妻が帰って来た | 38度線の北側でのできごと

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 は出張族。

 2016年。訪朝団の引率を任されたぜ!出張だ!と鼻息を荒くするぼく。妻はにこにこと見守っていた。その数週間後「私も海外出張決まったー。パリ」という妻。

 

 妻にはパリは数度目の出張。他にもフィラデルフィアとか、オタワとかワルシャワとか…。アナザースカイに出たなら「ここが私のアナザースカイ、パリ」とかいいそうなくらいのレベルだな。

 

 こちとら「ここが私のアナザースカイ、ピョンヤン」でい。ソウルもかなり行ってるけど、絶対ピョンヤンなんだい。アナザースカイの制作会社さんいかがです?いい映像になりますよー。

 

 閑話休題。

 

 と言いつつもぼくも去年から国内出張が増えたので、玄関にはスーツケースが大小2つ並んでいる。

 

 そんな妻が、昨日出張から帰ってこなかった。千歳から飛行機が飛ばなかったらしい。大雪の影響だ。

 

 ぼくも昼の職場が変わるので、その顔合わせと編集者さんとの顔合わせ。2つの顔合わせを終えてもうバテバテだったので「気をつけて帰って来いよー」とLINEだけ飛ばして眠りに眠った。

 そしてようやく今晩、妻が帰って来た。白湯味のゆで餃子と、3割引きのマグロの刺身を並べぼくは待っていた。

 

 つまるところ、ただ妻が出張から大雪で帰って来れなかっただけの話なのだけれど、こんな夫婦珍しいのかも知れんなぁと改めて思ったのだ。昼下がりの神社で。

 

 年収差もとんでもないことになって来たし。ぼくが夕食を作る生活ももう15年。妻はばくばくと夕食を食べ、いかに昨日の雪がすごく、またイレギュラーだったかを語り、ぼくはぼくで、ふたつの顔合わせの話をしたのだ。妻は今、床暖房の効いた隣の部屋でテレビを見ている。ぼくは仕事のメールを数本書いて送った。

 

 妻が帰って来た。

 

 うん。ただそれだけでありがたい。オレンジジュースでも飲むか。明日は残り2回となった今の職場への出勤日だ。やれやれ。