「興味持っても寂しいだけだしな」
海音への気持ちを自覚し、うまくやっていけそうな感触も得たお陰で、海都に対してももう一度向き合う覚悟ができました。
気持ちの整理に時間をかけていいと言われたものの、海音の家から帰宅した直後、海都からメッセージが届きます…。
*海都についてネタバレあり。まだ知りたくないよって人は、回れ右でお願いします。センシティブな内容なので、繊細な方も読むのは控えて頂きたいです。
読まれる方は、くれぐれもノークレームでお願いします。
海都「おつかれ。あれからどうだ? 晶もまだ、気持ちは切り替えられないかな。まぁ、晶が俺と話してもいいってタイミングで連絡をくれたらいいよ。ずっと待ってるからな。」
私には、慰めてくれる一条さんがいた。
でも海都は一人でずっとモヤモヤしてるに違いない。
それは…放っておきたくない。
晶「" 晶も" ってことは、海都もまだ釈然としない気持ちでいるってことなの? 私は、別にもう大丈夫…だと思う。」
海都「まぁ、もう完全にすっきりしたというと嘘になってしまうな。晶は大丈夫なんだな。どういうタイミングで、そうやって気持ちを切り替えられたんだ?」
晶「私たちは出会ったばかりで、この先まだまだやり直せるんじゃないかって考えたところでだよ。」
海都にその気があればだけど。
晶「海都はいったい何に引っかかってるの? どこがスッキリしないのか教えて? スッキリしないなら解決してないよ。」
海都「すっきりしたって言うのは嘘になるっていうのは、晶と完全な仲直りが出来たわけでもなく、別々に過ごしているから釈然としないっていう意味だよ。」
晶「……」
海都「俺はいつもどおりに戻りたいだけだが、そうなれていないことがモヤってるよ…」
晶「…それは、私も思ってる」
素直な言葉に、胸が熱くなった。
晶「海都のランニングに付き合って、自転車に二人乗りして、他愛もない話をして…そんな休日を想定していたから、こんなふうになってるのは悲しい。…明日いくよ。三連休の最後だけど、やり直そう?」
海都「晶も同じ気持ちでいてくれるんだな。」
海都「じゃあ連休の最後にちゃんと仲直りして、二人が楽しみにしてたランニングデートしよう。たくさん笑って過ごして、ここ最近起こったこと全部忘れて、互いの事だけ考えて過ごそうな」
翌日ーーー。
出迎えてくれた海都は、いつも通りの彼。
晶「…ただいま、でいいのかな。あんなふうに帰っちゃったし」
海都「ああ、ただいまでいいよ。」
晶「(抱きついて)ただいま、海都。寂しい思いをさせたなら、ごめんね…」
海都「おかえり。(抱きしめてキス)俺はこうして目の前に晶がいてくれればそれでいい。だからもう謝らなくてもいいから…」
海都「とにかく今こうして一緒にいるんだから問題ないだろ? 終わりよければ全て良しっていうしな。」
晶「うん。(キスして)仲直り。…これからどうしよっか? さすがにこの午後の炎天下にランニングはないよね? 熱中症警戒アラート出てたし。」
海都「さすがにないな。ランニングは夜するとして、今は晶とまったりしたいんだけどダメか? てか、まだ飯も食べてないから何か食べるのでもいいけど。晶はお腹すいてないのか?」
晶「朝から何も食べてないの? 海都はいつもしっかり食べてそうなイメージだから珍しいね。私はブランチ食べちゃったからお腹空いてないけど、何か作ろうか? 冷蔵庫の中身次第だけど」
海都「じゃあお願いしてもいいか? 卵とか玉ねぎなんかもあったし、オムライスが食べたい気分だけど。」
晶「あは、海都からの初リクエストきたー。じゃあ頑張っちゃうね? 牛乳あるからホワイトソースも作れるかな。味付けはお任せしてくれるのよね?」
海都「晶に任せるよ。俺は手伝わないでいいのか? なんでも言ってくれ。」
晶「んー別にないかな。座って待ってて?…そうだなぁ、何か面白い話でもしてよ。海都の面白エピソード。学生の頃でも仕事のことでも、なんでもいいから(材料切りながら)」
海都「ただ座ってるのも味気ないし…こうやって後ろから抱きしめててもいいだろ? 晶の邪魔はしないからさ」
ふんわりとバックハグされる。
海都「面白エピソード? そもそもイジメられてた俺に、そんな話があると思うか?(頬をつつく)」
晶「仕事の話とかなら? そういえば海都は卒業してそのまま銀行勤めしたの? 今の会社が最初? 転職して前職があるとかなくて? バイトとかはしたことないの? 私は大学時代はバイトしてたなぁ。」
