「ロシア語」(ラテン文字転写) 「村山七郎訳」 『ごんざ訳』
「умащ(ив)аю」(umashch(iv)ayu) 「石を敷きつめる」 『ふぁししく』(橋しく)
「умощенныи」(umoshchennyi) 「石を敷きつめたる」『ふぁししたと』
ごんざは「мащ」(mashch)、「мощ」(moshch)の部分が「мост」(most)(橋)から変化したことをしっているので、訳語に「橋」ということばをいれたのだろう。
「石をしく」という意味が「橋をしく」という意味になったのではなく、「橋をしく」という意味であったことばが、だんだん石で橋をつくることがおおくなって、「石をしく」という意味になったのだ。
現代のペテルブルグには石づくりの立派な橋がおおいだろうけれど、ごんざが日本でしっていた「橋」のイメージが「石を敷きつめたる」ものではなかったのとおなじように、18世紀のロシアの橋も木造のものがおおかった。ごんざが「石をしく」ではなく「橋をしく」という訳語をつけたのはそのことをつたえているとおもう。