「ロシア語」(ラテン文字転写) 「村山七郎訳」 『ごんざ訳』
「елей」(elei) 「聖油」 『かたしのあぶら』
「маслино древо」(maslino drevo) 「オリーブ」 『かたしのき』
「древа масличная」(dreva maslichnaya) 「油をふくんだ樹」『かたしのき』
村山七郎注 cf. カタシ 椿の実。大分・宮崎・長崎・鹿児島その他。TZH.
教会でつかわれる「聖油」は地中海沿岸原産のオリーブオイルだ。ごんざは、ロシアの教会でみて「聖油」の現物はしっていた。オリーブの実(たぶん塩づけ)は、みたか、たべたか、わからない。ごんざの訳語の『かたし』は薩摩方言で「椿」のことだそうだ。
「маслино древо」(maslino drevo)と「древа масличная」(dreva maslichnaya)は、前後がいれかわっているだけで、どちらも「オリーブの木」だ。『かたしのき』(椿の木)は、ごんざは薩摩でみてしっていたが、ボグダーノフ師匠はしらない。「オリーブの木」は、ごんざもボグダーノフ師匠もみたことがない。
ごん:どんな木?おおきい?ちいさい?
ボグ:はえているところはみたことがない。
ごん:師匠がみたことのない木を日本語でなんていうか、おれがこたえなきゃいけないの?
ボグ:南の国にはえているそうだから、日本にもあるんじゃないか? 実をしぼって「масло」(maslo)(油)をつくる。その油は、私も君もしっている「елей」(elei)「聖油」になる。
ごん:実をしぼって油をつくる?じゃ、『かたし』(椿)かな。あかくてきれいな花がさくでしょ?
ボグ:はえているところはみたことがないってば。
ごん:・・・『かたし』だろうな。