このままでは世界はそろってインフレに向かう。世界の中央銀行はインフレをコントロールできると思っているようだが、上昇に転じるとかじ取り不能になる恐れがある
デフレはおおいなる問題である。しかし、ひとたびインフレに転じた時、特に返済不能な巨大な財政赤字日本が、どういった状況に陥るのか?
今は、円安による輸出製造業の復活、公共事業のカンフル効果で、経済成長に転じる期待感で、活況を帯びている。
しかし、危機は突然やってくる。あの80年代後半バブルがはじけたように、アベノミクスバブルがはじけた時、それが始まるのだろう。
日本はデフレ下
で厳しいと言われているが、失業率は4%台と比較的安定している・
で厳しいと言われているが、失業率は4%台と比較的安定している・
これが、もっとたいへんになるようにアベノミクスは舵取りを無理矢理しようとしていると思います。
だから、私たちは、もう「諦め」に似た「覚悟」をすべきではないかと、考える。
インフラがなくなるわけではない。地域の人間関係がなくなるわけではない。
知恵を生かして、「新しい公共」=地域協業体を目指す時なのだろう。
今朝2月14日の朝日新聞より
(アベノミクス@世界 G20モスクワ)課題を聞く:中 ジェームズ・リカーズ氏紙面で読む
ジェームズ・リカーズ氏
――著書の「通貨戦争」が米国でベストセラーになりました。モスクワのG20では、その「通貨戦争」が大きなテーマになりそうです。
「そうなると思う。ただ、今のG20でできることはあまりなさそうだ。各国の非難合戦に終わる可能性がある。G20は2008年の金融危機直後には各国が結束してよく機能した。今は比較的静かな時であり、生産的な議論はあまり期待できない」
――「アベノミクス」の影響で円安が進んだ結果、欧州やアジアでは日本への批判が強まっています。
「批判は公平でない。今回の通貨戦争を始めたのは米国だからだ。10年に量的緩和第2弾(QE2)に踏み切り、膨大な紙幣を刷り始めた。ドルの価値下落がまず始まり、日本はそれに反応しただけだ」
「私は(世界各国を)兵士の一団のように考えている。みな疲れてのどが渇いている。水筒は一つしかない。その水筒をみんなで回し飲みしている。これが通貨戦争で、今回は日本の番というわけだ。今度は韓国が悲鳴を上げる。韓国が通貨安に踏み切れば台湾は? そうしたら中国は? 解決策はない。この戦争は長引くだろう」
――経済が弱ってくると、通貨を安くして輸出競争力を高めようという動きがどうしても強まります。
「確かに輸出競争力が高まれば、成長には多少効果がある。しかし通貨安のもっと大きな目的は自国内でのインフレ促進だ。通貨の価値を下げれば輸入物価が上がる。この結果インフレにつながる。米国と日本はとくにデフレを恐れてきた。だからインフレを『輸入』し、名目成長を得るために紙幣を刷っているのだと考えている」
――1920~30年代にも同様の通貨戦争が起き、世界経済のブロック化と第2次大戦につながったとの見方があります。
「当時の通貨戦争を第1次通貨戦争と呼びたい。20年代にドイツがハイパーインフレで自国通貨を破壊し、フランスとベルギーが続き、30年代に英国、米国が通貨を切り下げ、さらに英国とフランスがまた切り下げた。だれもが順番にやった。今回と同じだ。ニクソン・ショックをはさんだ60~80年代が第2次、今回が第3次だ」
――今回も悲惨な結果につながるのでしょうか。
「このままでは世界はそろってインフレに向かう。世界の中央銀行はインフレをコントロールできると思っているようだが、上昇に転じるとかじ取り不能になる恐れがある。ブラジルなどがすでに実施しているように、各国が税金を引き上げて資本の流入を制限しようとする可能性もある。非常に危険だ」
――回避する知恵はないのでしょうか。
「かつてのブレトンウッズ会議、プラザ合意のような国際的な通貨会議を開き、なんらかのアンカー(いかり)を作るべきだと思っている。完全な金本位制ではなくてもいいが、金に対して各国の通貨がどれぐらい減価しているかを参考にする仕組みが一つの案だ。金本位制は反対が多く、簡単には実現しないだろうが」
(聞き手・ワシントン=山川一基)
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米投資銀行家。国際資本市場に関する米国防総省のアドバイザーで、米ジョンズ・ホプキンス大などで講師も務める。2011年に出版した「通貨戦争」はベストセラーとなった。61歳。(ランハム裕子氏撮影)