たろすけ日記
「ええから来い。嬉しいもん渡したる」おとん。

「何?いいものでもあるの?」おとんのそばに行ったら、

「ほい」とお年玉渡してくれた。

「わぁ、有難う。欲しかったんだ!」

「志奈子も横山さんも、ほい」気前のいいおとんだ。裕美にまであげるもんかな?ま、もらえるもんはもらっとけばいい。でも、裕美が受け取るだろうか?

「お父さん、有難う!やっぱりこれがお正月の気分よね」志奈子。

「私がいただいてもいいんですか?はい、遠慮なくいただきます!有難うございます!」へー、すんなり受け取った。裕美もウチの家族もホントにお互い心許してるなぁと思いつつ、

「良かったね。俺みたいに貯金でもしたらいい」

「ううん、お父さん・お母さん、お二人のお誕生日、これから何かプレゼント贈りますね!私のお小遣いからなので大したもの贈れませんけど、待っててください!」裕美。

「へぇ、おおきに。でも、俺らの誕生日知ってんの?」おとん。

「以前鮫行さんから伺ってます」裕美。

「裕美さん、私も私も!・・・って虫が良すぎるか。ごめんなさい、忘れてね」志奈子。

「志奈子ちゃんはこれから部活の試合で勝ったときとか、あと、大学合格したら何か贈ってあげる。それまで辛抱してね」裕美。

「わぁーお!裕美さんってホントに私のお姉さんみたい!いいないいな、期待しちゃうよ!」喜んでる志奈子。

東京行きか。また何が始まるんだろうと思いつつもそろそろ時間も近づきつつあったので、

「じゃ、俺たちそろそろ出るよ。今回も彼女の面倒見てもらって有難う。もうしばらくは帰って来れないけど、みなさんお元気で。いろいろお世話になって有難うでした」

「本当に短い間でした。とっても楽しかったです。お父さんのアドバイス是非実践して何とか父との面会成功していくよう頑張ってみます。お腹がいっぱいになる位のごちそういただいて嬉しかったです。これからも皆さんとよろしくお付き合いさせてください」

裕美の表情は凛として澄み切っていた。本当に満足できた帰省となったようだった。そのままゾロゾロと玄関まで行き、

「また、いつでも帰ってこい。お前がいないと何か寂しいわ。男は俺一人やし」おとん。

「うん、アリガト。次はGW考えてたけど志奈子がこっち来るんなら、お盆あたりになるかな。それまで元気で」俺。

「ま、今のお前やったら横山さんがおるから寂しいこともないやろうしな。気をつけて戻って来い。横山さんも気をつけて」おとん。

「まだ2日ならそんなに人ごみも多くないだろうから。でも、気をつけてね、裕美さんも。また楽しい話聞かせてね」おかん。

「うん、気をつけて帰ってきます」俺。
(続く)
「うん、今日も楽しみだね!」裕美ってホンッと純粋な子供の感情持ってんだ。がっかりさせることは絶対避けないとな。うん、酒飲んでそのまま寝てしまえば何も問題起きないだろう。裕美にも部屋のカバンの整理お願いしてそのまま玄関に下ろしてリビング入った。

「あなたたちお昼どうする?」おかん。

「俺はいい。さっき食べてお腹も空いてない。向こう戻ったら適当に食べる」俺。

「裕美さんは何か食べないとね。ご飯でも炊こうか?それと軽くアジの開きとか目玉焼きでも作りましょうか?」おかん。

「そうね、久しぶりにご飯食べたい」志奈子。

「有難うございます。最後ということもありますから私に作らせてください」裕美。

「ホント?裕美さんってよく気がつく女の子ね。どうして鮫行みたいなのと付き合ってくれるのか、分からないけど有難うね。志奈子、あんたも裕美さん見習わないとダメよ」おかん。

「は~い。でも裕美さんみたいな完璧な人と比べないでよ。私だって落ち込んだりしてるんだから」志奈子。

「文句言わないの。裕美さん、志奈子手伝わせようか?」おかん。

「いえ、志奈子ちゃんものんびりしてて。お母さん、お米研ぐボールとかはどこですか?」裕美。

「流しの隣の・・・、志奈子あんた行っておあげ!」おかん。

「はいはい。よっこらせっと」志奈子は立ち上がり裕美のそばに行ってお米とかアジの開きの場所伝え、そのまま裕美を手伝った。俺はというとお昼食べないので玄関に置いてあるカバンからPC取り出しリビングのソファに座ってネットし始めた。

