午後の紅茶を一年で365本消費する自由人 -31ページ目

凍える心(1)

今の時間を停めて下さい。
神様にそう願いたかった。

まだ3月の始め。
吐く息は白く。
公園でパーカーを貸してくれた彼はあの時寒かったっただろう。
エンジンが温まった自分の車に乗って私は家に向かった。

『またね』

『バイバイ』

帰り道。
ホンの何時間の幸せな時を思い出しながら…私は、現実の場所へと近づいていった。

玄関の扉を静かに開け…シャワーを浴びたかったが、夜中でパパや娘が起きては不味いと我慢し、
化粧だけを落としてベッドに向かった。

寝室には…似ている二人が、寝息を立てて幸せそうに寝ている。

そっと布団に入って…目をつぶった。

頭の中でさっきの出来事が走馬灯の様に浮かんできた。

パパに背を向け…私の体に残る彼の匂いが張れないように。
私の体が覚えてる彼の感触を抱き抱え眠った。


目が覚めた。
まだ辺りは暗く…
西の方は星が出ている午前6時前。

眠い体を無理矢理起こして朝ごはんやお弁当の支度をした。

旦那が起きて来た。
『おはよう』
『おは…ょぅ』

旦那の顔が見れず…挨拶すら小さく返した。
旦那の顔を見て初めて昨日の出来事の罪悪感が身体中をおおった。
でも…平然を装って何気ない顔している私がいた。

悪魔の囁き(6)

1人暮らしの男の人の部屋なんて…何年ぶりに入っただろう?

畳まれてない服。
飲みかけのコップ。
灰皿にいっぱいになった…タバコ。

あちこちに雑誌や料理の本。
綺麗とは言えないが…男の部屋って感じた。
『ごめんね。座ってて』

彼は急いで散らかり放題の部屋を片付け始めた。

私がソファーに座ってると…飲み物を持って隣に座った。

と…その拍子にまたキスをされた。

そして…
『いい?』

その答えは
『うん!』

余りにも早い展開だったが…そのまま流され身を任せた。

電気のリモコンを彼はキスをしながら…手探りで探し。
ほんの小さな灯りだけにした。

ゆっくりと私を倒し、抱き抱えた。

物凄い緊張が走った。初めてじゃ無いのに、初めて男の人に抱かれる気がした。

ゆっくりと丁寧に、まるで力を入れると壊れてしまうガラスを触る見たいに…私の服を脱がし…始めた。


だんなとは違う手触り。
女と見てくれてる彼に幸せを抱いていた。

そして…出会って間もない私達は、何も考えず、本能のままに体を一つに交わらせた。

そして…彼の腕のなかで…私は小さく張れ無いように微笑んでいた。

彼は私の髪をなでながら…最後にまたキスをした。

悪魔の囁き(5)

車の中でかかる曲が更にムードを高めた。

手の中だけが…熱くなり、彼が照れてる事に気がついた。
きっと私の熱も伝わってるはずだね。

ゆっくりと街から離れて行き。

人ごみの少ない…公園に着いた。

少し高台になってる小さな公園。
そこから見える景色が綺麗で、月明かりに照らされるベンチに二人で座った。

『寒くない?』
と言いながら…私の背中にパーカーをかけてくれた。

二人で寄り添い。
また手を繋いだ。

かすかに感じる風が…恥ずかしさから出るほてりを、柔らいでいた。

家庭から離れた一時の冒険。けない事と知りつつも、どんどんと感情のままに進んで行った。

無言のまま…彼が私に近づいて来た。
…心の中で…想像していた通に。

私はゆっくりと顔をあげ…目をつぶった。

彼の暖かく柔らかい唇が、私の唇と重なりあった。

月明かりの下。
誰にも邪魔去れることなく…
二人はキスをした。

『オレん家来る』

彼が問いかけた。

『お味噌汁は作らないけど…良いよ』

私も素直に答えた。
何をしに行くかも、全部知ったうえで。

公園から…彼のアパート間ではそんなに遠くは無かった。

今から行く場所で何かが合っても。
明日から何かが変わったとしても…
自分で決めた事。
そう心の中で思い。

彼の玄関の扉の中に入って行った。