「ロシア語」(ラテン文字転写) 「村山七郎訳」 『ごんざ訳』
「удолiе」(udolie) 「谷」 『ふぃろかたに』(ひろい谷)
「юдоль」(yudoli) 「渓谷」 『くんだい』(くだり)
「бездно [бездна] пропасть」(bezdno [bezdna] propasti)「深淵」『たに』
「бояракъ」(boyarak') 「穴、濠、盆地」 『たに』
「удолiе」(udolie)、現代ロシア語で「долина」(dolina)は、辞書と教科書で勉強すれば「谷」なのだが、ロシア語にかぎらず、日本語の「谷」に対応することばがさす地形は、日本人の想像以上にひろびろとしていることがおおい。「低地」といった方がいい。
Wikipediaで「谷」をみて、ウクライナ語にとぶと、ロシア語とおなじ「долина」(dolina)ということばなんだけど、ドニエプル川の河口ちかくの、ものすごくひろびろとした風景の写真がでている。ごんざはロシアでそんなところにいったことがあるのだろう。
ボグ:去年の夏にいっしょにいっただろう。あそこが「удолiе」(udolie)だよ。
ごん:ふ~ん。薩摩にはあんなひろいところはないね。
ボグ:あれは、ひろいところじゃなくて、せまいところだ。
ごん:ふ~ん。
ということで、日本人にとっては「ひろい谷」という訳語になるのだ。一方、「бездно пропасть」(bezdno propasti)は、「深淵」というほど断崖のきりたった谷だそうで、これが日本人のふつうの「谷」のイメージにちかいのだろう。