一昨日からメールチェックもしてなかったため、大方200通のメール処理に手間取った。アジの開きとか巻き卵なんですぐ出来上がり、ご飯も炊けたようで、俺除いた4人が食卓に座って食べ始めた。

俺は冷蔵庫から牛乳出して飲んだ。それだけで十分。メールチェックが終わってブログでも書こうかと思いつつ、せっかくだからこれから行く梅田で遊べそうな場所のチェック始めた。

ふむふむ、とりあえず裕美とは迷路のようなウメチカでも歩いて途中休憩でお茶でも飲むか、それと大丸にあるポケモンセンターでも行ってみるか?最後は阪急東通商店街の居酒屋でも行こうと思った。カクテルなら裕美にもいけるだろうし、お互い酔った方がいいと思ったので。

そんな訳で梅田の準備でき、それでもまだ食べてる状態だったので、ブログの下書き始めた。えーっと、大晦日から何も書いてないからこりゃ長くなるなと思いつつ、書き始めた。

・・・あんとき何話したかとか、あそこで何見たかとかいろいろ思い出しながらも書いていき、みんなのお昼も食べ終わった。ブログは長くなりそうでまだまだ終わらない。仕方ない、分けて出すか?

「何か食べてばっかりやな。運動もせーへんし。これじゃ太りそうや。・・・鮫行ちょっと来い」おとん。

「何?俺ちょっと今忙しいんだけど」俺。
(続く)
「ちょっと上行こか。荷物の整理とかしよ」と裕美を引っ張って二階に上がった。リビング出たら寒かったけど、

「今日のこと確認しておきたかったのよ。昨日父ちゃんが言ったとおり今日の泊まりキャンセルしよ思て。俺も早すぎって思うし」

「・・・お父さんはああおっしゃったけど、私は、・・・いいよ」

「え!?いい?」

「でも、よく聞いてね。鮫君と子供のように一緒に眠りたいって言ったら、怒る?」

「子供のようにって?」

「そう、何もしないでお互いの顔見ながら眠るの。鮫君には悪いんだけど、私の理想なんだ、こういうのって」

「・・・でも、そういうのって多分お互い相当辛いと思うけど」

「やってみましょうよ!こうすることで二人とも辛くなるのか、それとも楽しくなるのかやってみたいよ。私は楽しくなると思ってるんだ。それに今日のキャンセルしても飛行機とか空いてないよ。・・・路中で眠ってもいいの?」

「ちょっと見てみる」部屋に置きっぱなしのPC開けて空席調べてみた。やっぱり空席なしだった。

「やっぱりね。そういうことだから予定通り泊まりましょ。ホテルも当日キャンセルってお金要るんでしょ?」

「うん・・・」そりゃ妹の志奈子と寝るんだったら何も起こらないしゆっくり?眠れる。・・・でも、裕美と一緒だと・・・絶対眠れないと思う。いくら鈍感な俺でもその位のことは分かってる。

それが分からない裕美の方がずっと鈍感なのでは・・・?鈍感と言うよりも極端な少女趣味的な気質?が裕美には多分に残ってるのか?

・・・意識しないで寝るには・・・?うーん、そんな状態って言うと・・・そうだ!酒飲んだらいい!思いっきり飲んだら意識もなくなってそのまま寝てしまうだろう。そうだ、そうしよう!

自然に顔もほころんで来た。何か重大なときっていつも裕美任せだなと思いつつ、内心俺は残念と思うと同時にホッとした。うん、まだ早いよな、結婚してからで構わない、あれは。うん。
そのまま裕美に顔合わせ、

「分かった。予定通り泊まろう。裕美の言った通り、それこそ無邪気な子供みたいに眠ろう。でも、部屋はツインで取ってるからホントに寝るときはお互いのベッドに入って寝よう」

とにかく、裕美の納得するような行動取れば何も不安に思うこともない。へべれけになってバタンキューッって寝てしまえば何も起こることもないし苦しむこともない。安心した俺は饒舌になっていき、

