ずいぶん久しぶりの読書記事です。
今回読んだのは名古屋大学の元助教授で工学博士の森博嗣が
書いた、『女王の百年密室』です。
ストーリー:
百年後の未来、主人公のミチルと人造人間の相棒ロイディのコンビが
迷い込んだ秘密の王国。女王が統治するその弧絶した城塞都市では
貧富の差もなく、犯罪も無く、眠りにつく者は居ても死者は出ない。
突然起きた不思議な殺人事件と主人公ミチルの過去の辛過ぎる経験を
通して人の生や死とは何か?を問いかける作品です。
この作品は、森博嗣作品の中でも「百年シリーズ」と呼ばれる
3連作の第一作にあたりますが、元々私はこの作品から森博嗣の
作品を読み始めたのではなく、更にこの100年後の世界を描いた
Wシリーズという別のシリーズから読み始めました。
(作品に触れた、という意味では昨年TVで放映された森博嗣の
最初の作品「すべてがFになる」が最初でした)
この百年シリーズも、Wシリーズもシンギュラリティ(技術的特異点)
=平たく言うと人工知能が人間の能力を上回った世界、の話です。
両シリーズの特徴として、ウォーカロン(=Walk Alone)と呼ばれる人型の
アンドロイド登場します。百年シリーズのウォーカロンは人型では
あるものの、言葉のやりとりが少し不完全だったり、階段の昇降が
苦手だったりするのですが(しかし人工知能がどんどん進化している
様子は描かれています)、100年後のWシリーズに出てくるのは
物理的(成分的?)にも人間と全く同じになり、人間とほとんど
見分けのつかなくなったウォーカロンの姿だったりします。
冒頭で書いた通り作者は、国立大の助教授だった方なので、
そういった世界の描写がやたらとリアルなのも気に入ってます。
構成としては、今から100年後の世界を舞台とした百年シリーズの
出来事が起きた場所で、更にその100年後にWシリーズの出来事が
発生する、という様な作りになっています。まぁ、双方読まなくとも
読書を楽しむことに支障はありませんが、やはりWシリーズを読んでいる
うちに気になって百年シリーズにも手を出してしまいました。
しかも、これらの物語は上述の「すべてがFになる」からずっと続いている
世界で(と、いうか全ての作品が同じ世界観の中にあるようです)、
一冊読むとあっちもこっちも読まないといけない(いや、本当はいけなくは
ないのですが、、)気分になってしまうので、なんと言いますか、今後は
忙しくなりそうですが、久しぶりに大量の小説に浸れそうで楽しみです(^^)。