筋力トレーニング、特にボディビルの場合、各部位ごとにそれぞれ何種目かのエクササイズを割り当てるのが普通であると思う。
例えば胸であれば、バーベルベンチプレスとインクラインフライ、ケーブルクロスオーバーといった具合に数種目行い、違う刺激を筋肉に与えてやる訳である。
それは間違いではないのだが、私が見ている限りほとんどのトレーニーが、あまりにもそれぞれのエクササイズの意味や目的を理解していない。
たまに、なぜ色々な種目をやるのか?と聞いてみるとほとんどが、一種目では物足りない、とか、一種目では効かないような気がするから、などと答える。
私の経験上言わせていただくと、一種目で効かないようであれば、何種目やろうと大した効果はないと思っている。
あれもこれも中途半端に手を出してトレーニングをした気になっている人がたくさんいますが、効いてなかったり結果がでなければただの自己満足にすぎません。
例え一種目であろうと、集中して正しい筋肉の使い方で追い込めば必ず効果があるはずです。
次に色々な種目をやるのはいいのですが、なんでもかんでも重量を増やす事にとらわれている人があまりに多いという事です。
それぞれの種目にはその種目ごとに角度であったり可動域であったり、またバランスを取りやすい取りにくいなどの特性があります。
一種目ではなかなか全てを補うのは厳しいから何種目かを割り当てる訳です。
ですからそれぞれの種目の特性を理解した上でそのエクササイズに取り組む事が大切だと私は思っています。
例に上げると、ベンチプレスなどの多関節種目は動員される筋肉も多く、よって高重量でのトレーニングが可能です。
筋力や筋量を増やすには最適な、胸のエクササイズの中では軸となる種目です。
ですが反面、筋肉を最大限に伸ばしたり縮めたりする事は非常に困難であります。
それを補う為にダンベルを使ってフライを行ったりする訳ですが、目的はあくまでもストレッチがメインなので、あまりにも無茶な重量でダンベルを挙げ下げしたところでしっかりとストレッチ感が得られなければこの種目をやる意味がありません。
ケーブルクロスオーバーにしても、全身を使って身体を動かしながら高重量に挑戦している姿をよく見かけますが、種目の意味を理解して正しい筋肉の使い方をしなければいくら重いウェイトを動かしたところで効果などありません。
ケーブルの特性である、動作の最中常に負荷がかかりやすいという事を理解して、しっかりと胸だけをアイソレートさせてなるべく可動域を大きくとるべきです。
重さを追求する事自体は間違いではありませんが、種目の意味や目的を理解した上で正しい動きを一番に優先するべきです。
参考までに、私は胸のエクササイズの軸となる種目はインクラインやディクラインのプレスで、これらはある程度の高重量でしっかりと追い込みます。
ですがダンベルを使ったフライやケーブルクロスは少し余裕がある重さで20~30回のハイレップスでやっています。
目的はストレッチとパンプだからです。
一般のレベルの人から見ると、私がフライで扱うウェイトはかなり重いと感じるでしょうが、勘違いしてはいけないのは、重い軽いというのは数字ではなく、その人にとってどう感じるかです。
50キロと100キロでは当然100キロの方が倍重い訳ですが、例えばその50キロが10回しか挙がらない人と比べて、100キロが20回以上挙がる私とでは、100キロでトレーニングしている私の方が軽いウェイトを扱っている事になるのです。
少し長くなりましたが、どの種目を行う場合でも必ず目的を理解した上で正しい筋肉の使い方ができる範囲のウェイトを選択するべきです。
前にも書きましたが、自己満足したいだけなのか、本物のパワーや肉体を手に入れたいのか、全てはトレーニングする本人次第だと思います。