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ベビーカーを押しながら日本縦断するカップル 歩いて恋していま5300キロ

写真:熊野市から和歌山県に向かう児玉文暁さんと近藤あゆみさん=熊野市井戸町


ベビーカーを押しながら日本を縦断して、もう5年になる。カップルは三重県に半年ほど滞在し、地元の人と交流を深め、そして和歌山県に入った。


 ベビーカーを押して歩いているのは、徳島県阿南市出身の児玉文暁(ふみあき)さん(44)と札幌市の近藤あゆみさん(39)。児玉さんは「日本をとにかく楽しみたい」と2005年8月、北海道・知床から南下を始めた。

 児玉さんは、脱サラして欧州や、南米、豪州など単独歩行で旅してきた。「日本なら途中で働いて費用が稼げる」と資金はほとんど用意しないまま歩き出した。


 札幌にたどり着き、旅を語る会を開いていた飲食店に、聞きに来ていた1人が近藤さんだった。半年間の滞在中に交際が始まり、近藤さんは旅の魅力に引き込まれた。17年間勤めた旅行会社を辞め、同行を決意。旅先で生活に困らないようホームヘルパー2級を取得したり体力トレーニングをしたりして、08年9月、長野で児玉さんと合流した。


 旅の基本は野宿と自炊で、春から秋にかけて歩く。年間費用は「最低30万円あればやっていける」。冬は、スキー場の駐車場整理やゴミ収集、引っ越し作業などのアルバイトをして蓄える。


 ジョギング用ベビーカーには、パソコン、デジタルカメラ、豪州で自作した長さ1.3メートルのアボリジニーの民族楽器「ディジュリドゥ」も載る。近藤さんはゴルフ用カートを使っている。


 旅先では、出会った人の家に泊めてもらうこともある。人間関係ができると、公民館など集会所で、趣味の折り紙の教室やディジュリドゥの演奏、旅の写真のスライドショーや語りなどをする。


 三重県に入ったのは09年8月だったが、児玉さんが網膜剥離(はくり)になり、旅を中断。今年4月に再開した。熊野古道を巡るため、尾鷲市のまちづくり団体が運営する古民家「大同楽座(だいどうらくざ)」には半月ほど滞在し、市民らと交流を深めた。


歩いた総距離は5300キロを超えたが、2、3年で終わると見込んでいた旅はまだ道半ば。児玉さんは「歩いてこそ本物の旅。歩いているだけで次々に楽しいことに出会える。スローペースはこれからも続くと思う」。


 沖縄を越え台湾まで行き、折り返して実家のある徳島県がゴール。2人はいずれ結婚する予定だが、日本の旅が終われば、今度は海外の2人旅を予定している。