昨日の夜は、
病院から帰ってきて、
何とかソファーへ座ることが出来たものの、
妻の意識は朦朧としていて。
立とうと歩行器に手を掛けても、
すぐに手が落ちてしまう。
どうしてもベッドで眠りたいと、
指さすので、
深夜に一緒に頑張ること30分。
尻もちを着いてしまい、
リビングに布団を敷いて眠った。
息子が産まれる前に、
妻にキャンプへ行こうと言った。
何よりも虫が嫌いな妻は、
「私は待ってるから、
旦那さんたち2人で行って来たらいいよ。
私は家がいいもん」
「じゃあ、このリビングでテント張って、3人で寝よう。ちょうど吹き抜けやし、
カーペットも草原みたいで丁度いいでしょ」
そんな他愛もない話をしたけれど、
実は僕は、
ちょっと非現実なシチュエーションを、
内心楽しみにしていた。
今日の夕方は、
介護ベッドを搬入して頂いた。
褥瘡もあるので、
柔らかいマットレス付きだ。
きっと妻は、
寝室で眠りたかったはずなので、
もし妻が起きたら絶対に寂しがると、
妻のベッドの傍には息子の写真を置いて、
僕もリビングで寝ることにした。
今日は、
小さな夢が叶った。
テントもないし、
息子は写真だけだけど、
妻も眠っていて起きてはくれないけど、
親子3人で、
リビングでキャンプをしている。
妻がいつも、
この夜の時間が好きだと言う。
自分と一緒にいられる時間が。
この時間がもっと続けばいいのに、と。
僕も今日は心からそう思う。
寝てしまったら、
明日になってしまうから。
妻の意識は変わらず朦朧としていて、
今日は特に反応がない。
ねぇ、聞こえてる?
大好きって、
旦那は幸せだよって、
伝わったかな?
僕たちには2人の合図がある。
何かあると、
僕が眉毛をピクピクと動かして、
妻も眉毛をピクピクと返す。
何の意味もないけれど、
2人でいつもやっている合図。
旦那は幸せだよ、
ここにいるからねって、
伝えた時、
少し、
妻の眉毛が動いた気がした。
伝わってるといいな…。
明日の朝は、急遽仕事を休んで、
訪問ドクターから、妻の今後の話を聞く。
今日はみんなで一緒に寝るよ。
3人で幸せな夢を見ようね。