
村の役員は葬儀の受付等の配役があるので、出席をした。
うちの村では、葬儀で、区長が弔辞を読むことになっている。
他の地区でやっているところは知らない。
区長の弔辞では、故人の村との関わりについて、いくつかのエピソードを話すのが通例だ。
うちの村は、50年前にスキー場が開かれ、そこから発展した歴史があるから、この村で亡くなった多くの故人は、そのスキー場の歴史に関わりがあるので、そういったエピソードを話されることが多い。
このたびの葬儀でも、故人が、ハチ北に来場するスキーヤーのために、道端で回転焼きを振舞ったこと、その回転焼きに使う餡子を自家栽培し加工していたこと、またそういった中でつながってきたお客様が民宿のリピーター客となっていったことなどが紹介された。
こういう言い方はあまり適切ではないが、僕は区長が読み上げる弔辞が好きだ。
村を支えてきた先輩たちの歴史を垣間見ることができ、それが今につながっていることを教えてくれるからだ。
僕もいつかは死ぬ。
自分が死んで、その時の区長がまた弔辞を読み上げてくれるのだろう。
自分はまだこの村にどれほどの貢献ができているかといってもさしてたいしたことはできていないのだが、葬儀に参列してくれた人が、またこの村の過去を思い、次につないでくれるそんな生き方をしていきたいものだと思う。