「ちょっと早いけど荷物の整理してカバン下に下ろしとこ。ホテルに荷物置いて、せっかくの機会だから梅田ブラブラしようか。と言っても俺が案内出来るとこって・・・ないな」

「それってまた面白そう!目的もなくブラブラ知らない所歩くのっていいね!」

「ま、あんまし期待はしてほしくないけど、ブラブラしましょうか。ホテルは新阪急ホテル。阪急梅田駅からすぐのとこだから安心できる」
(続く)
さて、これからどうしようかと思いながら、席を立ち、裕美と志奈子のいるソファに座った。

「さっきから楽しそうに何話てんの?俺も仲間に入れてよ」俺。

「関西弁と東京弁の違い話してた。おにいも東京人っぽくなったね」志奈子。

「おにいか。それがええ。志奈子もやっとらしくなってきた。俺が東京人?回りがそうだし、何よりも彼女が東京人だからな」俺。

「私はずっと関西いたいから東京弁はいい。東京弁て冷たいし何か偉そぶってるとこあるもん。あ、裕美さんは違うけどね」志奈子。

「住む環境で変わってしまうんよ、方言なんて。俺もそやな、確かに東京弁増えてきてる」俺。

「よね。私だって裕美さんに『ウチ』とか言うの聞いてみたい。って裕美さん分かんないよね?」志奈子。

「もしかして自分のこと?」裕美。

「そうそう。『私』って言うより『ウチ』って方が可愛らしいでしょ?」志奈子。

「そうね。ま、東京で自分のこと『ウチ』って呼ぶ人いないでしょうけど」裕美。

「裕美さんがいるから、こいつのことも『お兄ちゃん』って呼んでるけど、普段なら『おにい』で済ませてる」志奈子。

「そやな、お前の『お兄ちゃん』って何か違和感あった」俺。

「あーあ、でも今日帰るんよね?何か寂しいな」志奈子。

「もっといたかったけど、いろいろと予定があってな」俺。

「私もお休み明日までだし。また部活か。休みボケしそう」志奈子。

「お前やったら大丈夫。心配いらんって」俺。

「ま、いっか。また一緒に帰ってくるし。あ、私も東京行ってもいい?」志奈子。

「東京興味ないって言ってたのに?別にええけど」俺。

「私もやっぱディズニーとか原宿とか行ってみたいよ。一度も行ったことないし」志奈子。

「女の子らしい。俺らもうディズニー行ってきた、二人で。楽しかった」俺。

「あーあ、また自慢話か。いいな、私も彼氏・・・、ううん、裕美さんとディズニー行ってみたいな。裕美さんといろんな乗り物乗ってみたい」志奈子。

「私も志奈子ちゃんと行ってみたいよ。今年のGWとかどう?でも部活かな?」裕美。

「GWは部活もお休み。そうか、そうだな、行こうかな?でもお金がない」志奈子。

「旅費位出してもええで。その代わり俺も同伴が条件やけど」俺。

「私は裕美さんと二人だけで行きたいんだけどな。でもいい。お願いします!」志奈子。

「分かった。じゃGW近づいてきたら連絡する。裕美も俺がついてきてもいいよね?」俺。

「志奈子ちゃんのご両親の代理としてしっかり面倒見てあげてね。こういう旅行ってのも大勢の方が楽しめるから賛成です」裕美。

「よし、じゃ早いけど父ちゃん母ちゃんに報告だけしといたら」俺。

「分かった。ねぇ、お母さん・・・」志奈子が離れた。俺たち二人になった。
(続く)

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2日になった。珍しく10時に眼が覚めた。珍しい遅起き。トイレ行って下降りて歯磨きしてリビング入ると、既にみんな揃ってた。何と志奈子まで。志奈子と裕美はソファに座ってテレビ見ながら楽しそうに話してる。おとんとおかんは食卓に座ってた。

「おはよう。昨日はお疲れ様でした」俺はそのままおとんのいる食卓に座って新聞広げた。もっとも今日は休刊日なので昨日の新聞だけどな。

「おはよう。えらいゆっくり起きたな」おとん。

「うん、今日はもうどこにも行かないし、帰る日やからね。やっぱり今日も見るような番組ないか」新聞見ながら返事返す俺。

「お雑煮でいい?」おかん。

「お願いします。ってみんなもう食べたの?」俺。

「9時には終わったわね」おかん。

「どっか行くの?」俺。

「それはないけど」おかん。

おかんはそのままお雑煮食卓に運んでもらって、食べながら新聞見てた。裕美と志奈子は楽しそうに話してる。俺の入る余地もなさそうなのでそのままほっといた。ホントは裕美と今晩のこと確認しておきたいのだが・・・。おとんもおかんもボーっとテレビ見てる。つまんないお笑い芸人の番組なんて俺は遠慮したい。

