4月末日に室内飼育に移行させたのだが、2日程遅れ、5月2日付近から、4齢の゙眠に入る個体があらわれ始めた。下の写真のように、容器の側面や上部に静止している個体が見られる。幼虫の゙生育にはかなりのばらつきがあり、まだ3齢と思われる個体も多いが。
飼育に不慣れな人は、側面に静止している幼虫を゙外して餌に付けたりすることもあるようだが、多分、百害あって一利なしである。具体的に何が起こっているのかは分からないが、健全な成長にとって静止していることが必要なのだろう。やりたいようにさせておけば良い。
この静止時期は意外と長い。多分5月7日付近から終齢になる個体が出始める。3月28日から4月3日付近まで産卵させ、雌を知人に進呈した。孵化は4月15日頃から始まり、5月7日から終齢になるとすると、4齢までの期間は24日程度であろうか。このあとの終齢幼虫の゙期間が約2週間とすれば、幼虫期間は38日程度と言うことになる。ただこれはトップランナーの゙数値であるから、平均的にはもう少し長く、多分40日を超える。今年の4月は、かなり暖かい日が多かったので、まあまあと言う感じだろうか。
ヒメギフチョウは蛹化前、ギフチョウは4齢の゙眠と言うことで、幼虫達は一時的におとなしくなり、どちらもあまり餌を食べなくなっている。勿論、この時期は餌を追加する必要はない。現在ギフチョウの゙飼育容器に入っている餌の殆どは、少し前までヒメギフチョウの゙飼育容器に入っていたものであり。ウスバサイシンの゙方が多いが、ウスバサイシンととランヨウアオイの゙減り方にほとんど差は認められず、どちらも減っている。
とはいえ、これは多数の個体の合計に過ぎず、個別に見ればウスバサイシンばかりを食べている個体や、ランヨウアオイばかりを食べている個体もいるかも知れない。
多分、本気で確認しようと想ったらかなり手間がかかり、考えても仕方がないことであるが、餌の好悪は、通常摂食意欲で考えるが、それとその餌が成長、発育に好適であるかどうかと言うことはイコールではないはずだ。人間的に言えば、美味しいか美味しくないかと言うことと、栄養価が高いか低いかは別のことである。それどころか、美味しいものほどコレステロールが多いとかで体に良くない傾向すら認められる。
蝶の幼虫の゙場合、要は噛み砕かれて消化管に入り、独自の消化酵素は持たないそうなので、おそらくその葉片を゙腸内細菌のような微生物が分解し、その分解産物を吸収して成長しているのだろう。ギフチョウの゙場合、株間移動を頻繁に繰り返して成長した個体と。ほとんど異動なしで幼虫期間を終えた個体がいるだろうが、野外では極端に大きい、あるいは小さい個体はそれほど見当たらないので、要は一時的な絶食期間などが最終的な大きさに影響することはあまりなく、「摂取栄養量マイナス消費栄養量」が一定の値に達すれば、一定の大きさまで成長し、蛹になるのだろう。
だとしたら餌の種類とかも小さな問題なのかも知れない。ウスバサイシンでも、ランヨウアオイでも、カントウカンアオイでも成虫になることは確かめられているので、どの餌でも必要な栄養素は足りているだろうし。
この眠の期間は結構長いため、眠の期間が終わるまで餌を新鮮に保つことは難しい。今与えている餌はすべて捨て、終齢幼虫には完全に新規の餌を゙食べさせる予定なので、今はややケチケチしたやり方で餌を補充している。今容器の中にある餌をきっちり無駄なく食べ切って、4齢を゙終えて欲しい。