「ロシア語」(ラテン文字転写) 「村山七郎訳」 『ごんざ訳』
「златовласый」(zlatovlasyi) 「金髪の」 『あかかかみのけんと』
村山七郎注「赤か髪の毛の」
直訳すると(金の髪の毛の)だけれど、ごんざの訳語は(あかい髪の毛の)だ。
ごんざは、不自然におもえるぐらい、みだし語に忠実な訳語をかくことがおおいのに、ここでは(金の)を(あかい)に訳した。
たぶん(金の)というのは、江戸時代の人にとって(金ピカ)のイメージだけで、髪の毛のような光を反射しにくいものには、あわなかったんだろう。辞書をみても、(紅毛)ということばは江戸時代からあったらしいけれど、「金髪」ということばは、明治になってからつかわれるようになったみたいだ。
ごんざの『あかか』(あかい)の意味は、現代日本語の(あかい)だけでなく(あかるい)もふくんでいるから、村山七郎注のように無雑作に「赤」という漢字をかいていいか、わからない。
「красный」(krasnyi) 「赤い」 『あかかと』
「светлныи」(svetlnyi) 「明るい」 『あかかと』
ごんざが日本にいたときに金髪のヨーロッパ人をみたことがあったかどうか、わからないけれど、ロシアにわたって実物をみて、ソウザとはなすときには、(金の髪の毛の人)ではなく(あかい/あかるい髪の毛の人)といっていただろう。
ごん:златовласый(zlatovlasyi)(金の髪の毛)っていうけど、金がはいっているんじゃないよね。
ボグ:うん。もし金がはいっていたら、きってうりにいくだろうな。
ごん:うすくなる前にうりにいかなきゃね。