
今、村岡山岳救助隊の管外訓練に参加している。
私が住むハチ北周辺は、鉢伏山をはじめとする1000m峰が4つあり、数年に一度ではあるが、遭難事案が発生する。
消防や警察といった公的機関ももちろん捜索や救助活動を行うが、それとは別に、地域の有氏で救助隊を組織する、いわば山のスペシャリストといったところだ。
私も、20代に入隊し、以来ずっとその活動に参画してきた。
2年に一度開催される管外研修は、1泊2日で、地域外に出かけ歩行訓練という名の登山を行い、隊の親睦もかねて、実施している。
今回は、奈良の山上ヶ岳という1719m峰に登ってきた。
山上ヶ岳は、女人禁制の霊山となっており、山頂には、大峯山寺というお寺があった。
今ならば、お金さえかければ、ヘリコプターなどで資材運搬ができる時代だから、資金があればなんとかなるのだろうが、当時はそんなものもなく、ただそこに行くには、登山ルートしかないので、このお寺を建立するために、いにしえの人々は資材を担ぎ上げて作ったのだと思うと、驚愕するしかない。
そうやってしばし、仕事を離れて、活動に没頭することで、頭がクリアな状況になっていくのが、なんとも心地良さを感じるのだ。
この大峯山寺にいたる登山ルートの一部は、奈良吉野から熊野大社へ向かう、いわゆる熊野古道の修験道の道でもある。
日本の登山ルートは、古来より山岳信仰や、修行の場を起源とするものが多い。
いにしえの人々もひたすらにそういった道を行き来しながら、人生や世の平和に思いを馳せつつ、何かをずっと探求したのであろう…。
そう考えると、やはり自分にとっても、山に向かうことは、人生を考えるための大事な時間なのだなあとつくづく思うのである。