自分の「顔」って、なんだろうか?中野信子さん「ペルソナ」を読んで、考えて・・・。 | あと猫の寿命ほど。如露亦如電2024

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  2013年58歳の春に「うつ病」でダウン。治療に4年半。気づくと還暦を過ぎました。
  66歳になった2020年夏に「ああ、あと猫の寿命ぐらい生きるのか」と覚悟。世の中すべて如露亦如電です。

 上の写真はベランダのイタリアンパセリです。

 イタリアンパセリは1.5年草。これは今年の春に種をまいた株。わがベランダは西日がガンガンで真夏は「練馬の最高気温」(練馬ではないけど)で40度近くになるので、酷い年には植物が壊滅状態になりますが、今年はイタリアンパセリは夏を越すことができました。キアゲハも着かなかったし(キアゲハが着いたら育てるのでパセリは滅びます)、これで冬の「練馬の最低気温」(-5度くらいは珍しくない)時に室内に避難させれば、来春から夏にかけてイタリアンパセリ買わずに済みます(この鉢の他にあと2鉢あります)。

 

 2枚目の写真はだいぶ実が増えてきたマミラニアです。そろそろ、一回目の収穫です。とげ刺さりを防ぐためにピンセット使って収穫します。

 

 一昨日大きな本屋さんに行くと、中野信子さんの「ペルソナ」(写真下)が新書売り場に平積みされていました。この日私は田中優子さん(法政大)の「苦海・浄土・日本」を買いに行ったのですが(土曜日に新聞の書評を読んで読もうと思いました)、この「ペルソナ」も購入。

 中野信子さんの本は「サイコパス」に続いて2冊目。

 それで、昨日読みました。「ペルソナ」?なんだろう?

 

 はじめ、読みにくく感じました。「はじめに わたしは存在しない」が、この本のはじめの言葉「小見出し」です。

 う? 難しい本かな? いま、なかなか読み進まないヤスパースの「哲学入門」のような本? ならば読む環境を整えて・・・などと思いながら電車の中でパラパラとページをめくっていると、やがて読めるようになりました。戸惑ったのは、はじめの小見出しと、すぐに出てくる「ライフハック」という言葉。ライフハック? 知らない言葉でした。「処世術」? 事務所についてネットで調べるといろいろな人が「ライフハック」に、スキル的な、あるいは市場価値的位置づけをして「仕事術」とか「仕事をうまくこなす技術」みたいな説明をしていますが、中野さんのは「世間とのかかわり方」ぐらいの意味と、とりあえず押さえて読み進めました。

 

 「ペルソナ」とは「他者に対峙する時に現れる自己の外的側面」で「わたしがそう演じている役」であると中野さんは書いています。なので、ペルソナとはライフハック時の自分の姿、ということでしょうか。

 

 この本は難しい内容ではありません。ときどき言葉が出てきますが、本の流れは、中野さんが自己史を語りながら、ペルソナを語る内容です。中野さん、結構、訥々と「毒づいて」います。

 

 「章立て」構成は少し変わっています。

 時系列のように「章立て」がなされています。それは2020年の現在(まさにコロナ事態に揺れる現在)から1975~1989年の子ども時代に遡る形。その時代に応じて中野さんの「ペルソン」と、そのできあがり方が綴られています。

 読んでいて、時々「めまい」のような感じに襲われます。それはなぜかな? と考えました。 あ、この本は時代を遡っていくのに、語り口は常に現在そのもので、目の前で過去をいまと同じように語っているんだ。過去のなかに「現在の中野さん」が入り込んで、過去を、いま現在のように感じさせている。だから、時間を辿ろうとすると「めまい」がする?

 この辺は狙ったところなのか、あるいは中野さんの語りがもともとそうなのか?

 

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ニコニコこの文書いてからしばらくして思い当たりました。この「時間を遡る」章立てって、「相談」(あるいはカウンセリング)の時の、問題についての聞き出しや、事柄の「辿り方」と同じなんだ、って。相談のカルテや資料って、基本、過去の方に進んでいきますから。中野さんには慣れた書き方なのかもって。

ニヤリ私の場合、永年の「相談」によるストレスの蓄積が「うつ病」の主原因と思われますが、この本、読んでいるとそのストレスが、頭を掠めるのかもしれません。だからめまい感とともに、瞬時の頭痛(頭の前の方の目の上の額のあたり)が伴うのでは? と勝手に思っています。

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 時間、人間と時間、生物と時間もテーマになっているこの本。最終章(第五章)のタイトルは「砂時計」。その書きの小見出しは「時間」です。

 

 読み終わって、さて、わたしのペルソナはどうか? 自分が関わってきた仕事上(労働相談など)、わたしは「ペルソナ」意識していたな、と思い起こし、さらに、プロフィールに猫の顔を出している、このブログはわたしのペルソナとしてはどうよ!?などとも思いました。

 

 ペルソナ、お薦めの本です。講談社現代新書、240ページ(中身は236ページ)、880円+税。