友達との予期せぬスレ違いというショッキングな体験とM先生のカウンセリングを受ける体験を経て、
図らずも私は、
「悩み事を友達ではなくカウンセラーに相談することの意義」を肌身で感じ取ることになりました。
これはかけがえのない貴重な体験です。
ここで私が得たことが、本連載のタイトルである「有料のセラピー・カウンセリングに求められるもの」でもあります。
それは、M先生のカウンセリングにはあって、友達との対話にはなかったものです。
つまりこれらは、訓練を積んだプロのカウンセラー・セラピストが備えているであろう態度でもあります。
そうでない人に、これらを求めるのは酷というものです。
だから友達への相談に、これらを期待してはいけません。
友達にそんな義務はないのです。
以下にまとめます。
①自分の価値観を脇に置く
何か助けになることを言おうとすると、人はよく、自分の価値観を持ち出します。
でも人生は千差万別です。
自分にとって良かったことが、人にも良いとは限りません。
だから、自分の価値観は役に立たないし、関係ないのです。
場に持ち込まないように、脇に置かなければなりません。
②批判をしない
批判をされたり、責められたりして力が湧いたり、楽になったりする人はいません。
相談者の力を弱めることは害悪になります。口にしなければ良いだけでなく、自分の中に生じないようにします。
③新しい視点を示す
相談者が気づいていない新しい視点を示すことは大変重要です。
これがないと有料には値しないと私個人的には考えています。
④相談者を尊重する
どんなペースで、どのように問題に取り組みたいのか、気づくペース、受け入れるペース、行動するペース、最終的に何を選択するのか、しないのか、取り組むのか、取り組まないのかに至るまで、相談者を尊重します。
究極に言えば、相談者には問題を解決しないという権利さえ与えられているのです。
⑤相談者が受け取れる分量だけ渡す
1回のカウンセリングの中で、相談者が受け取ることの出来る量には限りがあります。
カウンセラーが気づいているからと言って、なんでもかんでも伝えてはいけません。
欲張ることは害悪になります。
あの時のM先生のカウンセリングに、私はこのすべてを見ました。
この経験が、私にカウンセラーの価値を教えてくれ、私の職業カウンセラーとしての一歩を確かに踏み出させてくれました。
本当に貴重な体験です。
ちなみに彼女からは、4ヶ月程して連絡が来て、何事もなかったかのようにランチに誘われました。
互いにそのことには何も触れず、ただ食事をして、他愛もないおしゃべりをして、ショッピングをして、「じゃあまた」と別れました。
でも私の中では何かが変わっていて、また会いたいとは思わなかった。
未処理の何かは多分ありません。
ただ一つの時代が終わったような、そんな感じがしました。
だからそれきり、彼女とは会っていません。
きっと彼女もそうかもしれませんね。
ほろ苦いけれど、大切な思い出です。
あれから10年、今はただ、大きな学びをありがとう、という気持ちです。
長い長い話にお付き合いくださって、ありがとうございました。