二期会ドン・カルロを観てきました。 | 自動車コラムニスト中込健太郎のブログ『込氏のブログ』

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自動車ライターですが、最近はノリで買った積載車が忙しく、レッカー・搬送、搬入搬出、自動車何でも屋みたいになっております。自動車絡みだったりじゃなかったりの日々を綴ります。

今日は久しぶりオペラ鑑賞です。東京文化会館で二期会の「ドン・カルロ」を観てきました。
やはり年に一度はヴェルディ生で観ないとだめですね。その意味でも良かった。
冷静になると、そして今時の感覚で受け止めると、まあけったいで無茶苦茶、「あんたよういうわ!!」という場面も多々。それを5幕になるのかな?上演時間3時間45分という大作です。ですので、まず「つまらない」「なんだか荒い作り」の『ドン・カルロ』は地獄であります。その点で、さらりと観れたという実感が、今日の公演の出来の良さを物語っているといってもいいでしょう。
こういう大作ではあれやこれやと演出に盛り込まれると雑然とします。スッキリとしていて実に好感のもてるものでした。あとオペラで大事だと思うのがいいオケです。今日は都響でしたが、それをまとめるガブリエーレ・フェッロさんの、譜面の中をよどみなく音譜いっぱいいっぱいに丁寧に紡いでいくオーケストラだったので説得力がある演奏だったと感じました。
そのうえで、全体にレベル卓越したテクニックを惜しみなく魅せてくれたキャスト陣、実はだれかだけ突出しているというのは最悪でして、バランスが取れていないとなりませんが今回はまさに、バランスも実によかったと思いました。そもそもバスを2人キャストに入れないといけないこの演目、なかなかこのキャストをそろえるのが一苦労なオペラだと思います。そんな中で最近なかなか足を運べないオペラ、たまに行くのに、こういういい公演に触れるというのは実に喜ばしいことだなあと思うのです。最近大活躍のエリザベッタ役のソプラノ安藤赴美子さんは体調不良で急きょもう一方のキャストの横山恵子さんになるということもありましたが、あの曲もこの曲も、オペラファン冥利に尽きる名曲の数々、やはり本物のオペラの中で聴くのは実にいいものですね。

で、今回もバリトン歌手上江隼人さんがミラノより帰国、ロドリーゴで出演されました。写真は終演後楽屋にお邪魔して記念写真を撮らせていただきました。盟友を想う気持ち、何かを守ろうとする心、無念さ、ヴェルディの書く「男の器」のようなものを、上江さんは真のヴェルカントで聴かせてくれるのでした。モノローグもぐっと来ますが、そのノーブルでブリリアントなバリトンにこそ、ヴェルディバリトンの真髄があるように感じるのです。帰国されるたびにパワーアップ、それは単にでかい声、音域が広がり安定する、などという表面的なことではなく、「鋭くマイルドさを歌に載せる」とでも言いましょうか、音楽が深くなっているようで聴くたびに悦びがあり、またの機会が自ずと楽しみになるのです。タイトルロールの山本耕平さんともともに研鑽をつまれた中とのことで、今回の演目のドン・カルロとロドリーゴにぜひとも期待したい「息の合う掛け合い」も大いに楽しませてくれたと思います。今後にまた期待してしまいます。

今、日本でできる最善を尽くした「ドン・カルロ」
好演に心から感謝したいと思います。

ちなみに次回上江さん7月31日にリサイタルがあるそうです。こうご期待!!



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