「踏んづけるのかよ」
ハロウィン前の日曜日。海都と一緒にやってきた遊園地で、ホラー映画コラボのアトラクションに参加。
3階建の不気味な廃病院で、懐中電灯を手に出口を探します。
ベッドが並ぶフロア。モゾモゾ動く物体に、海都が気づいてしまい…。
並んだベッドの上には、布団やシーツ、その他よくわからない物が散乱している。
その中の一つ。
シーツが不自然に盛り上がり、もぞりもぞりと何かの気配が。
晶「…うわ、ほんとだ。なんで気づいちゃうかな海都、気づかなければスルーできたのに。」
晶「…ねえ、海都が確かめてきてよ? 見つけたの海都なんだし...」
海都「そんなもの、一緒に見に行くに決まってるだろ?」
海都「俺は別にいいけど、晶の反応が気になるところだしな。ほら、来いよ。スルーするのももったいない話だからな。」
晶「展示物ばっかりのお化け屋敷は怖くないんだけど…どうせ作り物って思うし、わっ!てされるのも予定調和だからビビらないけど…。でも、あのモゾモゾはちょっと怖い」
かと言って、海都の言うとおり、覗かずに済ますのももったいない。
晶「よし。いいよ、行こう。(モゾモゾに近づいて)…あの、もしもーし?」
海都「あ、なんかこの布、また動いたよ。中に何か…(布をめくる)」
海都「はは、血だらけの人間入ってたな。(晶を見て)固まってどうしたんだよ。…あっちのロッカーもあからさまだし、見てみよ」
グイッと海都に引っぱられる。
ついていこうとしたときーーー
晶「(ベッドの包帯血まみれ人間に抱きつかれて)…ギャアアーーーッ!」
晶「(突き飛ばして走って逃げ出す)…!」
海都「おい!…(晶をつかまえて)急に走ると危ない。走るとしても一緒にだ(手を握り直す)」
晶「ハァハァ…びっくりした。海都、布団めくってすぐロッカー開けるコンボとか、急すぎるよ…!」
海都「じゃあロッカー開けるの、晶にしてもらおうか。ふっ…どうだ?」
晶「カタカタ音がしてるんだけど…(近づいてノックする)」
晶「あの一、入ってます?…よね。ふぅ…じゃあ海都、 開けるよ?」
晶「(恐る恐る扉を開けて)…うわ、なにこれ。ホルマリン漬けの腕だけ入ってる。…腕になにか書いてあるよ。” 地下室 "」
海都「下に行けって事か?…それにしても良く出来てるな。」
海都「こういう発想が出来るってのがまた凄いところだよな。俺は普段こんなこと考えてないし、こういうのを考えつく人間は、普段からこんな風景ばかり考えてるんだろうな。さ、行くか」
それ私のこと言ってるんじゃないよね?(笑)
そもそも、モゾモゾとかロッカーとか出してきたの、海都のほうだし!
晶「うん。あれっ、海都、こっちに階段があるけど、上の階しか行けないよ。地下には降りられない。」
晶「2階が手術室フロア、3階が入院病棟と…閉鎖病棟って書いてある。そっちの廊下はバリケードで塞がっているし。2階と3階、どっちにいこうか…」
海都「ふっ、なかなかトリッキーじゃん。とりあえず2階に向かおう。…何の音だろう。晶、聞こえるか?」
階段を上がって2階へ。
晶「音?…するね。ここ、手術室があるのか…」
海都「そうみたいだ。んー、たくさん手術用の器具もおいてあるな。どれも血だらけじゃん」
晶「こっちの廊下から…ずるずるってなんか引きずってるような音がする。そっちの反対側の廊下からは…なんだろう、キコキコってなんの音だろう。…どうする?」
海都「そんな音するか?(あたりを見回して)見に行ってみないとな…」
海都「(そっと廊下を覗いて)お、見てみろよ。血だらけの男が地面を這ってる…こっちに来るよ」
晶「ちょ…え、どうしよ。来られたら踏んづけそう!」
海都「(笑って)踏んづけるのかよ、晶強すぎだろ。おばけのほうがビビって逃げそうだな。」
だって正体は人間だし。
晶「とりあえず、 あっち逃げる?」
海都「(手を握って)ああ、逃げるか」
晶「うわ…なんか車椅子に乗ってるのがいる!」
キコキコ…は車椅子の車輪の音。
晶「…海都、海都、この部屋に入ろ。(中に入って)ふぅ…ここなんだろ。ICUって書いてある…」
海都「集中治療室か…雰囲気がすごいな。絶対なんか出るだろ」
晶「奥の壁に、頑丈そうなドアがついてるよ。…これ、手術室の奥にもなかったっけ…」
