「ロシア語」(ラテン文字転写)「村山七郎訳」『ごんざ訳』 村山七郎注
A 「касанiе」(kasanie) 「接触」 『ちぇかかくること』
cf. 「手かくること」の誤記。
B 「касаюся」(kasayusya) 「触れる」 『ちぇかくる』
ならんででてくる2行。
AはBの名詞形で、Bの訳語は『ちぇかくる』(手かける)だから、Aの訳語は「手かくること」の誤記だと村山七郎教授は判断した。
ただ、音節が脱落する誤記とくらべて、音節が過剰になる誤記はとてもすくないので、一応辞書にあたってみると、
日本国語大辞典 「かかぐる ①手さぐりで、さがし求める。迷い、苦労して目的物を求める。たどる。②あるものにかかわりを持つ。ある場所から離れないようにする。その辺にいる。③手などで強くとりつく。つかまる。すがる。」
Aが『ちぇかかくること』(手かかぐること)(=手さぐりすること)で、ごんざがAとBに微妙にちがうことばをつかった可能性、あるいはBが『ちぇかかくる』(手かかぐる)の誤記である可能性はないだろうか。