チェコの国立の教育機関は基本的に、全額免除である。
つまり入ってしまえば、全て無償…すなわち『タダ』である。
外国人には奨学金制度もあるし、銀行も学生は無償で作れる。寮費も安い。
ただし!!それには条件がある。
チェコ語で全ての入試を受かる、という超難関を乗り越えなければいけない。
ヤナーチェク音楽大学の場合。(ここからは劇場調でお送りします)
入試会場にて〜
『Dobrý den(どぶりーでん、こんにちは)』
入試の椅子に座る。 そこにはまだ何も置かれていない。周りを見渡すと、台湾人や、メキシコ人、アメリカ人、ロシア人などがいる。入試会場前で会った時は、皆にこやかな笑顔で英語でどこから来たかを話し合い、『大学で会えたらいいね〜』と希望を話しあった仲であった。
試験官の先生が3人入って来られて、入試の内容を話される。
『質問があったら聞いてくださいね』
話す内容が早すぎて、これしかわからない。まあいいや。どうせペーパーテストだし。
いざ、試験の答案用紙が配られる。
そこで全員驚愕するーーーー
まず、多い。5枚配るのを終えても、チェコ人の先生は配るのを止めない。
最初はにこやかだった私たちの顔も、次第に曇りを見せる。
『ん!?』と思った時には14枚になっていた。
『裏表印刷ができなくて。。でも、時間はたっぷりあるので(120分)、ゆっくり解いてくださーい』
先生の声は陽気な感じに聞こえてくる。
さて、試験開始。
『おいおい…全部チェコ語かよ。。』
予想はしていたが、問題も答える欄も、全部チェコ語である。
最初のほうの文法問題と思われるところも、ぱっと見た感じ何を書いてあるかわからない。
まず、何を答えればいいかわからないのである。
(あれ?シノニムってなんだったっけ?ドラえもーん!!)
(長文が多すぎるし、意味は理解できてもどう答えていいかわからない!先生助けてー!(プラハにいます))
(半分いったぞ。。。あと40分。。ん?もう1時間以上経ってる!?やばい!)
すでに隣のメキシコ人の女の子は、途中から諦めたのか顔を伏せていた。
(もう…無理っす。。これなんて無理ゲーです…??)
後藤は、目の前が真っ白になった。。。
試験会場を出る。
絶望した周りの外国人と、ただ一人陽気なロシア人。
結果は見えた。
試験を終えてわかったことは、ロシア人と自分以外は全員落ちたらしいということと、いまや世界一のオーケストラ、ベルリンフィルのアカデミーで弾いているポーランド人のコントラバス奏者も、楽器は1番で受かったのにも関わらずチェコ語の入試で落ちたので、今年再チャレンジしていたということだった。
英語の試験は別日にあったが、これは裏表2枚のテストで、多分A2(英検3級)くらいのレベルだった。
ちなみに英語で入学も出来るが、これはかなり学費が高い。
もちろん、英語で1年間受けれる『スタージュ』(英語でいうパートタイム・スタディ)というものがある。しかし、これは日本の国立大学と同じか少し高いくらいの学費を支払う。
そしてチェコ語で入ったほうが質の高く、深い内容の授業を受けれるというのも事実である。
首都プラハでは、大学の入試前に『B2』というレベル(英検でいう2級)のチェコ語のライセンスの提出が求められ、一応その後ペーパーテストと面接というシステムに最近なったらしい。
大学でも、院でも修了する際はチェコ語で論文を書くことを求められるので、当たり前なのだが。。。
とにかく、チェコ語を勉強し続けようと、気合が入る後藤であった。
また入学編も書こうと思います♪