先週発売の写真誌『週刊FLASH』に山下真司の単独インタビュー記事が掲載。それもカラーグラビア3ページにわたっての大フィーチャーぶり。なじみの寿司居酒屋にて俳優人生を振り返ったもので、デビュー作である『太陽にほえろ!』の前にやっていたモデル業は23歳のときに先行き不安を覚えて、もとからやりたかった俳優を目指して文学座付属演劇研究所に受験して一発で合格したことや、『太陽にほえろ!』は御存じの通りフィルム撮影だからNGを出すと撮影したフィルムが使えなくなるなどして廻りのスタッフが不機嫌となるからプレッシャーが掛かって大変な世界だったととも。二年後に卒業する際、「正直、あの過酷な撮影から解放されるのでホッとした」と偽りない心情を吐露していた。

 

 

山下は1981年秋改編期に『太陽にほえろ!』を卒業後、1984年秋改編期放送開始の、かの大映テレビ制作の『スクール☆ウォーズ』主演に起用されて代表作を得る。もちろん、今回のインタビューではそっちのことも語っていたのだけど、その間の三年は出演作品の羅列だけであった。

 

しかしながら、順風満帆な俳優生活を送ってきたわけではなく、長く苦しい三年間だったかと思う。今回はその一遍を紹介しよう。

 

『太陽にほえろ!』に新人刑事役で出演していた新人俳優は降板後に、その功労として同じ日本テレビで放送をする主演連続ドラマを与えられていた。松田優作には同じ文学座でマブダチ関係だった中村雅俊とのダブル主演による『俺たちの勲章』、勝野洋には『俺たちの朝』、宮内淳には『あさひが丘の大統領』と。だけど、山下には主演ではなくレギュラーのひとりというポジションで、泉ピン子主演の『花咲け花子』が与えられることに。当初は別のドラマを斡旋されていて、同じ1981年秋改編期にスタートする榊原郁恵主演『先生は一年生』の相手役だったらしいのだが、まさに二段落ちとなってしまった。

 

日本テレビで当時放送していた人気歌番組『ザ・トップテン』司会の二人が

秋からそれぞれ主演ドラマをやることから1981年秋改編期のキャンペーンキャラに

 

『花咲け花子』は全17回、1982年1月末で放送を終える。その後、主演はおろか、レギュラーを掴むのさえなかなか叶わなくなっていく。自分が当時、山下をひさびさに観たのは水谷豊主演『あんちゃん』のゲストで、物語の舞台である、寂れる一方の温泉街にふらりと東京からやってきたチャラ男の役であった。水谷演じるあんちゃんをはじめ、温泉街の純朴な男たちと対立するという嫌味な敵役で、このドラマ枠「グランド劇場」らしく最後は改心するとかそういうのはなくて、相容れないまま双方に心の傷を残して去っていくという若干後味の悪い話だった。

 

大瀧詠一作曲「うさぎ温泉音頭」 × 水谷豊主演「あんちゃん」 | 茶屋町吾郎の趣味シュミtapestry (ameblo.jp)

 

このゲスト出演回「東京未練」(本放送時は別のサブタイトルが付けられ、それは東京の局番03から始まる電話番号)が放送されたのは1982年12月4日。当時、山下が『太陽にほえろ!』で演じたスニーカー刑事の後任、ラガー刑事役の渡辺徹は『太陽にほえろ!』だけではなく、歌手としても『約束』を大ヒットさせて人気が絶頂のころ。

 

渡辺徹と「ザ・ベストテン」 | 茶屋町吾郎の趣味シュミtapestry (ameblo.jp)

 

言っちゃ悪いが月とスッポンみたいな境遇に陥っていたのだ。ただ、この嫌味な敵役キャラは性に合っていたのか、翌1983年の同枠で放送された西田敏行主演『明石貫平35才』にもそれでゲストに出ているし、同年公開の劇場用映画で松田聖子主演『プルメリアの伝説 天国のキッス』では、さらに突き進めて、松田聖子とその相手役・中井貴一の睦まじい仲に嫉妬する女々しい男の役を演じている。『太陽にほえろ!』のスニーカー刑事と『スクール☆ウォーズ』の滝沢先生に共通する熱血漢キャラとは真逆のキャラばかりを細々とやっていた。

 

人に歴史あり。たまにはそこらへんあたりの不遇だった時代なことも伺いたいナ。

 

太陽愚連隊=太陽にほえろ!大全集10 スニーカー編 - 「太陽にほえろ!」当直室 仮設日誌 PART2 (goo.ne.jp)

 

最後に、話は『週刊FLASH』のことに戻すが、毎週火曜日に発売なので、今回紹介した山下の記事が読める号を店舗で発売されているのは19日の月曜まで。一方、Amazonのkindleでも電子書籍として販売されていて、そちらではバックナンバーも容易に購入可能だし、月額払いのkindle unlimitedに入っていれば最新号からして追加料金なしの読み放題で読める。

 

週刊FLASH(フラッシュ) 2022年12月27日号(1671号) [雑誌] | 週刊FLASH編集部 | 趣味・その他 | Kindleストア | Amazon

 

 

【追記 2022年12月20日】

『週刊FLASH』の公式サイト、「Smart FLASH」発信のニュースとして、今回取り上げた山下真司の単独インタビュー記事が雑誌版のそのままに掲載されるようになった。

 

山下真司 躊躇していた『スクールウォーズ』への出演…「『ダサい』と言われること怖かった」 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌] (smart-flash.jp)