「また謝ったな?」
海音と別れた挙句の罵り合いの大喧嘩。謝る以外は連絡してくるな!と啖呵を切ったもののーー。
海都とのデートにも身が入らず、果ては体調不良にまでなる始末。満身創痍でヘロヘロなところへ、海都の優しさが沁みます…。
調子が出ない。
せっかくの海都とのデートなのに。
家で手料理でもと思ったものの…材料的にカレーくらいしか作れない。
カレー、と考えたところで一条さんを思い出す。
食欲減退…。
いやそもそも、何も食べたくならない。
晶「…ごめん海都、 なんかクラっとするし、やっぱり具合悪いかも。寒気もするし。」
晶「さっきまでそんな感じしなかったんだけどな…ごめん、早めに帰って横になりたいかも。ごはんでもとか言い出しておいてこんな…ごめんね?」
海都「大丈夫か? 最近昼と夜とで寒暖差も激しいし、季節の変わり目は風邪引きやすいって言うからな。俺が運転していいなら晶の家まで送っていくよ。体調悪い中運転させるのも心配だしな(頭を撫で撫で)」
晶「…うん、運転頼めるかな。」
晶「ごめんなさい、手間をかけさせてしまって…。寒気がひどくなってきたから、熱が出るのかも。」
海都「いや、気にしないでくれ。頼ってもらえて嬉しいよ。もしあまりにも酷そうなら、病院に行くことも考えておかないとな」
晶「ありがとう海都。ほんと頼りになる彼氏でよかった。…じゃあごめん、家までお願いします。これ、車のキーね。」
海都「ふふ、頼りにしてもらえる彼氏であれて良かったよ。(キーを受け取って)任せてくれ。…体調悪いなら後部座席に横になれる方がいいよな?…扉は開けたけど乗れそうか晶?」
晶「うんー…ごめんね海都。このまま横になってる。」
海都「それじゃあ車を出すよ晶。謝ることなんて何もされてないから気にしないでくれ。」
晶「うちの前に着けてくれたら、あとは一人で帰れるから。よかったらこのまま乗って帰って? いつものパーキングに停めてくれれば、明日ゼミの前に寄って乗っていくから。」
海都「いや、部屋まで送っていくし俺はタクシーで帰るよ。明日だって体調悪いかもしれないだろ? だから気にしないでくれ。」
申し訳なさでいっぱい。
晶「うん、ごめん。せっかくのデートなのにこんなで…着いたら起こして、海都。」
海都「あ、また謝ったな晶? 次謝ったらそうだな…くすぐりの刑にでもしようか?なんてな。体調が悪くなる時ぐらい誰にでもあるから本当に気にしなくていいよ。着くまで寝てて大丈夫。」
晶「こんなときまでキュンキュンさせるとか、悪い王子様だね、ふふ。…ありがとう海都。」
海都「俺は晶だけの王子だからな。…あはは、あまりにも柄じゃなさ過ぎて、自分で言っててちょっと恥ずかしくなってきたな。」
晶「柄じゃない…か。水族館でも言ってたね。」
柄じゃないから言わせるなという男。
柄じゃないのに言ってくれる男。
晶「…柄じゃないことでも言ってくれる、私を喜ばせるために。海都のそういう愛情表現の仕方、すごく嬉しいよ。」
海都「ふふ、何だかこう、改まって言われると余計に照れるじゃん。」
私の言葉に素直に喜んでくれる海都。
なんで?
一条さんとはすぐに喧嘩になるのに。
海都「でもやっぱりストレートに言葉にされるのって凄く嬉しいもんだな。俺は時折、照れ隠しとかしちゃうから、晶のこういうところが素敵だって思うよ。」
晶「そうか…私、海都との日常的な会話って自然と褒め言葉しか出ないんだ。批判も要求もない…」
気づいてしまった。
なにが違うのか。
同じように接していたつもりで、違った。
晶「好きだから…だけじゃない。いくら好きでも非難や批判が出ちゃう人もいるし。」
海都「たしかに、好きでもついつい反発し合う人たちとかも世の中には居るんだろうしな。そう考えたらやっぱり俺達は相性がいいのかもしれないよ。」
晶「……。」
海都「…っと、着いたよ晶。ちょっと待っててくれ。…ドア開けたけど、降りられそうか? 手貸すよ。」
晶「…ん、ありがとう。 帰ったらすぐ熱はかるよ。」
海都「このまま部屋まで送らせてくれ。」
ベッドにたどり着いて、体温計を挟む。
晶「…ありがとう。えっと体温計…37.8℃。」
海都「大分熱があるな。痛み止めも解熱剤になるから…家に置いてあるよな? 持ってくるから場所教えてくれるか?」
晶「…そこの引き出しの上から2番目にバファリンあるはず。」
海都「あったあった。いま水と一緒に持ってくよ。…ほら晶、飲めるか?」
薬を飲んで、ベッドに倒れ込む。
晶「ねえ海都。…もし、私の言うことがいちいち海都の勘に障る感じだったら、海都は私と別れちゃう? やっていけないって、すぐにこの関係を終わらせようと思う?」
海都「(布団の上からぽんぽん)…ん? そうだなあ…癇に障るっていうのがどれぐらいかにもよるけど、暴言レベルなら俺も流石に怒るかもな。そうじゃないならまずは話し合って解決しようって思うかな。」
晶「例えば……海都、私のこと好きなら好きって素直に認めなよ!とか?」
こんなことで「上から」とか言わないな…海都の場合。
海都「あはは、それぐらいは暴言だとは言わないと思うよ。うーん、例えるのは難しいけど…プライドを傷つけられるような発言は俺にとっては暴言に入る…かもな。」
晶「まあでも海都は話し合って解決だよね…。海都大好き(抱きついて)もう大丈夫だよ海都、このまま寝るから。」
海都「ふふ、甘えてもらえて嬉しいな。 俺も好きだよ(おでこにキスして)晶が寝付いたら帰るよ。」
晶「じゃあ早く寝ないと…明日は会社なのに、海都が寝るの遅くなっちゃう…」
海都「俺のことまで気にしてくれてありがとうな。でも今は自分の体調のことに専念してくれ。」
晶「おやすみ海都。こんなんなってごめん。なのに優しくしてくれてありがとう。おやすみなさい…(目を閉じる)」
海都「また一緒に出かけような。体調のことは本当に気にしないでくれ。 おやすみ晶。(額にキス)」
会話終了。