そんなことをして従業員になめられはしないだろうかと思うかもしれませんが、そうではありません。
「私はあなたを頼りにしています」
と真正面から従業員に言い、そう接することが
社内の人間関係を構築する第一歩なのです。
「皆さん、私と一緒になって会社を発展させていこうではありませんか。そのために、全面的に協力してください。私は皆さんと兄弟、あるいは親子のような気持ちで、ともに仕事をしていこうと考えています」
面と向かって、そう言わなければならないのです。
「あなたを頼りにしています」 という言葉が、そして、従業員をパートナーとしてとらえている
という経営者の姿勢がやる気を引き出すのです。
私も京セラを創業して間もないころ、さまざまな機会を見つけては、「こういう会社にしたい」
という自分の考えを従業員たちに話すように努めてきました。
それは、やはり、従業員を経営のパートナーと考えていたからです。
パートナーであるからには、私の考えを理解してもらわなければなりません。
「この社長なら、ついていきたい」 「会社の待遇は決してよくないけれども、この人となら生涯をともに歩んでもよい」
といった気持ちが芽生えてくるくらい強固な人間関係を企業内につくっていこうと、私は懸命に努めました。
そうした思いがあったからこそ、従業員も真摯に私の話に耳を傾けてくれたのだと思います。
胸襟を開いて、心と心が通じ合う関係をつくっていく。
これが、従業員を燃えさせる第一歩です。
「従業員をやる気にさせる7つのカギ」 稲盛和夫著 日経新聞社