「ろうそく」だけでなく、「6」もごんざの辞書に「до」(do)『ど』と「ло」(lo)『ろ』のふたつのつづりででてくる。
「ロシア語」(ラテン文字転写) 「村山七郎訳」『ごんざ訳』
「iюнiй」(iyunii) 「6月」 『ろぐゎつ』
「шездесятъ」(shezdesyat') 「60」 『ろくじゅ』
「шездесятыи」(shezdesyatyi) 「第60の」 『ろくじゅんと』
「шездесятолЕтныи」(shezdesyatoletnyi) 「60年の」 『ろくじゅねんのと』
「шестисотыи」(shestisotyi) 「第600の」『ろっぴゃくのと』
「шести лЕтныи」(shesti letnyi) 「6年の」 『ろくねんのと』
「шестиугол(ьн)ыи」(shestiugolinyi) 「六角形の」『ろっかくのと』
「шесть тысящь」(shesti tysyashchi) 「6000」 『ろくしぇん』
「пядень」(pyadeni) 「親指と人差指を張った長さ」『どくすん』(六寸)
岩波ロシア語辞典 「пядь 1.ピャージ、指尺(ロシアの古い長さの単位、元来親指と人差指を張った長さで、ふつう17.78cm)。」
1寸が3cmだとすると、1ピャージが6寸であるというごんざの計算はただしい。
ごんざの別の著作の『日本語会話入門』では『ろく』だけで、『どく』はない。
「339. loknic' shgocsurfiga, 仕事する日が6日。
ロクニチ シゴツスルフィガ 」
ここまでは「ろうそく」とおなじなんだけど、「6」には気になるのがある。
「шеснатцать」(shesnattsati) 「16」 『じゅろく』
これも「ло」(lo)『ろ』とつづられているらしい。(ろ)が「ло」(lo)とつづられるのは語頭だけじゃなかったのか。
語中の(ろ)が「ло」(lo)とつづられているのは、辞書全体の中でこれだけだとおもう。
『ふろ』(風呂)も『じょろ』(女郎)も「ро」(ro)とつづられているのだ。
語頭じゃないのに「ло」(lo)になったのは、「6」の発音が特別なのか、『ふろ』は(ふ)と(ろ)にわけられないけど、『じゅろく』は(じゅ)と(ろく)にわけられるから語頭のようなものなんだ、ということなのか。どっちだろう。