ハチノスとオールドカマー | 38度線の北側でのできごと

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38度線の北側の国でのお話を書きます

 東京でコリアタウンというと、新大久保を思い浮かべる人が多いと思うが、ニューカマーの街が新大久保。今は中華系、ハラール、ベトナム、色々な店が多く並んでいて、韓流の聖地なんてことばもあるらしいが、ぼくにとってはアジアの喧騒という印象が強い。

 

 歌舞伎町から続くこの一角を歩いていて、中国人女性に道を聞かれた。いっしょにスマホをのぞき込んで、雑居ビルの中の小さな会社を見つけて案内すると「スコシマッテテ」といわれた。

 

 10分くらいして彼女が出て来て、地元の人しか行かないような、中国人しかいないような店でカモ肉を食べた。独特の香辛料と歯ごたえ。不思議な顔をして食べるぼくの顔を彼女はにこにこと見ていた。

 

 面白いのがオールドカマーの住む上野御徒町日暮里三河島エリアで、ここを歩くのはなかなか勇気がいる。知り合いの女性が「この街は私の庭のようなものだからいつか案内してあげる」と言ってくれたけど、コロナのせいで無期延期になっている。

 

 クライアントの担当者から「連載お疲れ。経費で接待してあげるからおいで」といわれて呼ばれていったのが日暮里で、担当者はすっかりきれいになった日暮里駅からずんずんずんと歩く。雨の日は足が調子悪く杖をつく日もあるというのに。

 

 夜の日暮里は薄暗い。住宅地が並ぶ細い路地を進むのは若干勇気がいる。そこを勝手知ったる様子で担当者はずんずんずんと進む。その奥にあるのがまさゆき。ここに絶品の上ホルモンと特上のレバーがある。

 

 ホルモンの脂は当たり外れが大きくて、胸やけがしやすいぼくには辛い日もあるが、この日は2人で4人分食べた。ホルモン盛り合わせも食べているから2.5人分/1人。

 

 東上野の一角に食材を扱う店が集まる一角があり、まるきんという店のキムチがいいわよとある女性から聞き買った。チャンジャキムチは美味。

 

 新大久保のキムチは若干酸っぱい気がする。韓国直輸入だから時間が経ち発酵が進んでいるのだ。あと、やっぱり本場の味。大味。東上野のキムチは在日の味。繊細。日本人に合う気がするし、長持ちもする。

 

 年末にこの一角に迷い込んだのだが、どの店も店員が家族総出で、明らかに中高生の子どもまで働いている。ハチノスと豚足、そして酢味噌を買った。ハチノスは400g。

 

 もうゆでてあるので、家に帰ったら冷蔵庫に放り込む。その前に包丁で一口サイズにして、塩と味の素をふって下ごしらえをする。

  

 そしてひたすら食す。脂分が多くて、400グラム一気食いは無理だったが、たぶん酒飲みにはたまらない味なんだろうな。見た目がグロテスクだけど、ぼくには全く抵抗がない。

 

 

 妻が出張の時にやってみたい食事。ひたすらハチノス。