海都「ああ、卒業してそのまま勤めた感じだよ。仕事でも特に面白い話はないかな。バイトは色々したって話さなかったか?」
晶「バイトの話は聞いたことなかったよ。よかったら聞かせて?」
このバイトの話は、海都と会話を始めると向こうから振ってくる鉄板の話題のことです。
私の場合は、出会ってすぐにホテル直行しちゃったので、聞いてないんですよ(笑)。なので、ここで聞いておきます。
ほとんどの方は知っている話だと思うので読み飛ばして下さい。
海都「実はコンビニとかで働いたことあるんだよな。その時の話で面白エピソードがあるんだけど、聞いてくれるか?」
晶「なんだ、あるんじゃない面白エピソード。聞かせて聞かせて? コンビニで何があったの?(材料を炒める)」
海都「もしかしてハードルを上げた感じか? 俺、学生の頃にボクシング習ってて、その費用を稼ぐためにいくつかバイトしてたんだよな。その一つがコンビニだな。深夜で働いてる時に来たんだよ、強盗が。」
晶「はぁ⁉︎…ええ、何それ、トンデモエピソードじゃん! 学生の海都が夜ひとりのときに強盗がきたってこと? それで…どうなったの?(卵を焼く)」
海都「意味わからないだろ? 俺も最初まじで死ぬって思ってて。…当時、高校生っていっても相手は俺よりもでかいわけ。一歩間違えれば俺も死ぬわけじゃん? だからどうするか考えてたんだが、その強盗が結構…なんていうか、抜けてたんだよな。」
晶「まさか応戦しようとか考えなかったよね? 考えたんなら無茶すぎる、お金なんてとっとと渡しちゃえばいいじゃん。それで…抜けてたっていうのは?」
海都「なんにもないところで滑ったんだよ。たぶん俺が暇すぎてかけすぎたワックスのせいだと思うけど。まさかコケると思わなくて、思わず笑いそうになった…っていうか笑った。そしたらそいつ、恥ずかしかったんだろうな。逃げてったよ。」
晶「ぶはっ、あははははははっ!…何それ、ホントの話? ウケすぎて涙出るんだけど(笑)」
海都「あはは、晶がちゃんと笑ってくれて良かった」
晶「暇すぎてかけすぎたワックスって、どんだけ客の入りが悪いの、そのコンビニ! 強盗が滑って転ぶほどとか超笑えるんだけど!」
海都「その時は俺も学生ですごくバイトに対しても一生懸命だったからな。そのあとちゃんと強盗も捕まったんだ。結構店長とか警察とかにも褒めてもらえたよ。ウケるだろ?」
晶「暇を持て余してせっせとワックスかけていた海都にウケたよ。高校生の男の子なら適当にサボりそうなのに。でも手を動かす方向が違ってて、ひたすら何回もワックスがけしちゃってるとか…超可愛い。(キス)」
海都「学生だったらバイトも 張り切っちゃうってあるだろ。でも、それがちゃんと功を奏したんだから良かった。真面目ってやっぱり大事だよな。いまの俺にはない純真さがあっていいだろ?(抱きしめる)…もうオムライスも完成みたいだな。」
晶「うん、どうぞ? オムライス、マッシュルー ムのホワイトソースがけ。さ、食べて食べて。…高校生の海都くんか、会ってみたかったな。出雲一!とか呼ばれてたのかな。」
海都「あー、施設のやつらには海都って呼ばれてたりもしたからバラバラだな。それじゃ冷める前にいただきます…あー、最高に美味い。」
晶「お口に合ってよかった。施設で一緒に育った人たちなら、兄弟姉妹も同然でしょう? いまも付き合いとかあるの?」
海都「ああ、そうだな。ずっと同じ環境で育ってるんだから、血は繋がってなくても兄妹と変わらないな。もちろん連絡を取り合ってはいるけど、会うことは滅多にないかも。お互い社会人になって忙しいし。」
施設の仲間のことを話す様子を聞いて少し安心。
海都もまったく孤独なわけではなかった。
晶「その…物心ついた時に親はいなかったと言ってたけど、ご両親はもう亡くなってらっしゃるの?」
海都「両親はどうなったのか全く分からないんだ。」
晶「えっ、でも18歳になって施設を退所する際には、出生に関する情報はすべて伝えられる決まりなはずよね?…ご両親の情報が全くないってことはその…」
死亡しているなら、そう言われるはず。
晶「…まあ事情があって海都を手放したってことで、生きてるかも知れないね。」
海都「ん? 詳しいんだな。まぁ、そういう事になるな。俺も別に両親の事については知りたいとも思わないから良いけどな。興味持ってくれるのは嬉しいけど…この話はやめようか。なんだか暗くなる…」