海都「うわ、ほんとだな。これだけ頑丈そうだと、嫌でもなにかあるって感づくよな…」
晶「…あっ、これ、地下に行けるんじゃない? ほら、手術とかICUとかって人が亡くなっちゃう確率高いから。…ここから運ぶんじゃないかな」
海都「え、人が亡くなったときに地下に運んでるってことか?…なんだよ、それ結構怖いんだけど。どうする、行ってみるか?」
晶「…だって、霊安室って地下にあるじゃない。ん、行ってみよ。」
晶「これドアじゃないよ。エレベーターだ。ストレッチャーごと乗れる大きさだから、やっぱりここから霊安室に運ぶんだよ。でもボタンがない。 探して、海都?」
海都「たしかに霊安室って地下にある印象だな。エレベーターなのか、ボタン…どこだ。晶、もしかして…晶の小さな女の子の人形の後ろにボタンがあるのかな?」
やだ、海都には何が見えてんの!(笑)
晶「女の子の人形? やだ何それ怖い…(ドンドンと扉を叩く音)…えっ、何?」
晶「ちょ、さっきのやつらじゃないの、ICUのドア叩いてんの!」
海都「おいおいおい…誰だか知らないが、俺たちを焦らせてくるのやめてくれよ!」
晶「やだ、怖い怖い、早く早く、ボタン…女の子の人形ってこれ? 後ろに…ボタンあった、押すよ?」
海都「あぁ、押してみてくれ!…でも何が起きるかわかんないからくっついとこう。」
晶「(身を寄せ合う)…エレベーター、開いた!…乗ろう、海都!」
晶「ふう。…B1Fのボタンしかないよ。とりあえずポチッと(ボタンを押す)…やっぱり地下に行けるんだ。でも廃病院なのにエレベーターは動いてるんだね?」
海都「あのボタンがエレベーターのスイッチだったんだな。助かった、もしかしたら、これでやっと出口に…」
電気が消えて、エレベーターが停止する。
晶「えっ、何!」
海都「真っ暗だ。おい、晶はこっちに来いよ(抱き寄せる)…でも一応、B1Fについたみたいだ。脱出のボタン、どこかにあるか?」
晶「真っ暗でわからな…」
いきなりそこで、電気がついた。
明るくなったエレベーター。
壁一面には、びっしりの手形…。
晶「(思わず)きゃあああああ…!」
海都「わっ、急に電気付くと、それはそれでビビるな。すごい手形の数…」
晶「…海都、ドア開いた。いこいこ!」
晶「うわ、ここ線香くさい…霊安室だ。とりあえずドア開けて…あっち、出口、出口!」
海都「この先に出口があるのか? じゃあ早く出よう晶、(手を取って)走るぞ…!」
晶「うんっ!… ほら、EXITって書いてある。はぁはぁ…ようやくゴールだあ。長かったー!…でも私たち、3階に行かなくても出口を見つけられたし、早いほうだったりしてね。」
海都「やっとあと少しだな。まぁ自力で見つけられてよかった」
晶「さ、早く出よ。出口、開けるね…」
海都「ああ、開けてみてくれよ。…扉が重いのか?」
海都「じゃあ、俺も一緒に…(ギィーッと扉が開く)…お、本当に外に出れた。明るくて目がまぶしいな。」
晶「あはは、ゴール!…わりと凝ってたねえ!」
お化け屋敷から無事に脱出。
手を繋いで、イルミネーションの方へ歩いていく。
晶「…このあとどうする? ジェットコースター乗って、締めは観覧車って感じ?…こんな時間なのにけっこう人が並んでるよ。どーしよっか。」
海都「だな、その二つ乗って締めにしようか。結構並んでるから、ふたつ終わったら他の乗れなさそうだしな。じゃあちょっとだけ待とう(バックハグ)」
晶「みんな結構仮装してるね。あはは、マイキーもいっぱいいるよ。でも海都がいちばんカッコいい(キス)」
海都「なかなか面白い光景だよな。(腕に力を入れて)俺が一番なのは分かってる。晶も一番輝いてるよ(キス)」
バカップル(笑)
晶「おっ、また列が進むよ?…そろそろ順番、くるかな」
海都「あっと言う間に順番だ。足元、気をつけて。」
晶「ありがとう。…先頭だ、ラッキー。私けっこう先頭運あるんだよね。」
海都「それって相当良いじゃん。いいとこ乗れるしな。もちろん最前列にするだろ?」
晶「もちろん!(乗り込む)…セーフティベルト降りるよ。おおっ、動き出した。…ジェットコースターって、この上っていくときがいちばん楽しいよね」
海都「晶はそっちが好きなんだな。俺はやっぱ降りる時が気持ちいいけど。おー、上ってる上ってる。気持ちいいな。」
