アベノミクスは「過度なインフレを招きかねない」


朝日の記事論評がでました。
財政・経済・成長戦略の3本の矢を「もろ刃の剣」と表現をしました。
すでに、株高、円安=輸出産業製造業への追い風と、好評価が多い中での比較的
辛口の論評記事です。


記事によるとそのリスクは
①失敗すれば消費増税と重なって景気がしぼむ
②景気回復が、給与増、税収増になるか不明
③公共事業の大盤振る舞いは、借金増と将来の更なる増税
④金融緩和で過度のインフレは起こる可能性

但し、一部記事は明らかな間違い。

緩和で金利が下がれば円安になりやすいので、輸出企業の業績も良くなる」
とあるが、金利は、もうこれ以上さがらないゼロ金利政策が継続している。
※わざと間違えた節もある。リスクに関しては、かなりぼかした表現だからだ。


元々のいわゆる金融緩和は、低金利~ゼロ金利政策を指していたが
日本は、ずっとゼロ金利政策が継続。もうこれ以上緩和する余地がない。

そこで、実質的
な日銀による国債引受けをすることで、

さらに民間企業にお金を回そうとしている。
これは、「無制限の日銀による国債引き受け」へのマインドを強化し
円の信頼を悪くすることで、「円安」を誘導している。


言い換えれば、国債の信頼が下がり、「国債が値下がり=長期金利の上昇」
による円の信頼の喪失である。
「円の信頼の喪失」→「円安」→「輸出企業の業績アップ」
と負の条件が、経済成長の原動力になっている点に注目しなければならない。
これは、更なる借金増の公共事業大盤振る舞いとのセットであるため
良く言って「
最後の賭け」悪く言えば、「地獄への入口」である。

2012年12月の総選挙結果は、とんでもないパンドラの箱を開けた。




もろ刃のアベノミクス、走り出す〈政策再転換〉


ごみゼロ日記 静岡-アベノミクスは「過度なインフレを招きかねない」

安倍首相が考える経済成長シナリオ

 「経済再生なくして、財政再建も日本の将来もない」。安倍晋三首相は26日の就任記者会見でこう訴えた。そのための経済政策が「アベノミクス」だ。

 まず公共事業や金融緩和で目先の景気を底上げし、次に円安で輸出を増やす。これで時間稼ぎをしている間に、新しい産業や市場をつくる成長戦略を進める――。これがシナリオだ。

 金融市場はお金がばらまかれるのを期待し、株高・円安の「安倍バブル」になっている。だが、アベノミクスには落とし穴もある。

 第2次安倍政権が民主党政権の政策を転換し始めた。経済、原発、外交・安全保障、社会保障はどこに向かうのだろうか。

■景気を託す「3本の矢」

 【中野和郎、榊原謙】アベノミクスは「3本の矢」(安倍晋三首相)だ。積極的な公共事業、大胆な金融緩和、企業の投資を呼び込む成長戦略――。

 民主党政権は財政や金融の「規律」に気をつかい、思い切った景気対策には慎重だった。消極政策から積極政策への転換だ。

 まず年明けに「10兆円規模」とも言われる大型の今年度補正予算を組み、公共事業を前倒しで進める。安倍氏は「(金融政策などで)投資や雇用が生まれるには時間がかかる。待っていられない」と説明する。

 消費増税法では2014年4月に消費税率を8%に上げるかどうかを来年9月ごろに最終判断する。判断材料は、来年4~6月期の国内総生産(GDP)が好転しているかどうかだ。安倍首相も「そういう判断ができる予算を組んでいきたい」と公言している。

 来年夏の参院選で勝つにも景気回復が必要だ。そこで、お金をかければ効果が早く出る公共事業を仕掛けることにした。しかし、公共事業はいずれお金がつきる。政府は借金が今年度末で700兆円を超える「借金大国」だ。

 そこで並行して進めるのが、日本銀行による金融緩和強化だ。日銀と「物価上昇率2%」という目標に向けてお金を市場に流し込むことを約束する「政策協定」(アコード)を結ぶ意向だ。安倍氏は「伝統的な政策でデフレ脱却できなかった。新たな政策に挑むのは当然だ」という。

 緩和で金利が下がれば円安になりやすいので、輸出企業の業績も良くなる。その成功体験は、小泉政権と重なる02年2月~08年2月の戦後最長の景気拡大だ。

 当時、輸出企業は次々に過去最高益をたたき出した。欧米や新興国が好況だったのに加え、政府・日銀の為替介入で1ドル=120円台の円安だったからだ。

■成長戦略、失敗すれば大打撃

 課題は、時間稼ぎの間に成長戦略を進められるかだ。かつて円安の恩恵を受けた製造業は新しい分野を開拓できないまま、今は業績悪化に苦しんでいる。

 安倍政権は年明けに経済財政諮問会議を復活させ、新設の日本経済再生本部も本格始動する。ここで来年6月までに戦略をつくる。

 「評論家じゃない。ロードマップ(工程表)をしっかりして、民間が投資をしたくなる環境整備を政府がコミット(約束)していく」。甘利明経済再生相は27日の会見で強調した。

 だが、成長戦略は小泉政権以降、首相が代わるたびにつくられた。民主党政権がまとめた「日本再生戦略」にも工程表はあった。

 「なかなか実施されていない。今は実行あるのみ」。経団連の米倉弘昌会長は、これまでの成長戦略があまり実行されない「看板倒れ」だと指摘する。

 自民の公約では、世界最先端分野をつくるために大胆な規制緩和や設備投資、研究開発の支援などをうたう。だが、どれも過去の政権が打ち出し、中途半端に終わった。具体策はこれからだが、今のところ新しい産業や市場をつくるシナリオは描けていない。

 成長戦略で業績や給与を良くし、税収も増やさないと、どうなるか。アベノミクスはリスクも大きい。

 公共事業を大盤振る舞いすれば借金はふくらみ、将来の増税につながる。金融緩和で物価が上がるまでお金を流し込めば、今度は物価がどんどん上がる過度のインフレを招きかねない。

 「財政、経済、成長戦略。三つ一緒にやっていかないと」。麻生太郎財務相も目先の景気回復だけでは失敗に終わるとみている。