晶「ああ、ごめんなさい。福祉関係の仕事をしている友達がいて、大学の頃は私もボランティアとかで行ったことあるから。無神経なことつついてごめん。」
海都「なるほどな。だから詳しかったのか。いや、別に謝ることではないから気にするな。ただ俺は、過去を振り返らずに、前だけを見て歩きたいからさ。ふぅ、ごちそうさま。」
晶「振り返らなくていいと思う。…ただ最後に一つだけ質問いいかな?」
晶「海都っていう名前は、施設の方がつけてくれたの? それとも、引き取られたときにはついていた?…いい名前だよね。」
海都「いや、それについても良く分からないよ。物心ついた時からこの名前だしな。どうしてそんなことが知りたいんだ?」
施設でつけられたなら、そう言われているはず。
つまり、おそらくは親がつけた名前だ。
晶「海の都ってロマンチックだから。その名をつけた人はどういう子に育って欲しかったのかなって思っただけ。」
海都「なるほどな。まぁ、俺に両親がちゃんといたら、俺も興味を持ったかもしれないけど…。いないのにそこに興味持っても寂しいだけだしな。」
晶「そっか。さて…海都のお腹が落ち着くまで、ソファでまったりする? 開いちゃった距離は物理的にも縮めないとだし?」
海都「物理的に?…なら、晶ももっとこっちに来いよ(抱き締める)」
晶「あはは、海都今日はぎゅーが多いね? 物理的にっていうのは、ただ単に近くにいたいって意味だったよ。でも抱きしめてもらうのは嬉しいし、好き。やっぱりなんのかんの言っても、海都とくっついてると落ち着く…」
海都「ふふ、俺は晶がこうして欲しいのかと思った。こうやって隣り合って座ってるだけでいいのか? じゃあ、そうしよう。 何かテレビでも見てもいいな。」
離れちゃった。
そういう意味じゃなーい。
擦り合わせ、擦り合わせ。
晶「やめてって意味じゃなくて、単なる感想と説明だよ。だから海都くんはやめなくていいです。はい、ぎゅーっ(抱きつく)」
海都「あはは、それって結局して欲しい…もしくはされて嬉しかったってことだよな? 晶に嬉しいって思ってもらえてたら俺も嬉しいよ。ほら、おいで。」
晶「海都っていつも私が喜ぶことしたいって思ってるの、すごくわかるんだ。"して欲しいことははっきり言え"も、そこから来てるんだろうし。でもそれ疲れない?…そういうのが " 晶の思い通りにばかり”に繋がると思うのよね。」
海都「いや、それに関しては別に無理してやってるわけじゃないからなぁ。」
海都「…ほら、例えばそれが晶から言われたことで、俺が納得出来ないことだったらそうなるんだろうけどな? それに俺から聞いたとしても納得出来ないことはしないだろうし、そこは心配しなくても大丈夫だよ。」
晶「わかった。ねえ、そろそろランニング行けるんじゃない? いつも何時ごろいくの?」
海都「お、気が付いたらもういい時間だな。そろそろ行くか」
晶「確認するけど、私はチャリで並走でいいのよね?…海都のペースに走ってついてくとか無理よ? そもそもスカートだし」
海都「もちろんそれで構わないよ。でも晶の運動にならないんじゃないか? 晶のペースに俺が合わせる事もできるけど、チャリでいいの?」
晶「そもそも運動するの好きじゃないっていったじゃない。私のペースに合わせるっていうのは歩くことだよ。チャリでいいから、 行こ? 海都くんのペースを見せてもらいます。さあレッツゴー!」
海都「それじゃあスタートするよ。(走り出す)ふふ、晶に隣で並走してもらってるのはなんだか新鮮だな」
晶「昼間だったらねー 、ファイト!とかそれっぽいかけ声できるんだけど。ホイッスルとかね。ねえ、ずっと街中を走るの? もう少し広いとこない? 公園とか。」
海都「ホイッスルか、たしかにそれは応援してもらってるって実感出来そうだな。…ほら、ここら辺なら広めじゃないか?」
晶「よし、スピードあげようか海都くん、へばんなよ?… って、マジでペース速いね。よく仕事に響かないもんだ。ねえ、水分ちゃんととってよ?」
海都「慣れないうちはやっぱり疲労感も凄かったけど、定期的にやってたら人間慣れるもんだよ。…晶の言う通り、水分補給は大切だな。それじゃあ一旦休憩にしようか。自販機もあるな。」
晶「はい、スポドリ買ったよ。 あとタオルどうぞ。すっごい汗…アスリートってカッコいいと思うけど、マゾだと思うわ。ディスってないよ? 自分にはできないから、感心してるのと僻んでるのと半々なだけ。」
