では、ご存知無い方に問題を出します。
「23人のクラスのうち、誕生日が同じ生徒が含まれる確率は、どのぐらいになるでしょう?」
誕生日が同じ人なんてそうはいないですよね。
だって、1組が同じになる確率はたったの365分の1ですから。
どのくらいになると思います?5%?10%? ・・・・それとも、意外と20%ぐらいあるかも??
実は、どれも違います。
正解は、なんと半数。50%になります。
つまり、1クラスにたった23人いれば、およそ2クラスに1クラスの割合で、同じ誕生日の人が発生するという理屈になります。
え?365分の1ずつしか確率がないのに、なんでいきなり50%になるの?
現実的に考えて、同じ誕生日の人がクラスにそんなにいたとは思えないんだけど・・・。
だって、周りの友達でかぶってる人、何年も学生やってきて一人もいなかったし・・・。
と、思う方が結構いらっしゃると思います。
僕もそうでした。
「こんな確率は屁理屈だ。どこか矛盾してる場所があるはずだ。」
と思いました。でも、矛盾はありませんでした。
では、なんでこんな風に現実と理論がここまで乖離することになるのでしょうか。
それは、「誕生日が一緒」というのを「自分の誕生日が相手と同じになる」または「自分の友達同士の誕生日が同じになる」という風に無意識のうちに考えてしまうからだと思います。
よくよく考えたら、クラスが23人いたとして、誕生日を把握してる人って、そんなに沢山います?
仲の良い友達ですら殆ど知らないのが現実です。
ちなみに余談ですが、僕は中学以来から友達になった人の誕生日を、多分一人も知らないと思います。
中学にもなると男は誕生日プレゼントをやる習慣もないし、いちいち友人の誕生日を記憶してる必要がないからです。
(対して小学の頃の友達は大体覚えてます。日にちまで覚えてなくとも、少なくとも月は覚えてますね。)
そういうわけで、この確率を不自然に思ったあなたは、周りにいる少人数の人間の誕生日しか把握していないから、そうなるのです。
23人全員の誕生日を把握したら、意外と同じ人が出る確率が高いというのも、そう不自然な話ではないかもしれません。
試しに、n人の集団内で誕生日が同じ人同士が出てくる確率を一般化したグラフを作ってみました。

(縦軸が確率、横軸が人数です。)
見る感じ、集団に60人もいれば、誕生日がかぶる確率はほぼ100%になるようです。
確かに60人に一人ずつ誕生日を調べていけば、上手い具合に全員の誕生日がかぶらない方が不自然だと言えるかもしれません。
ちなみに、タイトルでは「誕生日のパラドックス」とは言いましたが、これは正式にはパラドックスではなく「擬似パラドックス」というそうです。(wikipedia情報)
パラドックスというのは、もともと「もっともらしい誤った前提や推論から、一見おかしな結論を見出す」というものなのですが、今回のは別に前提や推論が誤っているわけではありません。
誤ってるのはむしろ我々の直感の方なので、こうした名前になるそうです。
これも身近な数学を用いた遊びの一つですね。数学ってやっぱり不思議に思われます。