「何?いいものでもあるの?」おとんのそばに行ったら、
「ほい」とお年玉渡してくれた。
「わぁ、有難う。欲しかったんだ!」
「志奈子も横山さんも、ほい」気前のいいおとんだ。裕美にまであげるもんかな?ま、もらえるもんはもらっとけばいい。でも、裕美が受け取るだろうか?
「お父さん、有難う!やっぱりこれがお正月の気分よね」志奈子。
「私がいただいてもいいんですか?はい、遠慮なくいただきます!有難うございます!」へー、すんなり受け取った。裕美もウチの家族もホントにお互い心許してるなぁと思いつつ、
「良かったね。俺みたいに貯金でもしたらいい」
「ううん、お父さん・お母さん、お二人のお誕生日、これから何かプレゼント贈りますね!私のお小遣いからなので大したもの贈れませんけど、待っててください!」裕美。
「へぇ、おおきに。でも、俺らの誕生日知ってんの?」おとん。
「以前鮫行さんから伺ってます」裕美。
「裕美さん、私も私も!・・・って虫が良すぎるか。ごめんなさい、忘れてね」志奈子。
「志奈子ちゃんはこれから部活の試合で勝ったときとか、あと、大学合格したら何か贈ってあげる。それまで辛抱してね」裕美。
「わぁーお!裕美さんってホントに私のお姉さんみたい!いいないいな、期待しちゃうよ!」喜んでる志奈子。
東京行きか。また何が始まるんだろうと思いつつもそろそろ時間も近づきつつあったので、
「じゃ、俺たちそろそろ出るよ。今回も彼女の面倒見てもらって有難う。もうしばらくは帰って来れないけど、みなさんお元気で。いろいろお世話になって有難うでした」
「本当に短い間でした。とっても楽しかったです。お父さんのアドバイス是非実践して何とか父との面会成功していくよう頑張ってみます。お腹がいっぱいになる位のごちそういただいて嬉しかったです。これからも皆さんとよろしくお付き合いさせてください」
裕美の表情は凛として澄み切っていた。本当に満足できた帰省となったようだった。そのままゾロゾロと玄関まで行き、
「また、いつでも帰ってこい。お前がいないと何か寂しいわ。男は俺一人やし」おとん。
「うん、アリガト。次はGW考えてたけど志奈子がこっち来るんなら、お盆あたりになるかな。それまで元気で」俺。
「ま、今のお前やったら横山さんがおるから寂しいこともないやろうしな。気をつけて戻って来い。横山さんも気をつけて」おとん。
「まだ2日ならそんなに人ごみも多くないだろうから。でも、気をつけてね、裕美さんも。また楽しい話聞かせてね」おかん。
「うん、気をつけて帰ってきます」俺。
(続く)
