現代日本語の形容詞の「よい」をごんざは『よか』とかく。
連用形の「よく」になると『ゆ』とかくことがおおいけど、『よ』とかく場合もある。
「ロシア語」(ラテン文字転写) 「村山七郎訳」 『ごんざ訳』
A「доброплодный」(dobroplodnyi) 「良く結実するところの」『よぢぇくると』
B「доброплодiе」(dobroplodie) 「良く実ること」 『よぢぇくること』
C「преизрядствую」(preizryadstvuyu)「非常に優れている」 『くつよする』
この3つは日本版のごんざ訳の表記が『よ』になっている。
AとBは日本版の索引をつくる時に(どうしてこれだけ『ゆ』ではなく『よ』になっているんだろう)と気づいたようで、「ヨヂェクルト」という表記の「ヨ」の下に(ママ)とかいてある。
Cは『くつ』(きつく)『よ』(よく)『する』(する)という句のまん中にはいってしまっているので、索引のソートでは気づかれずにそのままになっている。
D「заглажденiе」(zaglazhdenie) 「滑らかにすること」『ふぁだよ(ゆ)なすこと』
E「удобопроходныи」(udoboprokhodnyi)「よく通るところの」『よ(ゆ)とをると』
F「удоборазвратныи」(udoborazvratnyi)「変節し易いところの」『よ(ゆ)かやすと』
G「удобосносныи」(udobosnosnyi) 「かなり良いところの」『よ(ゆ)なると』
H「удоботечныи」(udobotechnyi) 「よく流れるところの」『よ(ゆ)ふぁしると』
この5つは日本版のごんざ訳の表記は(ゆ)になっていて、索引でも(ゆ)のところにでているけど、鹿児島県立図書館の原稿コピーをみると『ю』(yu)の上に横棒がかいてあるから、これは(ゆ)ではなく『よ』だ。
I「доброученый」(dobrouchenyi) 「良く習いたる」 『よ(ゆ)なろたと』
これは日本版の本文のごんざ訳の表記は(ゆ)になっているけど、鹿児島県立図書館の原稿コピーをみると『ю』(yu)の上に横棒がかいてあるから『よ』とかいてある。
でも、索引をつくるまでに『よ』であることに気づいたようで、索引では「ヨナロタト」という形になっている。
索引は原文コピーの索引ではなく、日本版の索引なんだから、本文と索引の記述がちがう場合は、何かかいておいてくれないとつかう人がこまる。
現代日本語の(よく)をごんざが『ゆ』とかかずに『よ』とかいたのは、かきまちがいではないとおもう。
(ゆ)と(よ)の中間のような音だったのか、前後の音によって(ゆ)になったり(よ)になったりしたのか。わからない。