わぬ白い肌である。
「来い」
弟の肩が揺れる。当然だ、弟は今餓えた熊の前にいる豚のようなものなのだから。
弟は一歩ずつ、身長に近づき、そして……。
弟は帰ってこなかった。その内、我が家に一つの手紙が届いた。
「リュウ・タカザキ 実験中ニ名誉ノ事故死」
たった、それだけのために、賞状のような紙が届いた。
プロローグ 完