単行本が発売された当時から、買おうか読もうかどうしようかと思っているうちに映画化されて、映画も行こうかどうしようかと思っているうちに終わってしまって、結局先週TV放映されたのを録画して、ようやく見ることが出来ました。
『フリーター、家を買う』の作者、有川浩さんの作品であることも気になっていましたが、何よりも私の興味を引いたのは「阪急電車」そのもの。
しかも今津線は私自身はそんなに頻繁に利用はしなかったものの、始発駅である西宮北口駅近辺で働いていた事もあるし、友人宅が沿線にあったりして親近感のある路線なのです。
私は女子(?)にしては結構電車好きな方みたいです。
昔の実家近くに線路があってよく陸橋から電車を眺めていました。
それに小学生の頃から父の仕事の手伝いに行く時に地下鉄から阪急電車を利用していたんです。
あずき色の阪急電車は「あたり」。
地下鉄と連絡している路線だから地下鉄車両が来た時には「はずれ」なんて勝手に決めてた子供。
仕事で1年足らずだったけど通勤で使ったことがあったり、
今もその地下鉄路線をよく利用するので阪急電車車輌はかなり馴染んでます。
そういう電車が、全部で8駅の片道15分の短い路線、今津線が取り上げられた話。
キャストもなかなか素敵でした。
物語はオムニバス構成で物語の頁を順にめくっていくような穏やかさ。
何よりも、今の自分がこの物語に触れることが出来てよかったと思いました。
いろんな登場人物の境遇がなんとなく見えた冒頭のあたりでのモノローグ。
ストーリーの感想を述べるよりも、そのモノローグを綴ることで噛み締めたいと思います。
人はそれぞれみな、いろんなやりきれない気持ちを抱えて生きている。
死ぬほどつらい訳ではないけれど、どうにもならない思いを抱えて生きている。
そしてその気持ちは誰にも言えないのだ。
誰かに言っても仕方のないことだと諦めるしかない。
みなそう思っている。
自分自身で解決するしかないんだ。
この世界にはこんなにもたくさん人がいるのに
同じ場所で、同じ時間を一緒に生きている人がこんなにもいるのに
それは何の意味も持たない。
名前も知らない人たちは、私の人生に何の影響ももたらさないし、
私の人生も、誰にも何の影響も与えない。
世界なんて、そうやって成り立っているんだ。
そう思っていた。
でも…。
電車で、見知らぬ人と会話する機会なんてそうあることじゃないと思うし、やっぱり「物語」なんだとも思うけど。
今の自分がいろんな方々とSNSでつながっている、なんてこともある意味不思議な物語なのよね。