会社を経営していくうえで重要なことは、いかに従業員をやる気にさせるかです。
経営者が一人でいくら頑張っても、できることは知れています。
会社を発展させていこうと思えば、自分と同じ気持ちになって、一緒に仕事をしてくれる従業員が必要になります。
従業員が自分の会社と思い、一生懸命働いてくれるからこそ、会社は大きく成長していくのです。
このことは経営者の原点であり、会社をもっと大きく発展させていこうとするときに、あらためて立ち返って理解していただきたいことです。
あるいは、新たに小さな会社を立ち上げ、それを発展させていこうとするときにも参考に
なると思います。
従業員をパートナーとして迎え入れる
企業経営で最も零細な形態は、自分ひとり、あるいは夫婦で事業を行う、町工場や個人商店のようなケースです。
しかし、それではいくら頑張っても、自ずと限界があります。
事業を拡大していくためには、どうしても社員を雇用しなければなりません。
一人でも二人でも社員を採用し、一緒に仕事をして、成長を目指していくことが必要です。
そのようなとき、雇用主である経営者は、社員とどのような関係を築けばよいのでしょうか。
たとえば、社員を雇ったとき、経営者は
「月々いくらの給料を出します」 といった条件を提示し、従業員はその条件のもとで自らの労働力を提供することに同意します。
しかし、これは、雇用契約に基づいたドライな労使関係でしかありません。
必要なのは、自分と一心同体になって仕事をしてくれる 「パートナー」 ━
ともに経営の責任を負う共同経営者として従業員を迎え入れるということです。
特に零細企業では、他に頼るべき人がいないわけですから、そのわずかな従業員をパートナーに、すなわち、自分と同じ気持ちで仕事にあたり、事業を支えてくれる人になってもらう必要があります。
ですから、一人であれ二人であれ、人を雇ったときには、その人をパートナーとして迎え入れること、そして、日々を 「あなたを頼りにしていますよ」 という言葉をかけたり、そうした姿勢で接したりすることが重要です。
・・・・・・・・・・・・・・・つづく
「従業員をやる気にさせる7つのカギ」 稲盛和夫著 日本経済新聞