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毎日が実験。人の気持ちがわかる人になるブログ

人の気持ちがわかるようになりたい人に教えています。
趣味はビールを飲むことと、和服を着ることと、自分の子を観察すること。
聴くチカラ検定の開発担当。

以上、復職受入れと再発防止に関して求められることを述べてきました。

一人の部下に対しここまで手厚くすべきかと驚かれるかもしれません。けれど本来管理監督者は、職員の一人一人をきめ細かく観察し、もっとも生産性があがるような環境を提供することが職務です。

病気になる以前から、厚いコミュニケーションや風通しの良い職場環境を心がけていれば、全体的なメンタルヘルスの向上につながり、職場の活気や生産性も向上するでしょう。これは前回にお話しした一次予防と本質的に同じ意味を持っています。

職場にメンタル不全者が出た、また個人として病気になったということを、単に不幸な出来事としてとらえず、改善すべきサインとして受け止め、方向性を少し変えてみるきっかけにできれば、イキイキした職場やイキイキした人生につなげていけることと思います。


参考)認知療法を活用したストレスコーピングのセルフトレーニング
「こころが晴れるノート」大野 裕  


「メンタフダイアリー」
「ストレス耐性の向上」

さて、うつは再発しやすい病気だと冒頭に申しましたが、職場環境だけを整備すれば万全というとそうではありません。
本人が努力して、ストレス耐性を向上させることも大切です。
物の見方・考え方はひとそれぞれ尊重されるべきですが、うつやパニック障害などの神経症に関しては「なりやすい性格」というのはあります。

同じ人でも人生の中で、体調や状況でポジティブなときもあるでしょうしネガティブな部分が強く出るときもありますから、正確には、性格そのものというよりもその時の傾向といったほうがよいのかもしれません。
うつなどになりやすい要素というのは、一言でいうと、ネガティブにとらえる傾向のことです。
うつになると、これが加速して視野が狭くなり「絶対に自分が悪い」「絶対にあの人が悪い」と悪いところばかりが見えてきてますますつらくなります。

また「言いたいことが言えない」「我慢しやすい」「一人でしょいこむ」というのも危険要素です。
これらは日本人にはよく当てはまる気質なので、日本のうつ発症や自殺率は長年世界でも高水準を維持しています。

ネガティブにとらえる傾向について、少し詳しく見てみましょう。
人は誰でも多かれ少なかれ、非合理的で自分を苦しめる考えを持っています。ここでは認知療法という心理技法で説明されている非合理的思考の例をあげてみます。

・すべきだ、~しなければならない思考
自分自身や他社、外の出来事に対して、かたくなに基準を指示したり、実際には無理なくらいにコントロールできるはずだと思いこんで、命令的な考えをもつこと。
・全か無か(白黒、絶対的)思考
複雑な、あるいは連続的な結果を、訳もなく両極端に分けてしまうこと。(例:「これは成功するか完全に失敗するかのどちらかだ」)
・過剰な一般化
1回だけ、あるいはごくわずかな経験で得られた事実から、より広い意味をもつまちがった結論にいたってしまうこと。明らかに否定的な出来事や経験の印象が極端に増幅されてしまうことを「破局的思考」ともいう。(例:「もしパニック発作がきたら私はすべてのコントロールを失って気が狂ってしまう[あるいは死んでしま]」)
・感情的決めつけ
感情状態だけにもとづいて結論ないし推論してしまうこと。(例:「私はこう感じた、だから私はこうなのである」)
・心の先読み
他人の考え・意図・あるいは動機に対して、否定的に推論すること。
・ラベリング
人あるいは物事の好ましくない特徴によって、その人や物事を決めつけてしまうこと。(例:「私はバレエにまちがって選ばれてしまった、だから私はまちがった人間だ」)
・個人化
ある出来事・状況・行動などに際して、それが特別に、あるいは個人的に、自分の否定的な面を示していると考えてしまうこと。
・選択的否定的焦点化(心のフィルター)
ほかに中立的あるいは肯定的な情報があるのに、それを思い出したり見定めることをしないで、望ましくない、あるいは否定的な出来事・記憶・暗示などにばかりに焦点をあててしまうこと。
・認知的逃避
快くない考え・感じ・出来事などを、途方もなく克服できないものだと誤認して、積極的に抑圧したり避けたりすること。

この中の多くが当てはまる場合、その考えを持った時に修正するトレーニングは、メンタル不全の再発予防に役立ちます。
周囲と本人との関係がうまくいっており、信頼できるサポートが得られているなら、周囲からの働きかけで時間をかけて改善していくことも可能でしょう。
身近な人間関係に頼ることが難しければ、カウンセリング等の専門機関もいいでしょう。非合理的な考え方を修正するための認知療法については、少数ですが病院でプログラムをもっているところもあります。
またこれらはセルフトレーニングも可能です。本を読んだり、インターネットで無料で公開されているサービスを活用することもできるので、代表的なものを文末に紹介しておきます。
いずれにしても、本人の「改善したい」という意欲が最初の一歩として最も重要です。周囲は、その意欲を持つところまではサポートできると望ましいですね。