「お前今日は飛行機何時?」おとん。

「ん、っと16時位」俺。

「そうか。そしたら14時にはもう出んとな」おとん。

「うん、お世話になりました。姉ちゃんたちとも今日は無理やろうね。残念やけど」俺。

「やな。多分菜摘ら来るのは夕方やろし。それはそうと大学は楽しいか?」おとん。

「うん、講義もきちんと行ってるしね。サボったりしてないよ」俺。

「そうか。まだ早いかもしれんけど、将来やっぱり教師か?」おとん。

「出来たらそうしたいけど、まだ分かんない。遊ぶことばっかりしか考えてないし」俺。

「まだ1年生やからな。そんなもんやろけど、どんなとこ行ってんの?」おとん。

「いろいろ。彼女が行きたいとこやから、カラオケとか買い物とか、あ、ボーリングとか動物園とかも行った」俺。

「ふーん。ええこっちゃ。ま、今を大事に過ごしていけばええやろ。退屈することもないやろしな」おとん。

「毎日が充実してるよ。平日は学校で、休日は外でほとんど一緒にいるから、彼女と。ごちそうさまでした」俺。そのままお椀をシンクに下げた。

「横山さん以外に友達は出来てるの?男友達とか?」おかん。

「いるよ。まだ全然紹介できてないけど、昔からの杵柄って感じのゲーム友達だけどね。野郎同士で居酒屋とかたまに行ったりしてる。彼女がお酒ダメなんで」俺。

「そう。高校時代は友達もいなかったのに出来たのね。良かったわね。みんな横山さんのおかげか」おかん。

「そうやね。ま、滅多に付き合えないけど。俺の毎日ってほとんど彼女と一緒だから」俺。
(続く)
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「ふーん、そんなことあったんだ。でも今日は楽しめて良かったね」俺。

「ええ、カラオケってやっぱり大勢の人が一緒に歌うから楽しいんでしょうね。何か今日は私ばっかり歌ってしまってごめんなさい。でもとっても楽しかったです」裕美。

時刻は23時を越えていた。

「じゃ、そろそろ閉めよか。最後みんなで歌える歌やっておしまいにしましょう。裕美さん閉めの曲何かないでしょうか?」俺。

「え、私?・・・うーん、・・・出てこない。ごめんなさい」裕美。

「お兄ちゃん、オハロックは?」志奈子。

「慎吾ママの?」俺。

「そうそう、お父さんもお母さんも知ってるよね?」志奈子。

「結構昔の歌やな。メロディ聴いたら歌えるんやない?」おとん。

「お正月にはぴったりの歌ね。知ってるわ」おかん。

「それでは選曲します、・・・はいお待たせ」俺。

マイクは1本しかなかったのでマイク外してそのまま家族で合唱して盛り上がって終了。あ~、楽しかった。ゲッ、俺あれからビール2本も開けてた!お好み焼き食べてからよく飲めたもんだ。

でも、みんな楽しんでくれた。裕美の歌唱力にはいつもながら驚かされるが、初めて裕美の声聴いたウチの家族は俺以上にびっくりだったことだろう。裕美もカラオケの余韻だろう顔が紅潮してた。それ以上に満面の笑顔見て、来てくれてホント良かったって思った。

