数詞の中には、微妙につづりがちがうものが重複しているものがある。
「ロシア語」(ラテン文字転写) 「村山七郎訳」 『ごんざ訳』
「трепутныи」(treputnyi) 「三本道の」 『みつみちのと』
「троепутныи」(troeputnyi) 「三つの道の」 『みつみちのと』
「тройныи」(troinyi) 「三重の」 『みいぇんと』(三重の)
「троеныи」(troenyi) 「三重の」 『みっつぃねたと』(三つになした)
数詞は聖書にたくさんでてくる大切なものだから、ごんざの辞書にでてくる数詞は、教会スラヴ語が優勢だ。
だけど、数詞にほかのことばがくっついたものの中には、ロシア語と両方でているものもある。
「одноокiй」(odnookii) 「1つ目の」 『ふとつめんと』
「единоокiй」(edinookii) 「一眼の」 『ふとつめんと』
「однорукiй」(odnorukii) 「1つ手の」 『ふとつちぇんと』
「единорукiй」(edinorukii) 「1つ手の」 『ふとつちぇんと』
上がロシア語で下が教会スラブ語だ。
11から19までの数はおもしろい。
11と14は、みだし語になっていない。12はロシア語のつづりから教会スラヴ語のつづりにおくっている。17、18、19は教会スラヴ語で、なぜか16だけロシア語だ。
そして、13、15は重複している。
「трети надесять」(treti nadesyati) 「第13」『じゅさん』(ロシア語)
「тринадесят(н)ыи」(trinadesyat(n)yi)「第13の」『じゅさんのと』
(教会スラヴ語)
「пятнат[д]цатыи」(pyatnat[d]tsatyi)「第15の」『じゅごんと』(ロシア語)
「пятьнадесятыи」(pyatinadesyatyi)「第15の」『じゅごんと』(教会スラヴ語)
辞書の中にロシア語のアルファベット順にちらばっている数詞を、体系的にそろえようなんてことは、ボグダーノフ師匠はかんがえなかったんだろうな。