val d'aran by UTMBをふりかえる(その3) | ニシムラマサキのブログ 【株式会社 西村工務店 代表取締役】【 SASAYA・うづかの森 オーナー】

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どうすれば地域を『素敵』に変えられるのか、誇るべき田舎になるのか、そんなことばかり考えています。

大会当日、スタートは16時である。

 

100マイルレースというのは、トップ選手でも24時間はかかるぐらいだから、どんなに速い選手でも一晩を山で越さなければいけない。

 

おそらく、これも演出の一つなのだろうと思うが、トップ選手がゴールに戻ってくるときに、もっとも盛り上がる時間を設定し、そこから逆算してのスタート16時ということなのだろう。

 

正直言うと、この夕方スタートというのが、私にとっては悩ましいところ。

 

国内の通常のレースは、だいたいが、朝の早い時間に設定されていることが多く、だいたいスタートの時間から逆算して3時間ぐらいにおきて、準備をすればそれで事足りる。

 

身支度を整え、朝食をとり…という一連のルーティンがある程度決まっているので、手持ち無沙汰にならないのだが、16時スタートだと正直、かなり時間が余りまくって、どう過ごしていいのかわからない…。

 

朝は普通に目が覚めてしまって、夕方まで体力を整えておとなしくしておこうとは思うものの、緊張というかテンションの高くなっていく気持ちを静めるのに必死だった。

 

ホテルの部屋でひたすら籠ってスタートを待っているが、実はかなりつらい時間だった。

 

15時…ドロップバックといって、途中のエイドに着替えとか、自分が用意しておきたい補給食などを預ける袋を、大会受付にもっていく。

 

vielhaの標高は、約900mぐらいだと聞いているのだが、気温がぐんぐんとあがっていって、スタート付近にあった温度計は36度を指していた。

 

標高の高いレースということで涼しさを想像していたのだが、この暑さにも参った。

 

トレイルランニングのレースでは、携行品が決められている。

 

今回のレースでも、ゴアテックス素材のような高強度なレインウェア、1.5㍑以上の水、ヘッドランプなどが決められていた。

だいたいすべての装備品を持つと、3~4㎏ぐらいはあり、この重さは結構つらい。

 

だから、少しでも減らしたい気持ちにかられて、実のところ迷いが生じた。

レインウェアも実はゴアテックス以外の少し軽微なものも準備したりしていたが、ここは正直に大会規定に沿った荷物をフルスペックでもつことにした。あとで、それは正解だったことに気づく。

 

しかし、やはり重い。

 

15時30分ごろ、スタート付近に陣取って、スタートまでの時間を過ごす。

この暑さ…無駄な体力を使いたくないし、日影に腰掛けとにかく時間を待った。

 

スタート10分前、日本にいる息子よりLINE入る。

『頑張って!!』のメール。

 

ちょっと泣きそうになった。

事前にUTMBのオフィシャルのURLを送っておいた。

 

youtubeliveを見て応援してくれているらしい。

おやじだけ、一人のん気に(実はけっこう必死のバッチなんだけど…)海外まで来ている。
(ただ、息子たちは、そんなバカおやじを見習ってか、長男はアメリカに、次男も海外での留学を決意してる…)

 

ちょうど、スタート前に大型のモニターが映し出されているが、それと同じものを息子も見ているのだろう。

10分前の風景は、ドローンからの空撮だった。

 

これから100マイル、あまり勢い込んで飛ばしてみても失速するのは目にみえてるから、後方に陣取った。

 

群衆の中に、自分がいるのだが、息子は見つけてくれてるだろうか…

 

 

時間が近づいてくるにつれて、DJが巧みに場を最高潮に盛り上げてくれる。

 

16時スタート。

スタート前から汗が噴き出していたが、スタートしたらさらに噴き出してきた。

 

こんな暑さが続くレースで、体力もつんだろうかとの不安もよぎりながらのスタートだった。

 

スタートしてから、500mぐらいは、Vielhaのまちを軽く巡回するような形でコースが展開されたが、すぐに山間部に突入。

 

しかもけっこうな激坂。

 

レース前にコースマップは一通り確認していたので、すぐに坂が来るのは知ってはいるものの、最初からずっとこんな急坂とは…。

 

UTMFで、100マイルの経験はある。

UTMFは序盤10キロほどは、ほとんど坂もなく、平坦なところを走るのと比較してしまう。

 

同じ100マイルレースだが、val d'aranは、累積標高が、10,000mを越える。UTMBは累積標高は、8000mぐらいだから、通常の山を二つ分ぐらいさらに過酷だ。

 

やはり、UTMBメジャーと名がつくのは、そういう過酷さにもあるのかなとも思ったりした。

 

1時間ほどしてくると、雲行きがいっきに怪しくなり、パラパラと雨が降ってきた。

 

30度越えの暑さのスタート、そしてずっと続く登りにあって、少しぐらい体のほてりを冷やしたいがな…そんなふうに思っている矢先の雨だったので、恵みの雨かとも思われた。

 

ところが、標高をあげていくにしたがって、どんどん天気は悪化していった。

そして、かなり激しく雨が降り始めた。

 

夕立ちぐらいかなと思って、最初は見過ごそうと思ったけど、あまりに続くので感じで、レインウェアに袖を通した。

 

雨は止むどころか、雷もなりはじめ、恐ろしいぐらいな状況になるつつあった。

現地の天気予報では、今日は曇り時々雨、明日明後日は晴れと出ていたので、単なる夕立と思って軽くみていたが、しばらくやむ気配がなかった。

 

先に、装備品をどうしようか迷ったと言ったが、こんなに激しく降ると予想もしていなかったので、ゴアテックスのレインウェアをもっていってよかったと思った。

 

 

つづく