今日は「海の日」。私たちの先祖は海を渡って列島にやってきました。 | あと猫の寿命ほど。如露亦如電2024

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  2013年58歳の春に「うつ病」でダウン。治療に4年半。気づくと還暦を過ぎました。
  66歳になった2020年夏に「ああ、あと猫の寿命ぐらい生きるのか」と覚悟。世の中すべて如露亦如電です。

この夏、海に行く予定ある?

 と、Amebaさんが訊きます。

 

夏は海に行かないと思います。

もぐもぐ ただ、東京のそこいらで、暑さを凌ぐだけ。

 

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ニコ 昨日(7/14)の日経新聞「科学の扉」(26面)に「DNAが解く『縄文と弥生の謎』という読物がありました。

 最近の縄文・弥生時代の人骨などから得られたDNA解析(この記事ではミトコンドリアDNAが中心)で、旧来の「縄文人」「弥生人」についての定説の見直しが必要になっているという内容。同じような研究成果は最近多く出されています。

 要は「縄文~弥生」の在り方、日本人の成立過程が見直されているのですが、そもそも、「縄文人」「弥生人」という「人種」を仮定して、それに「縄文文化」「弥生文化」という「文化」を当てはめて説明してきたこれまでの「学説」に無理があったのです。確かに「縄文文化」というべき日本列島住民による、長い期間に及ぶ「文化」はありました。そして、弥生式時や稲作を特徴とするような「弥生文化」もありまして。ただ、その担い手は「縄文」から「弥生」にいたる時代を生きた、同じ列島居住者であるようなのです。つまり縄文文化を担っていた「縄文人」が弥生文化に触れて、ドミノゲームのように「生活スタイル」を変えていったののではないか?というのが現在「定説」になりつつあるようです。そしてその「文化」の基板となる「縄文文化」の人たち(これを「縄文人」という「人種」規定してしまうと間違いなのですが)についても、最近のDNA解析で多様な人々であったことが明かされ始めているようです。

 

びっくり この「縄文」の人たちが東アジアの各地から来ているのではないか?というのが日経新聞の記事。この研究の壁は、最も重要になる中国各地の「紀元前」からのDNA分析とその結果の公表ですが・・・。それがなかなか難しい。現在中国は国家統合イデオロギーの「中華思想」に固まっているので、「民族」(これは「中華民族」のこと)の統一性が崩れるような研究は難しい状況にあります。

 それでも、コツコツと「愚公山を移す」のように、資料を集め、分析・公表の時を待つ研究者たちは中国にたくさんいルと思います。将来これらの情報が一気にもたらされるようになれば、さらに「日本人のルーツ(同時に朝鮮半島の人々のルーツ)」研究は大きく進み、「日本人」の原型研究がさらに進むと思います。

 

もぐもぐ そして、この日本人の原型研究の、もう一つの大きな問題。つまり「弥生後」に訪れる「古墳時代」の研究も進んでほしく思います。実は現在の日本人が持つゲノム(DNA)の6割近くは「古墳時代」にやってきた「渡来人」によるものだ「縄文~弥生ゲノム」は4割程度(最近のゲノム研究が進むまでは、日本人は「縄文人」と「弥生人」によってできているとされていましたが、それは現日本人のゲノムの4割程度らしい)。

 

↓10年ほど前までの「日本人のルーツ」説明はこんな感じでした。

びっくり さらに、この「古墳人」も東アジアの各地からやってきているようなのです。しかも時代は200年以上もの期間、「漢」王朝後の「中国」が、三国から五胡十六国を経て南北朝になる大動乱の時代。東アジアの(時には中央アジアからも含む)さまざまな「民族」「集団」が攻防を繰り広げ、多くの「国」が生まれては滅亡(大規模な人々の移動)が繰り返されていました。そして日本列島には「縄文~弥生」の人々を圧倒する勢いで、それらの人々が朝鮮半島経由や揚子江下流域からやってきて、「倭国の大乱」などを生みながら列島の新たな支配者になっていきました(「邪馬台国」研究はこの時代経過を無視できませんが、「国産み神話」に囚われ、あるいは配慮して、大陸/半島の人々との関係を軽く見るような状況が今も続いています)。

 

ニコ 日本国家成立の研究は、日本の古代史資料研究、中国の古代資料研究、そして日本を含む東アジア全体(できれば中央アジアまで)の古代人のゲノム分析とともになされていくと、さらに「日本」というものの基礎についての「定説」が覆っていくかもしれません。そして「記紀」(とくに日本書紀:古事記はやはりかなり後年の編集と思われる)の「読み直し」「読み解き」も進んでいくと思います。

 

グラサン 「海の日」なので、「海」に因むことを書こうとしたら、話しが「海を渡る人々~日本の成立」にまで広がってしまいました。

 

爆笑 大雨に備えつつ、良い「海の日」を!

 

☆写真h上から1980年中頃の5月の新潟の海(夏の日本海は穏やかです)。昨日(日曜日)の日経新聞の「DNAが解く『縄文と弥生』の謎」の記事。朝鮮半島南西端の木浦の海(多島海です)。山川出版社の少し古い(8年前)の「詳説日本史図録 第7版」の弥生人と縄文人の図。当時の「定説」はこんな感じ。でも、2018年以降、日本人と東アジア人のゲノム解析結果が次々と発表され、このような「縄文人」「弥生人」の捉え方は時代遅れになっています。最新の「図録」は第10版で、昨年出ています。近く購入して内容を確認したいと思っています。「歴史」「地学」「生物」の内容は5年程すると内容が大きく更新されるので、常に知識の更新が求められます。4枚目は1991年5月のアンダルシアの地中海。6枚目は1995年5月にジブラルタル海峡を渡る(アフリカ大陸に渡る)フェリーから写したジブラルタルの山。7枚目は1982年の10月に写した東京の晴海埠頭での1枚。海辺はどこでも、少し日常から離れた感覚を与えてくれます。8枚目(最後)は小林恵子氏による「古代倭王の正体」(祥伝社新書2016)。江上波夫氏の騎馬民族征服王朝説を踏まえ、さらに「舞台」を地中海地域までのユーラシア全体に拡張して東アジア史を読み解いています。東アジア人(古代人から現代人まで)のゲノム解析以前はかなりの「奇説」と思えましたが、今ではあながち誤りばかりではないかも?って思うようになりました。

 

↓上の内容に関連している去年3月の私のブログです。