「お客様は神様じゃない」⁉
“唐揚げ戦国時代”を勝ち抜く型破り経営
福岡・大分・熊本で35店舗を展開する
唐揚げチェーンの先駆け「大分からあげ」に注目。
大小各店がしのぎを削る“唐揚げ戦国時代”に、
「欠品OK」「従業員が神様」などセオリーの逆を行く経営方針で躍進を続けている。
その裏には、徹底的にムダを無くす周到なデータ戦略があった!
コロナ下でも好調な唐揚げ市場。
この1年、唐揚げ専門店は全国で1200店以上増えたともいわれている。
時はまさしく“唐揚げ戦国時代”。
こうした中、大分・福岡・熊本3県に35店舗を展開し、
存在感を見せつけているのが「大分からあげ」だ。
輸入鶏肉が定石の業界で、高コストの国産鶏肉、
国産米油使用を打ち出し、根強いファンを獲得している。
一方で、その“高くつくこだわり”を、徹底したロス削減で補っているのが好調の秘密だという。
過去の販売データから緻密な需要予測を立て、作り過ぎを徹底セーブ。
想定外の来店があれば「品切れ」も珍しくない。
一般的には機会損失だが、河邉哲也社長は「欠品OK」とどこ吹く風。
むしろ、ロスの少なさをアピールするため全店で「フードロス率」を掲示する。
「食べ物を大切にする企業だ」とお客の好感度アップにつなげているのだ。
こうした需要予測は社内環境にも良い影響が。
工場で働くパート従業員たちにシフト表は無く、
働きたい日と時間帯をカレンダーに書き込めば100%希望が叶うという。
人手が集まる日とそうでない日のばらつきは生じるが、
需要予測に基づき2週間スパンで生産量を調整し予定をクリア。
労働環境の良さからスタッフの定着率はほぼ100%で、
求人広告費用も抑えられている。
河邉社長の「もったいない」精神が、驚くべき好循環を生んでいたのだ。