海都「あはは、最後の言葉を聞いてなかったら完全に悪く言われてるもんだって思うところだったよ。(スポドリ飲んで)ふぅ、生き返る気持ちになるな。ありがとうな晶。運動苦手ならランニングじゃなくて、軽いジョギングからやってみるとかはどうだ?」
晶「だから苦手ではないって。バスケとか上手いよ、器用だからね。こんど1on1とかやってみてもいいし。海都の身長相手じゃ不利だろうけど。私、疲れるのがダメなんだよね。ほらまた汗ふいて?」
海都「あはは、悪い悪い。例えば長距離走とかが苦手ってことで、運動自体は苦手じゃないってことだろ? ありがとうな晶、なんだか部活のマネージャーみたいだな。確かに、バスケは身長差高い方が有利だもんな。」
晶「私はシュート得意だし、ライン外からも打てるんでどうかな? でもべったりディフェンスされたら、そもそも打てないだろうけど。さあ、汗冷えるとまずいし、再開しよっか。」
海都「お、それって晶めちゃくちゃ上手いんじゃないか? 俺はボクシング一筋だったからなぁ。 よし、それじゃあ再開だ。(走り出す)」
晶「ファイト、ぴっぴっ、ファイト、ぴっぴっ…ふふ、 これ気分出る? 口で言ってるだけだけど」
海都「あはは、可愛くていいじゃん。俺はそれで気分上がってるしな。まぁ晶が隣に居てくれるからってのが大きいんだけど。」
晶「ねえ、海都。二人乗りして帰るのが青春ぽいとか言ってたけど、それはやらなくていいの?」
海都「お、せっかくだし今からやるか。もちろん俺が漕ぐよ。ほら、自転車貸してくれるか。自転車なんて乗ったのはいつぶりだろうな。しっかり掴まってろよ?」
晶「私も二人乗りなんて久しぶり。時間遅いから、危険じゃない程度に急いで?…これ、海都と付き合う前だったら、腰に手を回すのもドキドキだったんだろうなあ。」
海都「そうかよ。まぁ今してないって事だったら、俺にも慣れたんだろうな。」
晶「海都くん不機嫌?…私がドキドキしないって言ったから拗ねた? じゃあ付き合う前なら絶対しないやり方で掴まるから。(背中に抱きついて)これならどう? おっぱい当たって気持ちいい?」
海都「いや、不機嫌だったとかじゃないけど…あはは、それは出血大サービスってやつか? 気持ちいいけど、ふふ…これはやましい気持ちが溢れてきそうだけどな?」
晶「海都の家見えてきた。車を停めたのこの近くだから、そこでおろして? コンビニのとこだよ。」
家の手前で自転車が止まる。
海都「今日は帰るのか晶? 明日朝早いとかならあれだけど、この時間だし、もう泊まっていった方がいいんじゃないか?」
晶「明日は平日だし、帰るよ。また今度ゆっくり泊まるね。じゃあね、海都。おやすみなさい!」
会話終了。
どこかの記事でも言ったんですが、私は「海都」「海音」の紛らわしいネーミングには意味があるのでは、と思っています。イニシャルが同じなのは偶然かもですが。
キャラの名前を決めるのってわりと大変で、企画者だとかデザイナーだとかの個人的な意向だけで「よし、じゃそれで」と適当に決まるもんじゃないんですよ。
字面とか、並べた時の識別性とかで、二転も三転もした挙句、ようやく「キャラ名(仮)」の(仮)が外れるわけです。
実際、あるゲームの情報初出しの打ち合わせの段階で頂いていたキャラの名前が、途中で変更された例もありました。カタカナ名で4文字の主人公キャラだったのですが、「4文字は収まりが悪い」と上から言われたとかで3文字の名前になったという理由でしたね。
かなりのレアケースで、そんなのそれ一件だけでしたけど。情報出す前にチェックしろよ上の人(笑)。
なので、「海音」「海都」こんな似通った名前が普通に通るわけがない。打ち合わせでチームの誰かが突っ込むでしょう。
ならば、そこには意味があるはず、と考えるわけです。ただの設定上なのか、今後ゲームプレイに絡んでくるかは分かりませんけどね。
ちなみに私は、海音にも同じ質問をしています。
…とか書くと、あちこちで海音にこの質問する人たちが出そうだな(笑)。中の人が困りそうなので、「今は聞いても何も出ません」とだけお伝えしておきます。
♪『You are mine ケイソロVer』ーブラックスターTheater Starlessーを聴きながらお送りしました。最近のケイ様の歌はエロが減少してきた気がする…。とうとう歌い手さんのエロの引き出しがなくなったのだろうか…。
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