ワタシの母は結婚する直前に、将来を心配した会員の祖母によって強引に入会させられた。
遠方に嫁ぐのだからと、嫁ぎ先の組織にまで「娘を宜しく」と話を通してあったらしい。
母にしてみれば何が何だか分からないうちに組織の一員になって
いて、知らない人たちが次々に新居を訪ねて来たという。
その人たちの余りの品のなさに閉口して、超ゆる活になったのは
必然だった。
なのでワタシが生まれても入会させることはなかった。
それなのに、ああそれなのに、ワタシは伯父、伯母、大勢の従兄弟たちがほぼ全員会員であるという安心感から、「心にファッション」というワードが閃いた途端に、従兄弟の一人に自ら入会を申し出てしまった。
これが人生最大の魔だったw
母親に事後報告したら、
「そんな大切なことを勝手に決めるなんて」
と、過去最高レベルで怒り出した。
一家和楽に近づいたのに激怒するとは、ウチも大概変わっているw
入会したときは就職して一人暮らしだったので、仏壇なんかあるはずもない。
従兄弟が出入りしているという、彼の地元の仏壇店に一緒に買いに行った。
黒っぽい立派な仏壇は、数十万円から数百万円の値札が付いていて、ワタシのような安月給の若造には手が出ない。
木目がプリントされたカラーボックスのような仏壇なら買えそうだ。
あまり小さいのもアレなので、正面がB3サイズぐらいの大きめのカラーボックスにした。
それでも3万円ほどしたので躊躇した。
ホームセンターで売っている数千円程度の箱にしか見えない。
その仏壇で男子部時代をずっと過ごすつもりだったのだが、会員がウチに来るたびに「頑張って早く立派なものにしましょうね」とか、「仏壇もご供養ですよ」とか、「いい仏壇を買うことで退路を断つんだ」とか、訳の分からないことを3年ぐらい言われ続けた。
仏、いや、ほっとけ。ムッとした。
残業続きで給料も上がって来たある日、仏壇を買い替えることを
決断した。
信心を頑張ろう、が半分、見栄を張ったのが半分w
地区リーダーに仏壇屋を紹介してもらい、隣の町までひとりで買いに出かけた。
希望としては近代的なデザインのもので、電動ドアがマストだった。
大きさは400Lの冷蔵庫程度まで。
色々と見比べると、ひとつだけ気に入ったものがあった。
しかしお高い。安い新車が買えそうだ。
でもこれなら一生使えるだろう。
男子部と思われる店長と価格交渉したが、ほとんど譲らない。
それどころかもっとお高くて、大きくて、会館にあるような厨子付きのものを勧めてくる。
きっぱりと断り、「こっちがいいです」と言うと、信じられない言葉が返ってきた。
「まさかこれを一生使うつもりではないですよね。
次回はあちらにしましょうね」 だと。
「やめた」と吐き捨てて店を出るシーンなのだが、
ワタシも若かった。
人生で初めてのローンを組んだw
その仏壇は今もウチの座敷の片隅にある。
しかし会員相手の店は、こんなに横柄な殿様商売が成り立つの
だろうか。
それ以来、行ったことはないけれど、昨今の状況からしても、
その店は存続していない気がする。
♪ち~ん