もうちょっとつづきます。


「管理監督者の役割」

サポート資源として家族や主治医、職場の産業保健スタッフとの連携は不可欠ですが、職場復帰に関しては職場の管理監督者が率先して行ってください。
たとえば、主治医と産業医では見解が異なるということは往々にして起こります。
主治医は本人の希望と治療面での適切さを最優先にします。また産業医は、精神科でない場合も多く、うつなどは特に回復状況がわかりづらいという理由があげられます。
事業場に対し、職場復帰判断をどうしているかをきいた調査では、結果には大きくばらつきがありました。

参考)職場復帰判断(関西生産性本部2006)

心晴れ晴れ☆未来予想’s

大切なのは、復職やその後の対応についての判断を医師に任せきりにせず、職場として主体性を持つことです。本人が業務を安全にこなせるか、職場内への影響などは、管理監督者が一番よく見えるはずだからです。
復帰に際し、職場が検討しておく内容を職場復帰支援プランといいます。
内容に含まれる項目をあげておきます。

 ・業務サポートの内容や方法
 ・業務内容や業務量の変更
 ・就業制限(残業・交代勤務・深夜業務等の制限または禁止、就業時間短縮など)
 ・治療上必要なその他の配慮(診療のための外出許可)
 ・配置転換や異動の必要性(特別な場合)
 ・フレックスタイム制度や裁量労働制度等の勤務制度変更の必要性
 ・管理監督者によるフォローアップの方法
 ・事業場内産業保健スタッフ等によるフォローアップの方法
 ・就業制限等の見直しを行うタイミング
 ・全ての就業上の配慮や医学的観察が不要となる時期についての見通し
 ・職場復帰に際して労働者が自ら責任を持って行うべき事項
 ・試し出勤制度(リハビリ出勤制度)等がある場合はその利用についての検討
 ・事業場外資源が提供する職場復帰支援プログラム等の利用についての検討



つづきます。

「理想的な復職受入れ」

前提として、心の病気で休職した後は、元の職場に復帰するという原則があります。配置転換などの環境の変化が、負担になるという配慮からです。ただし、職場や業務そのものがストレスの原因だった場合、同じ環境への復帰は再発のリスクを抱えることになります。

同じ職場に復帰してもらいながらも、受入れ側として環境改善や業務量の調節をはかり、いわゆる「リハビリ出社」から始めてもらうのが理想です。リハビリ出社は、「勤務」と「治療中」の境界が難しく法的に曖昧であることなどから、制度としてというより運用で実施している事業場が多いようです。このことからも、人事担当や管理監督者はもちろん、同僚などの周囲の理解と支えが不可欠となります。

参考)リハビリ勤務制度化と運用についての企業調査(関西生産性本部2006)
心晴れ晴れ☆未来予想’s

復職をスムーズに行うため、管理側は本人の状態を細かく把握したいものです。そのためにはメンタルヘルスの基礎知識、病気や症状、通院状況、服薬状況についての理解が必要です。本人から確認が取れるよう、信頼関係を築くことが重要です。

職場で一緒に業務を行うメンバーは、戸惑うことが予想されるので、「あたたかく見守る、必要以上に特別扱いはしない」という点を方針として周知しておくべきです。どちらかに偏っては本人のためにも、職場のためにもなりません。うまく二つの要素のバランスをとれるよう配慮しましょう。

症状が回復していくと、徐々に業務量はこなせるようになりますし、病気による「不安定さ」「プレッシャーの感じやすさ」といった面もよくなっていきます。
ただし、うつの回復には波があります。よくなったり、悪くなったりしながら、少しずつ右肩上がりになっていくという治り方をするのです。あまり大きな波があるうちは復職しないほうがベターですが、個人差がありますし、休職可能期間との兼ね合いもありますので、周囲としてもそういうものだという認識は持っていたほうがいいでしょう。

管理監督者は、本人の状態をよく把握した上で対応していきます。


つづきます。
前回に引き続き、職場におけるメンタルヘルスの予防、特に三次予防である「職場復帰受入れと再発予防」について述べたいと思います。

心の病気の中で最も多いとされる「うつ」は、再発の多い病気です。
せっかく休職期間をつくり、治療に専念したのに、その後の職場復帰がうまくいかず退職というケースは後を絶ちません。また職場側からも、復帰後の職員の受入れに関して悩んでいるという相談はよくあります。
一人の職員に対し、長い休職期間を用意できる事業場ばかりではないので、まだ治っていないのに無理をして出社してしまうという側面もあるでしょう。

メンタルヘルスの疾患の場合、けが等と違って完全に治ってから社会復帰というより、8割治ってからリハビリがてら職場に行くほうが望ましいとされています。現実は「8割治った状態」という判断は医療的にも本人としても難しいですし、休職期間との関係で、そこまで至らずに出社ということもありえます。
本調子ではないところからスタートし、どのようにして本当の意味で「復帰」していくのがいいか、また再発を予防するにはどうすべきか、ということを考えていきたいと思います。


つづきます。