午後の紅茶を一年で365本消費する自由人 -6ページ目

光と影(4)

玄関に入ると奥さんの靴と彼の靴が一緒に並んであった。
私は無理やり、間に靴を脱ぎ部屋へ上がった。
リビングに通され私は目を釘付けにされた。
二人の写真や…プリクラが飾ってあった。

物凄く心が痛みだした。
綺麗に整理された部屋
『適当に座ってて』

『あっ…。うん』

返事をしたものの足が動かない。
リビングに入る勇気が怖くて出なかった。

あんなに彼の家に来たいと願って居たのに、彼の生活を目の当たりにすると…居ないはずの奥さんが…。

まるで私達を見ているかの様に感じた。

奥さんが座る場所。
奥さんが彼の為に料理するキッチン。
奥さんのコップ。
奥さんの服。

今にも奥さんの圧力で潰されそうだった。
今でも彼のアパートに来る時がある。
入る度に、胸が痛む。慣れない感覚だ。

私は奥さんが嫌い。きっと嫉妬してるから。
同じ女として…母親として共感出来るが。
婚姻届け。
あの紙に…名前と印鑑で彼と夫婦になり。
物凄いもので繋がってしまった。

彼と私が別れるまで…この嫉妬は続くだろう。

彼の気持ちが全部私の物になったとしても

光と影(3)

朝やはり彼から家を出たとメールが有った。そして…彼に電話をかけた。

『おはよう。おめでとう。ぱぱだね』

彼は嬉しそうだった。暫くは…続くだろう。
今日も営業そっちのけで病院に向かうらしい。
そして…仕事を終わってからも。

段々にすれ違いになる気がした。

そのうち…会えなくなり、そのまま自然消滅?
良くある話だ。

私妊娠して良かったと思った。
この子に感謝だね。

一人だったらきっと、どうにかなりそうだから。

彼の子供が産まれて3日目。
その日も会社が終わると病院に行く予定だった。

8時過ぎには面会時間が終わる。
1人で彼は家にいる。彼にとって…何年ぶりの1人暮らし。

『ピンポーン』
彼のアパートのチャイムの音。

彼がドアを開けた。
『入って!!』


呼び鈴を鳴らしたのは私。

奥さんの以内間に彼の家に来てしまった。

前彼に家まで連れて来て貰ったことが有った、アパートの部屋も駐車場も知っていた。

今日ここに来る事を彼も知っていた。

初めて彼の部屋に入った。

光と影(2)

双子の赤ちゃんが奥さんのお腹でき。

一足先に…産まれる日が来た。

7月の末。
朝彼のメールで…しった。

帝王切開で産むので前々から…決まってはいたが…その日がこんなに早く来るとは。

なんだか…彼も朝からソワソワしていた気がした。

『今日だね。もす直ぐパパだね。しかも…双子ちゃんの』

彼にお祝いのメールを入れた。

彼からメールの返事が来たのは…夕方前。

朝からずっと病院に居たからだ。

奥さんに付きっきりなんて…
良い気持ちはしない。
今日だけは…特別。

『仕方がないよね』

彼達にとって最初で最後の感動の瞬間なんだもん。

『おかげさまで…無事に双子が産まれました。男と女でした』

今の彼の嬉しい顔は私は見れない。

今までに見た事の無い幸せの中に居るんだろうね。

次は私が産む番。
お母さんだもん。強くならなくちゃ。

後4ヶ月。

彼へメールの返事は返せなかった。

何故だか…私が作った夕食は豪華だった。

『今日何の日』
旦那が言った。

誰にも内緒で…
一人で…彼を祝った。
何も知らないで…旦那と娘は、美味しそうに食べていた。

明日…。
彼と上手く話せるかな。
何してるんだろう。
私。