お義母さんとの関係は次第に深まっていき

私のことも大切にして下さった。

私が食器などの洗い物をしていると

「旦那さんにそんなことをさせている」と妻が叱られるほど

いつまでも古風な考え方は続いており、私たちの生活にも口を出していた。

別居しているとはいえ、事あるごとに来られ

「妻と結婚したらお義母さんが付いてきた」と言って笑ったものだ。

 

そんな義母に私が心から甘えた思い出がある。

それは実母が亡くなった時のことである。

酒を呑まれないお義母さんに、行きつけの居酒屋に同行してもらい

母が好きだった茶碗蒸しを食べながら

泣いて甘えさせていただいた。

母が亡くなったこれからは、お義母さんが私の母と受け止めて

なにかと甘えさせていただく機会が増えていった。

 

若くして夫を亡くし、大黒柱となって働きに出て家族を支え

身を粉にして働いて来られただけに

これまでは経験したことのない事柄にもお誘いしては

「おかあさん、こんなことしたことがない」と言わせるのを愉しみにして

それからは旅行や外食に出る時も誘うようになり

さまざまな機会を共に過ごさせていただいた。

 

義母も私のことをわが子のように可愛がって下さり

晩年には認知症を患い、これまでの記憶もなくなり

妻以上に大切に慕われていた兄の存在や孫の存在までを忘れても

妻と私の記憶だけはいつまでも残り

たまに私が妻と面会に行くと、私の顔を見るなり

一瞬で笑顔に変わり、「優しい先生のことは分かる」と言って

いつまでも私の名前を呼んで下さった。

「本当にありがたい」という気持ちを越えて

「もったいない」という気持ちになったのを覚えている。

 

お義母さんには、本当にお世話になりました。

妻をいい娘に育てて下さったことに心より感謝しています。

これまでたくさんの御苦労ありがとうございました。

安らかにお眠り下さい。

おかあさんに可愛がって下さったことを一生忘れません。

ありがとうございました。

※この文章を書いた1月5日お通夜です。