ここ最近はずっと、



お腹と腰の「痛み」との戦いです。




オキノーム5mgを飲んでも、

2時間しか効かない為、



昼間はコントロール出来ても、



夜中は2時間置きに痛みで目が覚めてしまい、

まともに睡眠ができない。




そんな疲れから、

「今日はもう限界…」と、


朝から妻が大泣きしてしまいました…。





…たまに、負けそうになります。



妻から「死にたい」と言われれば、

生きていて欲しいから、辛い…。



「生きたい」と言われれば、

助かる術を見つけられないことが、辛い…。




そういった感情は、

押し殺すようにしているけど…、




妻が泣いて叫んだ、



「死んだら旦那さんと会えなくなるじゃない…


旦那さんと出会えるのは今しかないのに…




もう出会えない!!のに!!



どうしてこうなったの…!!



どうして私の人生はこうなったの…!!」






そんな言葉に、


胸が強く締め付けられた…。






きっと一生忘れられない。




妻の言葉。








今の問題は、痛み。




痛みをコントロールする方法は、

いくつもある。



でも、それは同時に、

眠気とともに意識も奪ってしまうので、



こちらから提案をしても、

妻はずっと拒んでいた。




けれど、その日は、


「それでもいいから、

痛みだけ取って欲しい…」




そう、言ってくれた。



妻が痛いのは辛いから、

それでいいんだ。

ごめんね…。




午後からは、大学病院で、

CT撮影と週一の診察。




予想していた通り、


主治医から告げられたのは、

標準治療からの撤退だった。




せっかく放射線で、

一回り小さくなってくれた腫瘍も、


抗がん剤を、

中断せざるを得なかったこともあり、



小さくなる前よりも大きくなっていた。





「もう化学治療は、〇〇さんの体力を奪うだけで効果は望めないでしょう。


これからは、ゆっくり自宅で1日1日を過ごすことが、〇〇さんにとっての治療です。


痛みは大丈夫、ゼロにも出来ますから」




オキノームを10mgに増やし、

フェントステープも4mgのタイプに変更した。




診察室を出た後、



さっきは泣いていた妻が、


何故か、

少し気持ちが晴れたような顔をしていた。




鼻歌も少し歌っていたりして。




腫瘍が大きくなったこと。

もう治療の術がないこと。



妻が毎日抱えていた気持ちに対して、

ひとつの答えが出たからなのかな。




「もう終わらせて…」


「もう治療はしたくない…」




きっとモヤモヤしていたんだと思う。



吐き気、痛み、取れない食事。



ずっとずっと続く辛い治療が、

一体いつまで続くのか…。



自分は今、どういう状態なのか…。




昨日の夜、

応急診療の担当看護師さんと電話で話していて、



妻の余命の話を相談した。




「私が本人だったら、知りたいと思います。

もちろん、数字とかじゃなくて、


残された時間が、人より短いということは。



私も今まで色んな患者さんを診て来ました。


けれど、辿り着いた答えは、


悔いを残させてはいけないんです



それに、ご主人だけ抱えるのは辛過ぎます」




ハッとなった。




私は今まで、妻には、

辛い結果を極力聞かせないようにしていた。



主治医に先回って、

お願いしたことすらある。




妻を守りたい一心でしていたことが、



結果、妻だけが、

置いてけぼりになっていて、


孤立させていたのかもしれない…。




どこにも正解はないのだけれど、

一緒に受けて入れて歩むことも大切なんだと。



今更ながら、

気付かされた気がする。





標準治療からの撤退。



それは、

主治医から見放されたとも言える。




あれだけ信頼していた主治医だけど、

大学病院は大学病院なんだ。



在宅でのケアは考えてくれない。

あそこは病気を治すところだから。



でも、


病気のことばかり考えていたら、

押し潰されてしまう。




マイナスばかりではなくて、

プラスもある。




標準治療が受けれなくなったとしても、


もう副作用で苦しむことはない。




妻は出掛けることよりも、

家にいることが好きといつも言う。



痛みのコントロールさえしていければ、



妻は大好きな家で、

毎日を過ごすことが出来て、



食べたいものを食べて、



楽しい時間を、

少しでも多く過ごすことが出来るんだから。




1日1日を大切に。




そんな1日が積もって、

気が付けば1000日になってるはず。




病気は変わらずあって、


大きくなることによって、

この先、何が起きるか分からないけれど、



妻が笑って過ごせることに力を注いで、

癌と共存していけるようにしよう。




恥ずかしながら、

洗い物や洗濯は出来るけれど、


料理がてんで出来なかったりする。




仕事の日は帰りが遅いので、

実家の母にサポートしてもらっている。




最近は、


妻が普通の食事を取れるようになってきたので、




癌患者にいいとよく言われる、




野菜スープを作ってみた。





まだまだ一緒に過ごすんだから。




病気が、

大人しくなってくれますように。