ただ金融緩和と平行して政府が実需を作り出し、賃金、雇用を改善することができれば、そこからさらなる物価上昇につながる好循環も期待できます。
と日本銀行新総裁候補の黒田東彦氏
逆に「実需」を作り出せなければ、長期金利の上昇・政府借金の拡大・インフレという「悪循環」が
待っているという意味である。
政府・日銀は、一体となって「ルビコン川を渡った」。



問題は、実需=実際の需要「=消費・投資の拡大」ができるかどうかである。


政府にあるのは、大型公共事業=国債の大量発行=借金の拡大
だけである。


規制緩和による成長戦略に需要を大きく創り出す目玉がない政策がない。
せいぜい、一部勝ち組が得をする程度のものしかない。
規制緩和は、需要を創り出すのではなく、需要を容易に奪い合える仕組みの方が
多いということに気づくべきだ。


TPPもしかり。
これによって、世界市場の需要が伸びるのではなく
世界の需要を勝ち組が容易に奪い合える仕組み作り
と言ってもよいのではないだろうか?


大切なのは「実需」新しい、需要なのである。
しかし、目玉は無い。
もはや成熟社会へのソフトランディングの道は探れないものなのだろうか?(壷)


以下朝日デジタルよりの全文
http://www.asahi.com/business/update/0304/TKY201303040016.html

「デフレ脱却へ何でもやる」 黒田氏の所信全文 

日本銀行新総裁候補の黒田東彦(はるひこ)・アジア開発銀行総裁(68)の衆院議院運営委員会での所信は以下のとおり。

 私は2005年2月からアジア開銀総裁としてアジア諸国の経済発展と貧困削減に取り組んできた。幸いにアジア諸国は大変高い経済成長を遂げまして、いわば世界経済を牽引している。日本は様々な形でこれら諸国に対して支援している。その成長に大きく貢献してきた。

 日本はアジア諸国の重要な貿易投資相手国でありまして、そういった意味でも日本は重要な位置を占めていると思います。その意味で日本がデフレを脱却して、持続的な経済成長に服することはアジア、世界経済にとっても重要であり、期待されていることだと思います。

 しかし日本経済は10年以上、15年近くデフレに苦しんできた、世界的にもきわめて異例のことです。物価が下落する中で企業収益、あるいは人々の賃金・給与が圧縮され、消費や投資がさらに減少するということで再び物価の下落につながる悪循環に陥っている。

 デフレからの早期脱却は日本経済が抱える最大の課題。物価安定は中銀の責務でして日銀の役割がきわめて重要だと思います。過去十数年間、日銀は様々な取り組みを行って参りましたが残念ながらデフレ脱却に至っていない。このところ、政府がデフレ脱却と経済再生を実現する方針を明らかにして緊急経済対策の方針をとったことが好感され、景気回復を先取りする形で株価も上昇している。

 特に、1月の共同声明は政府・日銀がそれぞれの課題を明確に設定し責任をもって実現することを宣言したという意味で、デフレ脱却と持続的な経済成長に向けた第一歩だと思う。特に日銀が2%の早期に実現するとはっきり宣言したことは極めて画期的と評価している。もし私が総裁に選任されたなら、物価安定目標を一日も早く実現することが何よりも重要な使命になると思う。

 日銀はデフレ脱却に向けて国債だけでなく、社債、その他の資産を買い入れてきた。この点は評価されるがその規模、具体的な買い入れ対象等は早期に2%の物価目標を達成するという強いコミットメントを達成するにはまだ十分ではない。資産買い入れをはじめとする具体的な金融緩和の手法は市場への影響を見極めつつ、何が最も効果的かを探っていく必要がある。

 金利引き下げの余地が乏しい現状では金融政策の運営にあたっては市場の期待にはたらきかけることが不可欠だと思います。私が総裁に選任されたら、市場とのコミュニケーションを通じ、デフレ脱却に向けてやれることは何でもやるという姿勢を明確に打ち出していきたい。

 政府との連携も重要です。具体的な金融緩和の手法は日銀に任せるべきだと思いますが、金融政策は政府の経済政策と整合性を持つことで、より高い効果を発揮できるものですので、政府と日銀のより緊密な意思疎通が重要だと思います。

 共同声明では政府は機動的な財政政策、成長力強化、中長期的な財政健全化に取り組むことになっている。日銀は自らの責任において物価安定目標の早期実現をめざして、金融緩和を推進するものであります。ただ金融緩和と平行して政府が実需を作り出し、賃金、雇用を改善することができれば、そこからさらなる物価上昇につながる好循環も期待できます。

 財政運営への信認低下による金利上昇を避けるため、中長期的な財政健全化に取り組むことも重要です。日銀として金融経済のグローバル化に対応することも大変重要。日銀は物価安定だけでなく、金融システムの安定という使命も負っている。近年、金融規制についての中銀間の連携協力が重要性を増している。金融政策の意図・方向性について、諸外国に説明する機会も増えています。各国中銀との連携・調整につとめることはきわめて重要であると思う。

 私はこれまで政府機関、国際機関、大学等で勤務して参りましたが、どのような職務にあるときでも、与えられた職務を果たすために最善を尽くして参りました。日本経済が重要な局面にある中で、日銀総裁の果たすべき役割も重要性を増している。きわめて重大だと存じております。従いまして、もしその重責を果たすべき機会を与えていただければ、これまでの経歴で培ってきた経済、金融の知見、内外の人的ネットワーク、組織トップとしてのマネジメント経験をいかしまして、全身全霊を込めてその職務に邁進していく所存でございます。