私の親は高齢である。


私も若手の顔をしているが高齢である。


だから当然親も高齢というわけではなく、初期設定から親が高齢なのである。


母が42歳の時に生まれたのが私だ。


今ならそこまで珍しくはないだろうが、当時はもう少し珍しかったのではないかと思う。


幼稚園くらいの頃、他の親が我が子を抱っこしている写真が並ぶ中、抱っこをする体力がすでになかったのか私だけ母親と手を繋いだ写真が飾られていた記憶がある。



人生は歳を重ねるほどに哀しみが多い。


既に知ってしまった喜びや楽しみをいつまでも新鮮に感じる事は出来ない。


出会いよりも別れが増える。



前座の頃に父が旅立った。


最後の言葉は笑い話としてたまにまくらで話す。そこからどの落語にも入れないエピソードだ。


父はアメリカのプロレスが大好きだった。

アメリカならではの派手なエンタメ部分も100%信じていた。


倒したはずの敵が立ち上がって後ろに迫ってきたのに気付かず客席にアピールするレスラーを見て


「後ろ向け!アホ!」


と本気で怒鳴っていた。


記憶にはないが、ドリフを見ても「志村後ろ向け!アホ!」と怒鳴っていたのかもしれない。


小指の爪だけを伸ばしていた。


ガサガサの踵を何故か嬉しそうに見せていた。


潰したゴキブリをティッシュに包み、そこに油をかけそれに火をつけて走ってくる車の下に放り投げていた。


ちゃんと昭和のおじさんだった。


いや、最後のは昭和のおじさんあるあるでもない。



順当に行けば、あと私に残った最大の別れは母だ。


昔、母は「生まれ変わったら丘の上の大きな木になりたい」と言った。


考えれば考える程切ない。


どれだけ苦労の多い人生だったのか。


母の名前は「勝子」時代や境遇を想像せざるを得ない名前だ。

文字通り勝ち気な人だった。


老いは全てを奪う。


勝ち気さは失われてしまった。


老いた母を前に思う・・



「この世は金と筋肉だ。」



金と筋肉があれば世の中の全ては解決する。


金と力。闇堕ちした戦士のような事を言うがこれが現実だ。聖帝サウザーよろしく「こんなに哀しいのなら、愛などいらぬ」


つまり私が今日みんなに言いたいのは、せめて筋肉つけとかないと老後大変だよってこと。


楽しい毎日を過ごしましょう。


母にも、生まれ変わったら人間になりたいと思ってもらいたい。


その前に笑えて長生きできますように。



今日は息子と2人旅。

弁当は妻が作ってくれた。



ここで一首、


「来世は木」と譲らぬなら木に実る

果物にでもなるしかないか



本当は来世こそ初期装備から金と筋肉をもって生まれたいです。

徳が明らかに足りないので頑張ります。



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さかなや落語も!