【過去(2013年)の長期出張時の記録です】


ブラジルでは貧しい人達が暮らしている地区をファベーラと言います。(注記 と言いながら、この定義に自信がありません。スラム〜低所得者層の地域までファベーラなのでしょうか?分かる方がおられましたらご教示ください)


こんなことを言うと地元の方が気を悪くされると思うのですが、正直言えば、マナウスの街は混沌としていて、どこからどこまでがファベーラか僕には分かり辛いです。エリアによっては全体的に貧しいつくりの家が多かったりするので、気をつけて歩いていないとうっかりファベーラに入り込んでしまいそうです。

また、ファベーラにも貧富の差があり、更に貧しいエリアもあるようです。


会社で残業をすると、現地スタッフと同じ送迎バスに乗ります。そんな時にバスは細道を走って行きますが、ああ、ここはファベーラだな、と思うことがあります。実際、ウチのスタッフと話していると、貧しいけれど頑張ってそこから家族の誰かを(大抵は自分では無く)抜け出させる為に働いてる、という話を聞きます。会社の給料だけではやっていけないので、休みにベネズエラへ衣類を車で買出しに行き、それをマナウスで売り捌いている、という人もスタッフにはいました。確かに日本以上の物価高の国で、数万円程度の給料では家賃も出ません。みんな大変です。


話は少し飛びますが、ファベーラはマナウスの市街地に点在しています。特に低地や川沿いに多いと聞きました。この為、日本人だけで日曜日にアドリアノポリスから歩いてセントロ(旧市街)に行く場合、必ず「尾根伝いの道に沿って歩くよう」に言われます。(急坂の多い街なので、尾根伝いという意味は歩くと良く分かります)。その理由は、谷に降りるとファベーラがあるからです。ただ、ホテルのあるアドリアノポリスからセントロまでの尾根伝いコースは少ないので、間違って谷の下の方に近づいてから慌てて尾根筋の道に戻ることもしばしばありました。



こんな風な丘の街。谷に降りないで歩くには、道の先をよく見て歩く必要があります。それでも失敗するけど。^^;



突然開けた川沿い。なんか不自然だなぁ。普通、川沿いはファベーラがあるような気が、、、



しばらく歩くと、レンガを積んで作られた集合住宅が見えてきました。後で地元の人に聞いたところでは、川沿いのファベーラを再開発して低所得者向け住宅を建設しているそう。開発前後で収容人数が明らかに違う気がするので、相当数の人が住む場所を失ったのでは、と心配してしまいます。大丈夫かな。


低地にもこんな感じで住宅が建設されています。
高層団地でもなく、だいぶゆったりと土地を使ってますよね。うーん、需要と供給が見合っているとは思えない、、、


で、ある日、通訳の日系人のお兄ちゃんに「ファベーラに行こう」と誘われました。


ファベーラに向かう途中。この辺は普通の街だけど、低所得者が多いとのこと。僕はバイヤーなので、マナウス市内の取引先をほぼ毎日訪問していますが、これくらいのところだと、ほぼ毎日歩いてます。白人の多い南部と比べると、マナウスは庶民の所得レベルが全体的に低いのでしょうか。この感じはごく平均点なマナウスの街並みである気がしますが、サンパウロ州とはまるで違う国のようです。


ファベーラに入りました。あまり写真は撮らないように言われ、注意してパチリ。この辺は、会社の帰りにバスで通るファベーラより建物が密ではありません。日系人に「あそこは近づくのも絶対駄目」と言われているファベーラがありますが、
そこは入口からスラムの感じです。


近づくのも駄目と言われた場所。対岸からパチリ。

でも、ここはスラムではありませんでした。
もしかして、ファベーラって意味がかなり広いのかな?日本人はスラムとファベーラを結びつけそうだけど、低所得者層の地域もファベーラなのかな。この辺りの言葉の定義が間違えていたら申し訳ありません。


あるお宅の前で「ここが友人の家だから」と紹介されました。レンガが剥き出しで、小さな家に沢山の家族で住んでいるそうです。その時、たまたま近所の人達が家の前のテーブル周りに集まっていたので、ご一緒させて頂きました。


スープを頂きました。昼ごはん食べた直後だったけど、見た目と違い、さらっと飲める淡白な味。

驚いたことに、近所の人の中にかなり英語が話せる人がいたのでしばらく会話しました。曰く「ファベーラに生まれると教育が受けられないので、まず高給取りになれず、ファベーラから一生出て行けない」

本当なんだ。英語がそんなに話せるのに?

「僕は兄たちに支援してもらって学校へ行けたんだ。だから今もそこそこの給料をもらえるよ。でも、学校へ行けたのは僕だけだから、それをみんなで分け合うだろ?」

そうですね。それだとやりくり大変でしょうね。

「君は日本人だろ?いい国に生まれて幸運だね」

・・・これには返す言葉がありませんでした。

本当にサッカー選手にでもなって桁違いに稼がないと家族ごとファベーラからは抜け出せないようです。


今日は楽しくもあり、悲しくもある複雑な1日でしたが、うちのスタッフの言っていることが少し理解出来たような気がしました。