私が昔通っていたトレーニングジムは実はもともとフルコンタクト空手の道場だった。
館長でありオーナーの方がパワー空手を推奨していた事から、次々に器具を揃えていくうちに立派なジムが完成してしまい、パワーリフティングやボディビルをやる人達が集まって来るようになったらしい。
空手、パワー、ボディビル、どれを取っても県下でもトップクラスの選手がいて、その風貌から他人から見たらどうしても怖いイメージがあるのだろう、あのヤスもいつもジムではビクビクと怯えているようであった。
おめえのほうがよっぽど怖え~よ!(-。-;
外で人と接する事が苦手なヤスは、ジムに来たばかりの頃は挨拶すら全く出来ず、館長や先輩方からよく叱られてはヘコんでいた。(~_~;)
しかしパワーリフティングがよほど気に入ったのだろう、ひとたびバーベルを握ると人が変わったように集中して、周りの者が心配する程狂ったようにトレーニングをひたすら続けていた。
ヤスはトレーニングの度に自己記録を次々と塗り替え、私達周りの人間は見ていてもう笑うしかないような成長ぶりだった。
トレーニングを始めてから僅か一年足らず、まだ二十歳にもなっていないというのにこのヤスはベンチプレスでついに200kgを挙げてしまった。
しかも最近のような胸を高く持ち上げるブリッジなどのテクニックは一切無し、ベンチにベタ寝した状態でのガチ挙げである。
もちろんノーギア。(;゜0゜)
当時日本国内で200kgのベンチプレスが出来る人間が果たして何人いただろうか?
その当時120kg位のベンチプレスがやっとだった私は、200kgのベンチプレスを挙げる人間を初めて目の当たりにして、本当に同じ人間なんだろうか?と思ってしまった。
残念ながらヤスは間もなくしてお父さんの意向もあり、日本パワーリフティング界の権威と言われていた有名な先生がいる、愛知県のとある有名なジムに移る事になったのだが、それからしばらくしてヤスはまた次々と記録を塗り替える事になるのであった。
本当に人間か!?(;゜0゜)
続く。