映画「地球温暖化詐欺」の問題点を考える
わかりにくいという評判ですので、もう一回挑戦
映画の一部の主張であるが、私なりに検証してみた。
紹介するのは、始まって12分~16分の4分間ほどの部分である。しかし、この4分間は映画での「典型的な主張と表現方法」であり、私には一番インパクトがあったところだった。
映画は、
■「20世紀の温暖化の原因がCO2」の主張は基礎的な数字を見ていない。■
と言い切り、映画の言う「基礎的な数字」として、折れ線グラフが登場する
■19世紀中頃から地球の気温は約0.5度上昇し、気温の上昇の大半は比較的工業生産が小規模だった1940年以前に起こった。第二次大戦後、国際市場に向けて大量生産が開始され、地球規模で爆発的に工業活動が広まった「好況期間」は気温の低下が40年続いた。しかし逆説的に、1970年代に不況が訪れると低下は収まった。■
と主張する。そして、
A点(1880年「-0.1℃」を表示)
B点(1940年「0.5℃」を表示)
C点(1975年「0.35℃」を表示)
A~B 60年で0,6度上昇 B~C 35年で0.15度低下
■「二酸化炭素は急激に増加する一方で気温は低下してゆく。つまり二酸化炭素と気温に関連性があるとは言えない。」■
と結論づける。
しかし、映画の「基礎的な数字」としたグラフは、明らかに「IPCCの資料を基」にしている。本当は複雑な気温のバラつき変化を「一本の線の折れ線」かのように見せることが映画の主張を作り出す上で重要な役割を果たしている。
これが公式の世界平均気温の動き(複雑なばらつき変化)
映画のA点、B点、C点を入れてみた。ちょっと無理があると思いませんか?
1940年の気温上昇は明確だが、その後40年間下がり続けたとは相当無理がある
当たり前のことだが、まず、IPCCは「気候変動の要因を温室効果ガス=二酸化炭素だけである」とは、全く言っていない。つまり
●気候変化を引き起こす三つの基本要素は
(1)入射する太陽熱の変化(例えば地球軌道要素の変化や太陽自身の変化)、
(2)太陽熱を遮断するチリなどの変化(雲量、汚染によるチリ、火山灰のチリなどに影響)
(3)温室効果ガス(二酸化炭素、水蒸気など)による保温効果の変化
である。IPCCは3つの要素が複雑に絡み合い自然の中で気候の変化が起こってきたことも説明している。異常を前提にIPCCはこの20世紀から今日までのことを
●1910 年代から1940 年代にかけて(0.35℃)上昇し、その後は1970 年代にかけて幾分(0.1℃)低下した後は、2006 年末までは急激に(0.55℃)上昇した。世界平均地上気温は、特に1950 年頃から上昇している。(一方で)1940 年頃から1970 年頃までは、第二次世界大戦に続く工業化によって増加した北半球の大気汚染によって寒冷化した。●
と表現している。つまり、1940年に関する気温の上下動もエーロゾル(=空気中のチリなど)の影響だと分析している。それが事実なら、50~60年から始まった気温上昇は、大気汚染が存在しながら(冷却効果)、気温上昇がするほど温室効果ガスの影響が始まったとも言えるだろう。IPCCは
●現在の二酸化炭素の濃度は過去65万年間のどの時よりも非常に高い。二酸化炭素が1000年間当たり30ppmを上回って増加することは一度もなかったが、現在、二酸化炭素はわずか過去17年で30ppm上昇した。●
グラフで見る限り、エネルギー革命後(本格的石油文明突入後)の1950~60年頃から現在までの気温の急上昇は明確であり、並行して急激な二酸化炭素濃度上昇が起こっており、人類の化石燃料の消費の急増していることとの因果関係も明確である。
1本線のグラフに改ざんし、偉い学者風の方が話す「二酸化炭素は急激に増加する一方で気温は低下してゆく。つまり二酸化炭素と気温に関連性があるとは言えない。」が証明されたとは全然思えない。