そのままお開きになって銘々が部屋に戻って眠った。俺と裕美は一緒に上がってそれぞれの部屋に入りかけた際に、

「今日は楽しかった!忙しい一日だったけど、とっても充実した一日だった。鮫君のお家連れて来てもらって有難う!」

「裕美に喜んでもらって俺もすっごく嬉しいよ。今日は歌い疲れてるだろうからゆっくりお休み。明日は急いで起きる必要もないしね」

「うん、おやすみなさい。でも、またブログ作るの?」

「昨日更新できなかったから、今日のだけ書いて寝る。俺も今ホントは眠いけど」

「マメだね。私のブログは行動のないブログだからいつでも書けるし楽だな」

「俺には裕美みたいな文才もないし、あくまでも日記的にしか書けないよ。あ、寒いからすぐベッドに入った方がいい。おやすみ」

「おやすみなさい。私も眠い・・・」

そのまま部屋に入って20分位ブログ書いて俺も寝た。いつものメールチェックは止めた。
こうして元旦の長い?一日は終わった。明日は姉ちゃん家族が来るけど多分会えないままここ出て行く。おとんが言ったことを反芻しどうしようかと思いながら、そのまま眠ってしまった。酔ってもいたし・・・。
(続く)
「有難うございました。じゃ次、お父さん、お願いします!」裕美。

「え!俺?・・・よし、鮫行、原田真二の『タイム・トラベル』かけて」おとん。

「了解です」選曲してかけておとんのカラオケ聴いた。え?結構上手い。何か甘くて切ない曲。でも悪い、原田真二って聴いたことないけど。

「お上手ですね!感動しましたよ!」裕美。

「俺もまだまだ捨てたもんやないやろ?」おとん。

「ちょっとびっくりした」俺。

「次、鮫行、お前行け」おとん。

「あ、はい。えーっと、じゃ俺はMr.Childrenの『Cross Road』歌います」俺。そのまま歌った。キーが高いからちょっと歌い辛かった・・・。「ゴメン、失敗」

「良かったよ、初めて聴いた歌だったけど。次お母さんヨロシクです」裕美。

「え!私はいいわよ。下手だし」おかん。

「いや、せっかくだから歌ってよ。聴いたことないもん」志奈子。

「そうですよ、こんな機会滅多にないんですから」裕美。

「ってことなんで何かけましょう?」俺。

「・・・じゃ、ユーミンの『中央フリーウェイ』お願い」おかん。

「了解、いきます!」俺。へぇ、これも初めて聴いたけどしっとりしたいい歌だな。おかんもちゃんと歌えるじゃん!

「お母さん、上手いね!」志奈子。

「感動しましたよ!」裕美。

「30年位昔思い出すな」おとん。おかんは台所でお茶注いでみんなに渡してくれた。

「いやぁ、良かった、いい歌アリガト」俺。「・・・で、小休止終わってまた裕美にお願いしたいんだけど」

「え?私はもういいよ。志奈子ちゃん次歌ったら?」裕美。

「ううん、裕美さん次も誰かの歌連続で歌って!まだ聴き足りない!」志奈子。

志奈子がここまで言うなんて・・・、もう裕美のファンになったな、間違いなく。

「俺も横山さんの歌聴きたいわ」おとん。

「ってことなんでまたヨロシク!次はやっぱJUJUかな?それとも西野カナ?」

「分かりました・・・。えっとじゃ、鮫行君、西野カナさん適当にいくつかかけて」

『Happy Half Year』『私たち』『SAKURA,I love you?』『LOVE LIKE CRAZY』『会えなくても』『My Place』どんどんかけてどんどん歌ってくれた。これも上手かった!本物そっくり!こっちの方が裕美に合ってる?

「裕美さん、良かった!お疲れさんでした!」志奈子が興奮して裕美に抱きついた。

「志奈子、彼女も疲れてるんだから」俺。

「あ、ごめんなさい・・・。私感動しちゃったの。本物と同じに歌える裕美さんに!お疲れ様です、裕美さん!でもどうやってこんなに上手く歌えるようになったの?」志奈子。

「私のお家って誰もいないから、寂しさ紛れに一人で歌うようになってね、歌手は固まってるけど、何とか歌えるようになったの。CDラジカセかけてね」裕美。
(続く)


また小説に動画出してしまった。おとんが歌った原田真二さん、結構当時は聴いてましたね。奇しくも私の第三のブログも同じ動画出してましたね。今でもカラオケで歌うことあるしな。