晶「あー海都はそんな感じだよね、刹那が好きっていうか。」
晶「…私は期待でワクワクしてる時がいちばん楽しくて好き。」
海都「あー、ワクワク感があるのは確かに分かるよ。いつ来るんだろう…って楽しみもあるよな。」
晶「この高いところを吹き抜ける風がいいよね。夜景もすごく綺麗。お、きたきた、てっぺん…」
海都「お、頂上だな。景色綺麗じゃん。やっと来たか…手を上げて降りたくなるよな…!」
晶「いくよーっ!(手を離して)ひゅ――っ、楽しーーっ!」
海都「おっ…あはは、気持ちいいなぁ、最高だよ。大丈夫か、晶?」
晶「わたしはだいじょうぶ――、海都はーー?」
海都「晶、余裕そうだな? 俺も平気だ。あはは、これすごい爽快感だな。内臓がフワってなる感じは一瞬気持ち悪いけどな。すごいスピードで身体が吹っ飛びそうだ!」
コースターが少しずつ減速していく。
晶「…ふぅーぅ、気持ち良かったーー!」
海都「ああ、終わったらすごくさっぱりした気持ちになるな」
晶「あっというまだったけど、到着ー。海都の側へ降りるみたい。よいしょっと。」
海都「一瞬だったけどやっぱすごく楽しかった。おう、降りるとき気をつけろよ。」
晶「あはは、内臓ふわっと感っていうの、わかる!…あれが無重力状態ってやつなんでしょ?」
海都「無重力状態って憧れるけど、一瞬だけ無重力なのは逆に気持ち悪くなるよな。…あっち、観覧車いこうか。」
そのまま、大して待たずに観覧車へ乗り込む。
晶「歩いたし走ったし落下したし、なんか気分爽快だね。」
海都「まぁ色々感覚が忙しい日だったな。でも遊園地ってそんなもんだろ? だからこそ楽しいんじゃないか」
晶「海都はあの無重力のフワッと感てダメ?…私、あれ好きなんだよね。歯がかちかちして怖いけど。フリーフォール大好き。」
海都「無理ってことはないけど…普段味わう事のない感じだからこそってのはあるよな。」
話している間に、観覧車のてっぺんに近づく。
晶「観覧車からの夜景もいいね。高いところから見ると…」
晶「人間がゴミのようだ…とか言いたくなっちゃう。デートでいう言葉じゃないね(笑)」
海都「あはは、人間がゴミのようだって一度は言ってみたくなるセリフだよな。」
こういうとき「不謹慎」とか言わない海都が好き。
海都「でも今日だけは、ハロウィンならではのそういう感じでデートを楽しむのもありだな。ほら、もう一番てっぺんまで上がってきたよ。」
晶「ふふっ、さすが海都は理解が早くて機転がきくね。その理由採用。」
海都「理由なんてどうとでもつけられるからな。今日はハロウィンだったからラッキーだけど」
晶「…大好き。てっぺんだし…キスしてもいいでしょ?…私、今日のことずっと忘れない。好きだよ、海都…(キス)」
海都「てっぺんでキスとかロマンチックだな。最高じゃん…(キス)」
海都「俺も忘れないよ…。愛してる(抱きしめてキス)」
晶「…んー楽園から地上に到着。」
海都「ん、地上に着くのはあっという間だったな…」
晶「そろそろ帰ろっか…。今日は楽しかったよ。またこうやって、楽しい思い出いっぱい作ろう?」
海都「ああ、俺も凄く楽しかった。これからも色んな所に行ったり楽しい事をたくさんしような。なんだか名残惜しいけど.…そろそろ行くか。」
会話終了。
ホラーアトラクションに付き合ってくくれた海都、お疲れ様でした!(笑) なんも考えずに始めたけど、出られてよかったー!
なんとかハロウィン中に公開できてよかったです! 急いでUPしたので、誤字脱字はおいおい直します!
【今日の一枚】
いやー、中の人、お疲れ様でした!(笑)
ちなみに、しばらくしたらこのハロウィンはいったん、非表示にして、海都のナンバリング記事に追加したいと思います。時系列順になるように。
あと、今年のハロウィンは、海音にミニスカポリスを無理矢理着せられ、絵上とは仮装ピザパーティをしています。海都とのハロウィンは一番まともでした(笑)
皆さんはどんなスリリングなハロウィンを過ごされましたか?
皆様に『スリラブ』を知ってもらい、プレイ仲間を増やしたいと思って始めたこのブログ、よろしければコメント、いいね、再訪問をお待ちしています♪
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