10月末は大阪オリックス劇場、そして11月末は東京のシアターオーヴにて「鉈切り丸」を観劇してまいりました。
こちらの劇場、渋谷ヒカリエの最上階という事でとても便利でした。
そして何よりキレイで観やすい
『日の本、鎌倉期-時は武士の時代。
ひとりの侍が天下を獲りに動き出す。
歪んだ背中に溜まった
赤黒い憎悪に衝き動かされて。
悪逆非道は正義-とくとご覧あれ。
鉈切りが悪を尽くして、天に駆け上る様を-』
物語は源範頼さん(鉈切り丸)を題材に描かれておりますが…
なんというか。哀しい人でした。
舞台を観劇するにあたって、歴史小説や史実なんかも読んでみたりはしたんだけど諸説いろいろありで、イマイチ本当の範頼さんはどんな人だったのか掴めない。
源頼朝を兄に持ち、源義経を弟に持つ、源義朝さんの六男。
だからやっぱり私の知る「源範頼」という人はこの舞台で演じられるこの人になってしまう訳で。
劇中で剛くん演じる鉈切り丸が「記憶じゃなく記録に遺せ!」と叫ぶシーンがあるんですが、謀反の疑いをかけられ兄に殺されてしまう範頼さんは劇中で言われるように正しく「記録」として残ってはいないんじゃないかと思ってしまうのです。
醜悪な外見が故に疎まれ蔑まれ生きてこなければいけなかったとは言え、もっと違うものの見方だったり考え方だったり出来れば、救われる所はたくさんあったのに。
と思わずにはいられなくて。
悪行を尽くすんだけど、最期はとても哀しい気持ちになりました。
兄・頼朝には武士としての才覚を認められ、その妻・政子にも頭脳を買われており、弟・義経には頼りにされていた。
なのに、両者を陥れ我が上に行こうとしたが故に非業の死を遂げなければならなかった範頼さんの救いはなんだったんだろう?
どこにあったんだろうか?
舞台役者として、様々な役をこなせるようになった剛くん。
今回も本当に大変だったと思います。
何よりもビッコで背中を曲げたままの姿勢で3時間20分を、殺陣もこなしながら演じ切るのはものすごく大変だったんじゃないでしょうか。
でも舞台の幕が開き(実際は緞帳降りてないんですけど)、そこにいるのは「森田剛」ではなく「鉈切り丸」。
本当にスゴイ事だと思います。
いろいろと考える事の多い内容だったけど、素晴らしい舞台をありがとうございました。
強く映像化を希望します