第10話『渦巻く闇』 | 吾輩はSLE&ヒルシュ類縁のアラサーである。

吾輩はSLE&ヒルシュ類縁のアラサーである。

腸管神経細胞僅少症(ヒルシュスプルング病類縁疾患)とSLE、肝硬変に振り回されつつ、七転八起しながら生きているアラサーです。
日常のことや病気のことを書いていきます。
質問、コメントお待ちしてます(*´∀`)

 
ブレイズのもとを訪ねてきた者というのが・・・・
「悪あがきはよすんだな・・・・」
ケストレル中に響き渡る低い声、揺れる漆黒の長髪・・・
「き、貴様は・・・・」
ブレイズは言葉を失った。
「ご機嫌はいかがかな?ラーズ・グリーズ、ブレイズ殿・・・?」
「貴様は・・・輪(ロンド)・・・・」
ブレイズは手元の刀に手をかけた。
「今日はお前を殺しに来たわけではない」
輪は邪悪な笑みを浮かべた。
「では何故この様な所に来た・・・?」
うなる様にブレイズは言った。
「お前等に教えに来たのだ・・・」
「何を・・っ!?」
「祈りを捧げるべき時をな・・・・「楽に死ねますように」と・・・」
「ほざけ!!」
輪が告げ終わるかいなか、ブレイズが刀を抜き、輪を襲った。
 
キィン!!
 
冷たい金属音が耳でこだまする。
「我々は貴様なんぞに負ける気はない」
ブレイズが静かに告げると、輪は呟いた。
「それはどうかな?」
その言葉に少しブレイズは動揺した。ブレイズ自身、これほど邪悪な“気”に触れた事がなかったのである。
 
「邪・霊・気・現・楼・・・・」
輪が何やら呟くと輪の刀から真っ黒な光が放射された。
「うっ・・・・」
その光に包まれたブレイズは動けなくなり、その場に立ち尽くしていた。意識はハッキリしているが
自分の体が全く動かず、困惑するブレイズの頭の中に輪の声が響く。
『銃を取れ・・』
何度も何度も、まるで直接脳に話しかけられている様な錯覚を起こす。己は全くその意思はなく、しかし、
手が輪の言うままに銃を持った。
『さぁ、自分のこめかみに当てるんだ・・・・』
何の抵抗もできず、ブレイズは言う通りにした。
「さすがラーズ・グリーズ・・・・己を己で殺める事など何も感じないか・・・・」
ブレイズはただ無表情で輪を見つめていた。
「「フッ・・・・つまらん・・・・お前と遊ぶのは終わりだ・・・」
そう言うと輪はマントをひる返し、ドアへと向かう。
「用件を忘れていた・・・・お前達が灰になる時は“雷鳴が響き、天が涙するとき”だ・・・」
そして、左手で指を打つとブレイズの体からは力が抜け、座り込んだ。全身に嫌な汗をかいていて、
深く息を吐く。輪がブレイズに再び笑みを向けた。
「そのお前が己の手で味方を殺す時が見てみたい・・・さぞかし、怯えて、狼狽した良い表情をするんだろう・・・・」
そして、闇は去った。
「輪めが・・・・」
ブレイズは今の言葉と先ほどの出来事を反すうし、身震いをした。
「アイツ、殺人を楽しんでやがる・・・」
ブレイズの心に大きな不安感が渦を巻いた・・・・。
 
 
「ちゃらら、ちゃらら~・・眩しい日差しを背に~♪」
「飛んで、飛んで、回って~♪」
未香と陽那は上機嫌で教室へ向かっていった。漆黒の髪をした男である。その瞬間、
2人の表情は強張り背筋をゾクリとしたものが走った。2人が立ち尽くしたまま後ろを振り返ると
既にその男の姿はなかった。
「何今の・・・・ヤバくない・・・?」
「人間じゃないよ、今の人!!」
 
2人はそそくさと教室への道を急いだ。
 
まだ彼女達はアイツの事を知らない・・・・・
 
 
 
 
 
 
To be continued......
 
 
 
Written by蒼ノ介