ではまた。
お好み焼きもみんな食べ終わって片付け始めた。食べたお皿はシンクに置いてプレートも洗った。その間それぞれがテキパキとお皿とかソースとか新聞を片付けた。

俺も用事済んだのでそのまま歯磨きと洗顔して、今日はお風呂もなかったので、そのままリビング戻り、みんなも用事済んだみたいだったので、

「じゃ、そろそろ家でカラオケ始めましょうか?父ちゃんも母ちゃんも歌ったらいいよ。そう、今日はテレビなんて一つも面白くないから家族で歌いましょう!」俺。

「そやな、ま、みんなの歌もう少し酒飲みながら聴かせてもらう。お前も飲むか?俺も歌ってええか?」おとん。

「アリガト。お酒はあとで。でもどんなの歌えるの?父ちゃんの世代はみんな演歌だとばっかり思ってた」俺。

「アホか、俺は演歌なんて曲も知らんし興味もない。俺の若い頃は尾崎とかプリプリとかノッコとかあったんや。知ってるか?」おとん。

「名前は聞いたことあるけど、歌は知らない。ま、みんな適当に座って下さい」俺。

おかんも洗物終わったようでそのまま歯磨きに行った。結局おとんとおかんが食卓に座り、俺と裕美と志奈子はソファに座って俺の操作を待っていた。

俺はPS3の電源入れてLANケーブルを差込み起動。チケット購入した。1日300円なら安い!マイク差込み、部屋の電気を豆電球にして「気分はカラオケ店とは違うけどやってみるか!志奈子、お前からいけよ!」

「はーい、私はもう『嵐』に決まってる!『ワイルド・アット・ハート』いきます!」あまり大きな音出せないけど出来るだけ大きく出して演奏開始。

・・・志奈子も俺に似て音痴だった。ちょっと白けた。おとんは暗がりの中お酒飲んでるの見て俺ももう少し飲みたくなった。

「悪いけど、俺ももう少し飲んでええ?」

「冷蔵庫あるやろ。取ってけ」おとん。

「アリガト。じゃ、次、皆がお待ちかねの裕美さん歌ってよ」志奈子からマイク受け取り裕美に渡して「やっぱ大塚愛?」

「じゃ『さくらんぼ』お願いします」裕美。リクエストに答えてその歌を探して選択し、そのまま冷蔵庫からビール取ってソファに座り聴いた。

「♪愛し合う二人幸せの空 隣どおしあなたとあたしさんくらんぼ・・・」うん、やっぱ上手い。こりゃ裕美のオンパレードになりそう。それが一番いいかもな。

「うー上手いな!裕美さん。本物顔負け!もっと歌って!」志奈子。

「いえ、順番に歌ってください」裕美。

「かまんかまん、横山さん、ずっと聴かせて!」おとん。

「本物そっくりね、もっと聴かせて!」おかん。

「ということやからそのまま続けましょう!次何行く?」俺。

「有難うございます。じゃそのまま大塚愛さんの『drop』お願いします」裕美。

「分かった」そのままかけ続け『Strawberry Jam』『恋愛写真』『金魚花火』『ビー玉』歌ってもらった。いや、良かった。ホント気持ちよく聴けて良かった。
(続く)

「そうね。あなたたちは若いから何でもしたいって気持ち分かるけど、自制心が必要だと思うの。そりゃ、今の若い子たちって平気でベッドインしてるけど、あなたたちはもっと自分たちを大切にしないとね」おかん。

「・・・はぁ・・・」俺。

「有難うございます。今の私たちにとってはとても貴重なアドバイスです。鮫行さんのご家族が私たちのこと認めていただけただけで、とても満足しました」ホッとする裕美。

「いいないいな!お兄ちゃんと裕美さんのこと私も応援する!でも・・・」志奈子。

「なぁに、志奈子ちゃん?」裕美。

「もっとブログに書いてくれたらいいのになって思うよ。裕美さんの最近のお兄ちゃんとのデートのブログってどこ行って何したってことがなくて、ほとんど裕美さんの独白ばっか。それはそれでいいんだけど、何か物足りない。嵐の記事もないしな」志奈子。

「志奈子ちゃん、ワザとそうしてるの。誰かに私が書いてるってことばれたくないしね。嵐は、彼にヤキモチさせたくないだけ。それでいいかな?」裕美。

「裕美さんらしいね。あんな女の子の切ない心情書いたブログ(Intermission:参照)ってなかなかないもんね。ちなみに裕美さんのブログのアクセス数ってどの位あるの?」志奈子。

