ガーデンアーティストのカズさんに庭をお願いした。
正直、私自身『庭』に対しては、何のプランももちあわせていなくて、カズさんの世界観を存分に発揮してもらえばいい…
そう考えていた。
工事が日々すすみ、どんどんと形ができあがっていく。
石や、苗木をもちこまれ、彼が考える世界観がどんどんと形になっていった。
そして、あるタイミングで大量のコケが持ち込まれ、庭のある一角はそれで埋め尽くされた。
『そう来るかー』
まったく想像もしていなかった展開に、面食らったような形だった。
今実のところを言うと、まだ庭は完成していない。
だけれど、すでに2カ月ほどたち、以前から既にそこにあったかのように、なじんでいる。
それからというもの、なぜか苔にだんだんとひかれていく自分がいた。
昨日は少しまとまった時間ができたので、苔玉をつくることにした。
そこらへんでなんとなく絵になりそうな葉っぱをとってきた。
苔は家のまわりにびっしりと生えているところからむしりとってきた。
素人のやること、センスもないけど、とりあえず形になって、今食卓の真ん中に鎮座している。
苔は、じーっと目を凝らすとけっこういろいろな表情をしている。
僕のまわりには、ずっと苔はあった。
でも、そこに自分の気持ちがいくことはなかった。
改めて思う。苔があることで、風景に何らかの風情というものができてきている。
石やコンクリートが当初テカテカしていていても、長い年月の中で苔が表面を覆い、自然の一部として、風景をつくりこんできているのだ。
自分が気づかないだけで、世の中には、そんなことは数多く存在するだろう。
変態は、苔に少し気持ちがいってしまった(笑)