「読者数じゃなくてアクセス数?そうだなぁ、300人かな?読者は今はお断りしてるの。鮫行君が止めろって言うしね」裕美。

「裕美のブログは俺だけ見てればいいんだけど、凄いな!毎日そんなに見てる人いるんだ!だからランクも凄い上位なんだ」俺。

「いろいろ恋に悩んでる人も多いのよ、私と違って。でも、それだけのアクセス数ってやっぱ凄いよ。じゃランクも凄いんでしょ?」志奈子。

「私そんな自慢めいたこと言いたくないんだ。私のブログにランクとか載ってるから見てね。これでいいかな?」裕美。

「ブログの話にはついていけないけど面白いものなの?」おかん。

「みんな自分の趣味とかいろんなこと書いた日記みたいなもんかな?誰でも見れるからみんな書いてる。自分の記録として残るから楽しいよ」俺。

「でも公になったらマズイことも出てくるから気をつけて書きなさいな。誰がどう見てるか不安だしね」おかん。

「俺は彼女以外には俺のブログのこと誰にも喋ってないし、あ、志奈子は知ってるか。『さめゆきの日記』ってタイトルだけどそれを俺が書いてるなんて誰も分からないと思う」俺。

「まぁ何かあったとき困るから気をつけて書きなさい」おかん。

「は~い。母ちゃんはブログ書いてみる気ない?」俺。

「私はパソコンの画面見るだけで疲れるからいいわ。書きたいこともないしね」おかん。

「アラフォーのブログも結構あるみたいだけどね」俺。

「そんなの書く時間があったらテレビ見てるわよ。ドラマ見てる方が楽しいもの」おかん。

「そう、残念」ちぇ、話が合わないや。
(続く)
「昨日言ってたことよね?」おかん。

「はい、そうです。・・・突然だけど、父ちゃんと母ちゃん、それと志奈子に伝えたい。俺鮫行と彼女横山裕美さんと二人、近い将来結婚を前提としたお付き合いすること認めて欲しいです!」俺。

「・・・私たちって知り合ってからまだまだ日も浅いです。でも、鮫行さんともし知り合えてなかったら、私は自分を誤魔化した毎日送って病気になってたかもしれません。それを救ってくれたのは彼、鮫行さんです。

私たちってまだ未成年の子供ですが、お互い確かめ合って前を向いて進んでいきたいんです。どうかお父さん、お母さん、志奈子ちゃん、私たちのこと認めてください」もちろん裕美。頭を下げての告白。俺も下げた。

しばし沈黙・・・。しばらくして、

「・・・俺はええで、賛成や。お母さん、思い出すやろ?俺らの頃を。何度もお前の家行ったあのときと同じよ」おとん。

「・・・何となくだけど分かってたような気がするね。・・・いいよ。間違いさえ起こさなければ。私にもそんなときってあったしね」おかん。

「有難うございます!」二人して頭下げた。

「私も賛成!裕美さんがお姉さんになったら間違いなく楽しくなりそうだし、それ以上に裕美さんみたいなヒトがウチに来てくれたら絶対明るくなる!裕美さんって誰にでも自慢できちゃう人だもん!」志奈子。

「有難う、志奈子ちゃん」裕美。

「別に結納がどうとかじゃなくて、俺たちの気持ちを認めて欲しかったんだ。とにかく、アリガトさんでした。認めてもらって感謝です!」俺。

「でも、鮫行」おとん。

「はい?」俺。

「横山さんのご家族の了解はまだなんやろ?」おとん。

「彼女のお父さんと近々会うつもり。お母さんとは2回、もう一人の兄妹のお兄さんとはこないだ会って特に問題もなく進んでる。もっとも承認っていうとお兄さんだけかな?」俺。

「差し当たり彼女のお母さんと仲良くして、頃合見計らってお父さんに電話してみたらええ。そしたら活路は開けてくるやろ」おとん。

「有難うです。東京戻ったらそうしてみます」俺。

「ただ、一つだけ約束して欲しい」おとん。

「何でしょう?」俺。

「お前はお前の感情のまま横山さんを慰みものにしたらあかん」おとん。

「え!?」俺。

「お前も横山さんもそうしたい気持ち相当あるの分かってる。でもな、それは双方の親御さんが認めてくれてからにしいや。お互い公認の仲になったら何しても誰も文句言わんやろし。実際俺たちがそうやったな」おとん。
(続く)